ラット大脳皮質切片標本から誘発電位を記録し,低酸素または低グルコ―ス負荷による電位の変化を経時的に測定した結果,酸素(0~25%)またはグルコース(0~5mM)の濃度低下に依存した電位振幅の減少が観察され,各々15%および3mM以下の濃度では全例が電位消失に至った.本研究では,低酸素あるいは低グルコース負荷による電位振幅の減少に対するoxiracetamの脳保護作用を検討した.負荷条件としては,緩和かつ最も再現性の良い15%酸素および3mMグルコース負荷を用いた.対照群では,低酸素および低ゲルコース負荷により経時的に電位振幅は減少し,平均で各々12.4および9.8分後に電位は消失した.oxiracetamを負荷45分前から処置すると,これらの電位振幅の減少は濃度依存的(低酸素:10
-6~10
-5M,低グルコース:5×10
-6~10
-5M)に抑制され,電位消失までの時間も延長した.特に10
-5Mでは,負荷20分後でも低酸素負荷で5/6例,低ゲルコース負荷で6/6例が電位を保持していな.一方,既存の脳機能改善薬であるindeloxazineおよびbifemelaneも濃度依存的(5×10
-6~10
-5M)に低ゲルコース負荷による電位振幅の減少を抑制し,電位消失時間を延長させた.しかし,10
-6Mでは有意な抑制作用は認められなかった.以上のことから,oxiracetamは大脳皮質切片標本を用いた脳機能低下モデルにおいて脳保護作用を示すこと,またその作用はindeloxazineおよびbifemelaneよりも低濃度で発現することが明らかとなった.
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