prostaglalldin E
1誘導体であるmisoprostol, (±)-methyl(11α, 13E)-11, 16-dihydroxy-16-methyl-9-oxoprost-13-en-1-oateのラットの胃および十二指腸損傷に対する効果,および作用機序について検討した.雄性SD系ラット(230~280 g,実験前15~24時間絶食,または非絶食)を使用した,misoprostol(3~300 μg/kg, p.o.)は,塩酸·aspirin,塩酸·ethanol,aspirin,prednisolone胃損傷およびmepirizole十二指腸損傷の発生を有意に抑制した.indomethacinおよび,mepirizole胃損傷の発生に対して,misoprostol(30~300 μg/kg, p.o,)は有意の抑制を示さなかった.misoprostol 30 μg/kgは,幽門結紮ラットの胃液分泌に対し影響を及ぼさなかったが100,300 μg/kgでは,胃液量,pepsin排出量は有意に増加し,酸排出量も増加の傾向を示した.misoprostol 30 μg/kgは,正常胃運動を約40分間ごく僅かに抑制したが,300 μg/kgではindomethacin誘発胃運動の亢進に対し,約1時間半抑制した.十二指腸HCO
3-分泌は,misoprostol 300 μg/kgで有意に増加した.対照薬としてcimetidine(100 mg/kg)および16,16-dimethyl prostaglandin E
2(1~100 μg/kg)を使用したが,いずれも,各種急性胃・十二指腸損傷を抑制したが,前者はmepirizole胃損傷に対して効果を示さなかった.以上よりmisoprostolは,胃液分泌に対し抑制作用を示さぬ用量で各種急性実験胃・十二指腸損傷を抑制し,胃損傷に対する作用機序は,今回の実験からでは不明であるが,十二指腸損傷の発生の抑制にはHCO
3-分泌の刺激等が関与していることが推定される.cimctidilleの作用機序としては,胃液分泌の抑制,亢進した胃運動の抑制等が考えられ,16,16-dimcthyl prostaglandin E
2の作用機序としては,正常または亢進した胃運動の抑制,およびHCO
3-分泌の刺激等が推察された.
抄録全体を表示