日本薬理学雑誌
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99 巻 , 3 号
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  • 鉾之原 忠実, 篠田 芳樹, 堀 信顯
    1992 年 99 巻 3 号 p. 123-133
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    ラット大脳皮質切片標本から誘発電位を記録し,低酸素または低グルコ―ス負荷による電位の変化を経時的に測定した結果,酸素(0~25%)またはグルコース(0~5mM)の濃度低下に依存した電位振幅の減少が観察され,各々15%および3mM以下の濃度では全例が電位消失に至った.本研究では,低酸素あるいは低グルコース負荷による電位振幅の減少に対するoxiracetamの脳保護作用を検討した.負荷条件としては,緩和かつ最も再現性の良い15%酸素および3mMグルコース負荷を用いた.対照群では,低酸素および低ゲルコース負荷により経時的に電位振幅は減少し,平均で各々12.4および9.8分後に電位は消失した.oxiracetamを負荷45分前から処置すると,これらの電位振幅の減少は濃度依存的(低酸素:10-6~10-5M,低グルコース:5×10-6~10-5M)に抑制され,電位消失までの時間も延長した.特に10-5Mでは,負荷20分後でも低酸素負荷で5/6例,低ゲルコース負荷で6/6例が電位を保持していな.一方,既存の脳機能改善薬であるindeloxazineおよびbifemelaneも濃度依存的(5×10-6~10-5M)に低ゲルコース負荷による電位振幅の減少を抑制し,電位消失時間を延長させた.しかし,10-6Mでは有意な抑制作用は認められなかった.以上のことから,oxiracetamは大脳皮質切片標本を用いた脳機能低下モデルにおいて脳保護作用を示すこと,またその作用はindeloxazineおよびbifemelaneよりも低濃度で発現することが明らかとなった.
  • 吉村 裕之, 渡辺 浩毅
    1992 年 99 巻 3 号 p. 135-141
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    居住者と侵入者の設定により惹起される雄マウス間の敵対行動を指標に,ベンゾジアゼピン系抗不安薬のdiazepam(0,1,2.5,5mg/kg,p.o.)とセロトニン関連抗不安薬のtandospirone(0,2.5,5,10mg/kg,p.o.)の効果を比較検討した.本研究では,攻撃側と被攻撃側の二者間の相互関係を含めた薬効解析を試み,攻撃側動物と被攻撃側動物に薬物を投与した.攻撃側の居住マウスにこれらの薬物を投与すると,侵入マウスに対するattackbiteは用量依存的に抑制された.しかし,被攻撃側の侵入マウスに薬物投与した場合,diazepam(2.5,5mg/kg)が無処置居住マウスの攻撃性を有意に増加したのに対して,tandospironeは有意な攻撃性の変容を惹起しなかった.また,diazepamを投与された居住マウスあるいは侵入マウスでは,locomotionおよびrearingの回数が有意に低下していた.tandospironeは,いずれの用量においてもlocomotionやrearingに対する抑制効果は認められなかった.これらの実験成績および同様の実験系を用いた既報の向精神薬の作用特性から類推すると,tandospironeはベンゾジアゼピン系抗不安薬よりむしろ抗うつ薬に近い挙動を示すように思われる.
  • 庄司 政満, 佐藤 仁美, 平井 康晴, 小國 泰弘, 杉本 智潮, 森下 信一, 伊藤 千尋
    1992 年 99 巻 3 号 p. 143-152
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    牛車腎気丸料乾燥エキス(KJE)のサイプロヘプタジン(CPH)誘発糖尿病モデル,アルドースレダクターゼ活性および坐骨神経圧挫による末梢性神経障害に対する作用を薬理学的に検討した.またKJEの作用を八味地黄丸の乾燥エキス(HJE)の作用と比較した.その結果,CPHによる耐糖能の低下をKJEは417mg/kg/day(1日処方量の5倍量)で,またHJEは367mg/kg/day(1日処方量の5倍量)で有意に抑制した.KJEおよびHJEはアルドースレダクターゼ活性を,基質としてDL-glyceraldehydeを使用した場合,それぞれIC50 2.68×10-5g/mlおよび4.45×10-5g/mlで,また,D-ゲルコースを使用した場合,それぞれIC50 1.04×10-4g/mlおよび1.55×10-4g/mlで阻害した.坐骨神経圧挫による神経障害をKJEは209mg/kg/day(1日処方量の2.5倍量)から,またHJEは367mglkg/dayで有意に軽減させた.KJEのこれらの作用は,1日処方量を基準として比較した場合,HJEの作用より強力であった.
  • 内橋 慶隆, 森本 敏彦, 田所 作太郎
    1992 年 99 巻 3 号 p. 153-160
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    metllamphetamine(MAP)反復投与による逆耐性現象(増感現象)に対するmosapramine(Y-516)の併用効果にっいて,マウスの移所運動促進効果を指標として,clocapramine(CCP),bromperido1(BPD)およびchlorpromazine(CPZ)と比較検討した.Y-516(0.3,1.3,10mg/kg),CCP(3,10,30mg/kg),BPD(0.1,0.3,1.0mg/kg),CPZ(1,3,10mg/kg),および溶媒である0.5%methylcellulose(MC)のみをそれぞれ30分前に経口投与し,その後さらにMAP2mg/kgを皮下投与し3時間にわたって移所運動活性を観測した.各薬物の各用量投与の実験については3~4日間隔で5回繰り返し実施した.また最終投与3~4日後,MAP2mg/kgのみを投与し移所運動活性を観測した.0.5%MCとMAPの併用投与群では処置回数に比例して移所運動促進効果は増強し,逆耐性が形成された.これに対して,Y-516と比較薬前処置群ではMAPによる移所運動促進効果は用量依存的に拮抗された.しかし移所運動促進効果は,MCとMAPの併用群にくらべると抑制されてはいたが,反復投与によって徐々に増強し,逆耐性は完全に阻止されなかった.MAPの移所運動促進効果に対する抑制効果から推察されるY-516の効力は,CCPの4~5倍,BPDの0.07~0.1倍,CPZの1.2~1.8倍であった.最終投与3~4日後のMAPのみの投与実験においては,Y-5161~10mg/kg,CCP10と30mg/kg,BPD0.3と1mg/kg,およびCPZ1~10mg/kg反復併用投与群で,MC反復併用投与群にくらべ移所運動促進効果が有意に弱く,用量依存的に逆耐性の形成を抑制した.以上のことよりY-516は,比較薬と同様に併用投与した場合には,MAP逆耐性形成を抑制すると考えられた.
  • 吉村 直樹, 笹 征史, 吉田 修, 高折 修二
    1992 年 99 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    α-chloralose麻酔ネコを用い,青斑核を介する排尿反射に対する八味地黄丸の作用を検討した.膀胱内に生理的食塩水を注入した際に誘発される律動的な反射性膀胱収縮は,静脈内に投射した八味地黄丸エキス(10,30および90mg/kg)により用量依存性に抑制された.膀胱伸展によって誘発されるこの反射性膀胱収縮はflavoxate(1および3mg/kg)によっても同様に抑制された.一方,双極刺激電極を挿入し青斑核に矩形波よりなる頻回刺激を与えた際に引き起こされる膀胱収縮は,flavoxateによって有意に抑制されたが,八味地黄丸によっては影響を受けなかった.以上の結果から,八味地黄丸は,青斑核を経由する排尿反射において,青斑核から膀胱にいたる遠心路には作用せず,膀胱伸展による感覚性入力の求心性経路に作用して排尿反射を抑制すると考えられる.
  • 岡部 進, 成田 充弘, 中路 茂, 瀧浪 祐介, 河野 修, 三崎 則幸
    1992 年 99 巻 3 号 p. 167-180
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    新しい化合物IGN-2098[5,6-dimetllyl-2-{4-<3-(1-piperidillometllyl)pllenoxy>cis-butenylamino}-4-(1H)-pyrimidone-2HCl]のヒスタミンH2-受容体拮抗作用,胃液分泌および胃・十二指腸損傷(潰瘍)の発生に対する作用を検討した.対照薬としては,ヒスタミンH2-受容体拮抗薬,ロキサチジンを使用した.IGN-2098は,モルモット心房標本において,ヒスタミンと競合的に拮抗した.IGN-2098およびロキサチジンのpA2値は,各7.32および6.48であり,IGN-2098のヒスタミンH2-受容体拮抗作用は,ロキサチジンの約7倍であった.IGN-2098(0.1~10mg/kg)をラットに経口的または非経口的(皮下,十二指腸または腹腔内)に投与した結果,幽門結紮法での基礎分泌,急性フィストラ法でのヒスタミン,カルバコール,ペンタガストリン刺激酸分泌は,用量依存的に,また有意に抑制された.IGN-2098(>30mg/kg)の1回経ロ投与後の胃液分泌抑制作用は,12時間以上持続した.IGN-2098の胃液分泌抑制作用をED50値(50%抑制用量)で比較すると,基礎分泌の場合は,ロキサチジンの効力とほぼ同等かまたは約2倍程度であった.刺激分泌の場合,特にペンタガストリン刺激に対しては,ロキサチジンの効力より約80倍強力であった.急性胃損傷モデルである幽門結紮潰瘍,水浸ストレス損傷,ヒスタミン損傷,インドメタシン損傷,塩酸・アスピリン損傷および塩酸・エタノール損傷の発生に対して,IGN-2098(3~60mg/kg)の経口投与は,ほぼ用量依存的な抑制作用を示した.IGN-2098のインドメタシンおよび塩酸・アスピリン損傷に対する抑制作用は,ED50値においてロキサチジンより約2~8倍強力であった.メピリゾール十二指腸漬瘍に対してもIGN-2098は,著明な抑制作用を示し,その作用をED50値で比較すると,ロキサチジンより約15倍強力であった.以上より,IGN-2098は,ラットの胃液分泌および急性胃・十二指腸損傷の発生を強力に抑制する薬物であることが判明した.
  • 木下 隆之, 糸数 義彦, 中牟田 弘道, 萬野 賢児, 尾崎 清和, 前田 博, 栗尾 和佐子, 平松 保造, 小川 保直, 小井田 雅夫
    1992 年 99 巻 3 号 p. 181-190
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    成熟雄性ラットを8週間にわたり正常食および高コレステロール食(HC:正常食に1.5%cholesterolと0.5%Na cllolate添加)で飼育し,胸部大動脈の血管機能および大動脈を含む数種の組織の病理組織学的所見に及ぼす影響を調べた.1)phenylephrine(Phe,10μM)に対する収縮反応ならびにacetylcholine(1μM)による弛緩反応は加齢とHC摂食で変化しなかった.L-arginine(Arg,100μM)の存在下でも同じ結果を得た.2)Phe収縮反応に対するNO生合成阻害剤NG-monomethyl-L-arginine(NMA)の増強効果として測定したNO放出能は,2と4週間のHC摂食では変化しないが,8週間の摂食で減少した.3)Arg添加時に測定したPhe収縮を増強するNMAのEC50は加齢とHC摂食で変化しないが,Arg存在下に測定したEC50は加齢に従って増加し,HC摂食では変化しなかった.4)8週間のHC摂食ではアテローム性変化などを含む病理組織学的変化は起こらなかった.結果は,ラットでは8週間のHC摂食によって内皮細胞-平滑筋標本にアテローム性の病理組織学的な変化は起こらないが,NO放出を介する血管緊張度の自動調節機能に低下が起こる可能性を示唆する.
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