日本薬理学雑誌
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79 巻 , 6 号
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  • 久木 浩平
    1982 年 79 巻 6 号 p. 461-485
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    indomethacin,diclofenac sodium等の非ステロイド抗炎症薬軟膏を作製し,基礎的検討として,これら軟膏の局所効果と用法的あるいは製剤的要因との関連性について実験手技を含めて試験した.次に応用的検討として,非ステロイド軟膏の効果を非ステロイド剤の経口投与およびステロイド軟膏と比較した。さらに胃腸障害作用や長期塗布による臓器重量への影響についても比較して局所適用剤としての有用性を試験し,最後にいくつかの非ステロイド軟膏の効果を比較した.また,これらの基礎的および応用的検討を通じ,indomethacin製剤について,血中および皮膚内indomethacin量を測定し,薬物動態と効果についても検討を加えた.非ステロイド軟膏の効果は,適用時期,密封療法,塗布回数,塗擦回数および塗布量等の用法用量的要因によって大きな影響を受けた.また,軟膏基剤,配合薬物の粒子径や可溶化,そして薬物濃度等の製剤的要因によっても効果に大きな影響が認められた.非ステロイド軟膏は,carrageenin足蹠浮腫,紫外線紅斑の急性炎症やadjuvant関節炎の慢性炎症に対し,ステロイド軟膏に劣らない効果が認められ紫外線紅斑,adjuvant関節炎では経口投与と同等の効果が認められた.また,ステロイド軟膏の長期塗布で認められた副腎,胸腺重量の減少あるいは非ステロイド剤の経口投与で認められた胃腸障害作用は非ステロイド軟膏では全く認められなかった.そして非ステロイド軟膏の効果は炎症部位の薬物濃度に相関することが認められた.indomethacin,diclofenac sodiumおよびketoprofenの酸性抗炎症薬軟膏には同程度の強い効果が認められ,塩基性抗炎症薬のmepirizole軟膏の効果は弱かった.以上,非ステロイド軟膏には効果および副作用の両面から有用性が認められた.
  • 秦 多恵子, 喜多 富太郎, 伊藤 栄次, 浪松 昭夫
    1982 年 79 巻 6 号 p. 487-492
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    SART stress(repeated cold stress)ラットでは収縮期血圧が下降し局所動脈の血流量に変化が認められるが,今回は,このSART stress動物の心機能を調べる目的でマウスECGを経日的に測定した.5日間のSART stress負荷を行なったマウスではR,T voltageの増高,PQ intervalの短縮およびQRS intervalの延長が有意に認められた.また心拍数の微増が認められた.さらに負荷を続けた場合でも,stress5日間負荷の結果とほぼ同じであった.5日間負荷マウスにpropranololを1回投与して40分後にその急性効果をみると,これらの心電図における異常はほとんど消失した,5日間のstress負荷期間中propranololを連続投与しておき,そのlong-acting effectの有無を調べる目的で6日目にECGをしらべたところ1回投与の場合の抑制度と比べて僅かな阻止であった.以上のことからSART stressマウスの心機能は少なくもECGの結果から交感神経の緊張亢進状態にあるように思われる.次にSART stressマウスに同様にして神経鎮静薬neurotropinを1回投与すると無効であったが,stress負荷開始当日より5日間連日投与しておくとPQ intervalの短縮ならびにQRS interva1の延長は有意に抑制された.しかしRおよびT voltageの増高ならびに心拍数の増加はほとんど抑制されなかった.とくにRおよびT voltageの増高は交感神経緊張性の増加によると考えられているので,neurotropinは自律神経のうち少なくも交感神経側には直接作用を持たないのではないかと考えられる.
  • 中村 秀雄, 石井 勝美, 今津 千恵子, 元吉 悟, 横山 雄一, 世戸 康弘, 清水 當尚
    1982 年 79 巻 6 号 p. 493-508
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    zomepirac sodiumの鎮痛作用様式を明らかにする目的で,zomepirac sodiumの鎮痛作用を種々の鎮痛薬と比較検討した.zomepirac sodiumは,他の非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬と同様にマウス尾の熱線刺激(D'Amour-Smith法),ラット尾の機械的圧刺激(Haffner法)およびイヌ歯髄電気刺激による痛み様反応を抑制しなかったが,ラット炎症足および炎症足関節の機械的圧刺激(Randall-Selitto法および硝酸銀関節炎法)およびマウスおよびラットの化学的発痛物質刺激(酢酸およびphenylquinone writhing法)による痛み様反応を強く抑制した.その効力はindomethacinの0.5~1.7倍,diclofenac sodiumの2.1~19倍およびaspirinの48~200倍であった.これらの鎮痛作用におけるzomepirac sodiumの治療係数(LD50/ED50)は6.51~157であり,比較した他の非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬のいずれよりも大であった.一方,codeine phosphate,pentazocineおよび大量のaminopyrineはラット尾の機械的圧刺激およびイヌ歯髄電気刺激による痛み様反応を抑制したが,pentazocineはマウス熱線刺激法では無効であった.zomepirac sodiumはラット酵母発熱およびウサギLPS発熱に対して強い解熱作用を示し,その効力はindomethacinの0.31~2.8倍およびaspirinの50~155倍であった.以上の結果から,zomepirac sodiumは,鎮痛作用様式が中枢性鎮痛薬と相違して非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬に類似すること,および炎症性の痛み様反応ならびに化学的発痛物質刺激によるwrithingに対してindomethacinに匹敵する強い抑制作用を有するが,その治療係数は比較した他の非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬のいずれよりも大であることが結論される.
  • 中村 秀雄, 横山 雄一, 元吉 悟, 世戸 康弘, 清水 當尚
    1982 年 79 巻 6 号 p. 509-527
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    zomepirac sodiumの急性および亜急性・慢性炎症病態モデルに対する抑制作用を検討し,また,その抗炎症作用機序の解明の手段としてin vitro試験についても検討しzomepirac sodiumのマウス酢酸誘発血管透過性亢進,モルモット紫外線誘発紅斑およびラットcarrageenin誘発足蹠浮腫に対するED50値はそれぞれ0.238mg/kg,6.94mg/kgおよび1.68mg/kg,p.o.であり,その効力はindomethacinよりも強力であった.ラット混合起炎剤誘発足蹠浮腫の初期相(主としてhistamineおよびserotoninによる)には影響することなく後期相を特異的に抑制するとともに,ラットkaolin-carrageenin誘発足蹠浮腫に対して強い治療効果を示した.副腎摘出ラットにおいても抗浮腫作用が認められた.zomepirac sodiumはラットにおいて肉芽腫形成抑制作用を示すとともにadjuvant関節炎に対して予防ならびに治療効果を示した.その効力はindomethacinよりやや弱かった.家兎の腎髄質microsome分画を用いて行ったPGE2生合成に対する50%抑制濃度は6.18μMであり,その強さはindomethacinの約1/3であった.in vitroでのラット赤血球膜安定化作用の強さはindomethacinの約1/11であり,牛血清albuminの熱変性抑制作用の強さはdiclofenac sodiumの約1/2であった.一方,絶食ラットにおける50%胃潰瘍形成用量は58.2mg/kg,p.o.,また,飽食ラットにおける50%腸潰瘍形成用量は16.8mg/kg,p.o.であり,これらはいづれもindomethacinの約1/5の強さであった.従って,zomepirac sodiumの抗炎症作用の発現用量と消化管潰瘍の発現用量との開きはindomethacinよりも明らかに大であった.以上の結果から,zomepirac sodiumは急性および亜急性・慢怪炎症を抑制し,特に炎症過程の第1期および第2期に強い抑制作用を発現すること,さらにその作用機序は多くの酸性の非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬に類似することが示唆された.
  • 久保 和博, Tony JAGENEAU
    1982 年 79 巻 6 号 p. 529-541
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    flunarizineの脳血流量および脳酸素消費量に及ぼす作用をvenous outflow法を用いて,pancronium不動化犬でpapaverineと比較検討した.1)flunarizine(0.3,1mg/kg,i.v.)およびpapaverine(1mg/kg,i.v.)の投与により脳血流量は増加し,脳血管抵抗は低下した.同時に血圧下降および脳脊髄圧の上昇もみられ,これらの作用の持続性はflunarizine>papaverineの順であった.2)心拍数はpapaverineにより著明な増加を,一方flunarizineでは1mg/kg,i.v.の投与量において有意な減少を示した.中心静脈圧はpapaverineにより影響が認められなかったが,flunarizineでは0.3,1mg/kg,i.v.のいずれの用量でも軽度,一過性の上昇を示した.3)脳動静脈酸素較差はflunarizine 0.3mg/kg,i.v.投与では有意な変化が認められなかったが,同薬物の1mg/kg,i.v.およびpapaverine 1mg/kg,i.v.により有意な減少を示した.一方,脳酸素消費量はflunarizineおよびpapaverineのいずれでも影響が認められなかった.4)血液ガス組成に対して,flunarizine(0.3,1mg/kg,i.v.)およびpapaverine(1mg/kg,i.v.)は脳静脈血酸素分圧を上昇させ,flunarizineの1mg/kg,i.v.投与は軽度,一過性ながらも動脈血酸素分圧の上昇を来した.同時に呼気終末炭酸ガス濃度も両薬物により一過性に上昇した.以上の結果からflunarizineは脳酸素消費量には何ら影響がなく,さらにpapaverineと比べて持続性の脳血流増加作用を有することが明らかとなった.
  • 柳浦 才三, 亀井 淳三, 後藤 和宏, 細川 友和, 平森 為雄, 三澤 美和, 福原 武彦
    1982 年 79 巻 6 号 p. 543-550
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    咳嗽反射の指標として横隔神経活動を用いることの有効性を既に報告した.横隔神経活動は広い帯域の周波数成分から構成されている.しかし,呼吸反射発現時における神経活動を構成する周波数帯域成分毎の計量的解析は行なわれていない.そこで,咳嗽反射時の横隔神経活動について周波数帯域成分毎の計量的解析を行なった.雄性雑犬をpentobarbital-Na麻酔下に用い,頸部で横隔神経を分離切断し,その切断中枢端より横隔神経活動電位を導出した.遮断周波数可変フィルターで帯域濾波した神経活動の種々の周波数帯域成分について小型電算機を用いてパワースペクトル解析を行なった.2~1500Hzの範囲にわたってパワースペクトル解析した緒果,横隔神経活動は100~200Hzの帯域にピークを持つ広い帯域成分を含んでいた.気管分岐部粘膜の器械的刺激により誘発された咳嗽反射時に総パワー値の増大および周波数帯域の拡大が認められた.周波数帯域幅100Hz毎のパワースペクトル解析の結果,咳嗽反射時に各帯域成分のパワー値の増大がみられ,特に2~100Hzの帯域成分のパワー値が他周波数帯域成分に比べ有意に増大した.lobeline(400μg/kg,i.v.)適用では全周波数帯域にわたるパワー値の増大がみられたが,咳喇反射時に認められた2~100Hz帯域の他周波数帯域成分に対する有意な増大は認められなかった.1,1-dimethyl-4-phenylpiperazinium iodide(DMPP)(50μg/kg,i.v.)適用により各周波数帯域成分のパワー値は増大し,低周波数帯域成分が他周波数成分に比べ増大する傾向がみられたが咳喇反射時に認められた有意差はみられなかった.以上のことから,咳嗽反射時の各周波数帯域成分毎のパワー値の変化がlobelineおよびDMPP適用時における変化と異なる事実は中枢性の呼吸興奮および咳嗽反射発現時における中枢内統合過程に差があることを強く示唆する.咳嗽反射の指標として横隔神経活動を用いることの有効性を既に報告した.横隔神経活動は広い帯域の周波数成分から構成されている.しかし,呼吸反射発現時における神経活動を構成する周波数帯域成分毎の計量的解析は行なわれていない.そこで,咳嗽反射時の横隔神経活動について周波数帯域成分毎の計量的解析を行なった.雄性雑犬をpentobarbital-Na麻酔下に用い,頸部で横隔神経を分離切断し,その切断中枢端より横隔神経活動電位を導出した.遮断周波数可変フィルターで帯域濾波した神経活動の種々の周波数帯域成分について小型電算機を用いてパワースペクトル解析を行なった.2~1500Hzの範囲にわたってパワースペクトル解析した緒果,横隔神経活動は100~200Hzの帯域にピークを持つ広い帯域成分を含んでいた.気管分岐部粘膜の器械的刺激により誘発された咳嗽反射時に総パワー値の増大および周波数帯域の拡大が認められた.周波数帯域幅100Hz毎のパワースペクトル解析の結果,咳嗽反射時に各帯域成分のパワー値の増大がみられ,特に2~100Hzの帯域成分のパワー値が他周波数帯域成分に比べ有意に増大した.lobeline(400μg/kg,i.v.)適用では全周波数帯域にわたるパワー値の増大がみられたが,咳喇反射時に認められた2~100Hz帯域の他周波数帯域成分に対する有意な増大は認められなかった.1,1-dimethyl-4-phenylpiperazinium iodide(DMPP)(50μg/kg,i.v.)適用により各周波数帯域成分のパワー値は増大し,低周波数帯域成分が他周波数成分に比べ増大する傾向がみられたが咳喇反射時に認められた有意差はみられなかった.以上のことから,咳嗽反射時の各周波数帯域成分毎のパワー値の変化がlobelineおよびDMPP適用時における変化と異なる事実は中枢性の呼吸興奮および咳嗽反射発現時における中枢内統合過程に差があることを強く示唆する.
  • 柳原 雅良, 岡田 謙司, 野崎 正勝, 鶴見 介登, 藤村 一
    1982 年 79 巻 6 号 p. 551-560
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    cephem系抗生物質連続投与後のethanol(EtOH)経口投与における血中EtOHおよびacetaldehyde(AcH)濃度推移の影響をラットを用いて検討した.1)cefotiam,cefsulodinおよびcefazolin 500mg/kgを1日2回,3日間静注(総量3g/kg)は2g/kg EtOH負荷後の血中EtOHおよびAcH濃度に何ら影響しなかった.2)cefmetazole,cefamandoleおよびcefoperazoneの50~200mg/kgを1日2回,3日間静注を上記同様に実験したところ血中EtOH濃度には無影響であったが,血中AcH濃度をEtOH負荷後8時間まで有意に上昇させ,それは用量依存的であった.3)disulfiram経口投与(500mg/kg単回あるいは1日1回,3日間連投)はEtOH負荷後の血中AcH濃度を長時間有意に上昇させたが,血中EtOH濃度を初期時間で有意に低下きせた.4)血中AcH濃度を上昇させたcephem系抗生物質の共通部分構造物である1-methyl-1H-tetrazole-5-thiol(TZ)の単回静注(500mg/kg)は,血中EtOH濃度には無影響であり,血中AcH濃度を有意に上昇させた.他方,cefotiamの類似部分構造物である1-(2-dimethylamino-ethyl)-1H-tetrazole-5-thiol(MTZ)の単回静注(500mg/kg)は血中EtOHおよびAcH濃度には無影響であった.5)血中AcH濃度上昇を示したcephem系抗生物質およびTZはdisulfiramと異なり血中EtOH濃度には無影響であり,作用態度の差が認められた.以上の結果からcephem系抗生物質によるdisulfiram-like reactionは血中のAcH濃度上昇に基づくものと考えられ,またそのためにはcephem系抗生物のアミノセファロスポラン酸の3位置換基が重要で,TZ構造を持つものは臨床上アルコールと強い相互作用を示すと考えられた.
  • 大西 治夫, 伊藤 千尋, 鈴木 和男, 北村 裕, 下良 実, 斎藤 晃, 伊藤 隆太
    1982 年 79 巻 6 号 p. 561-569
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    protidinic acid(PRT)のprostaglandins(PG)系およびoxygen radicals産生系に及ぼす影響について,他の非steroid抗炎症薬と比較検討した.PRT,indomethacin(IM)およびibuprofen(IB)はモルモットにおけるarachidonic acid誘発紅斑を30mg/kgの経口投与で有意に抑制した.また,30mg/kg経口投与で,PRTはPGE2誘発紅斑を掬制したが,IMおよびIBには有意な抑制作用は認められなかった.in vitroのphospholipase A2活性に対し,PRTは抑制を示し,そのIC50は2.1×10-4Mであったが,IMおよびIBは3×10-4Mまでの濃度でほとんど影響を及ぼさなかった.これらの結果から,PRTはIMやIBと異なり,PG系に対してより広範な作用を有することが示唆された,さらに,oxygen radicals産生系に及ぼす検討においては,xanthine oxidaseによるsuperoxide anion(SOA)産生に対しては,PRT>metiazinic acid(MA)=IM>IB=phenylbutazone(PB)の順に効果がみられた.ウサギ白血球myeloperoxidase活性に対しては,PB>IM>PRT>MA=IBの順に効果がみられた.モルモットmacrophageによるSOA産生に対しては,IM>PB>PRT>MA>IBの順に効果がみられた.また,ウサギ好中球と凝集IgG・micropore filterとによって産生されるSOAに対しては,PRT>MA>PB>IM=IBの順に効果がみられた.これらの実験において得られたPRTのIC50値はIMのそれと異なり,in vivoにおける薬効用量で達し得る濃度であった.このように,PRTはIBとは対照的に,oxygen radicals産生系の総べてにおいて抑制作用が認められたが,その作用態度からみて,PRTがoxygen radicalsのscavenging作用を有することが示唆された.また,特に,臨床的な免疫性疾患の優れたin vitroモデルである凝集IgG・micropore filterによるSOA産生に対してPRTが最も強力な効果を示したことは興味深い.
  • 柳浦 才三, 後藤 和宏, 北川 晴美, 細川 友和, 三澤 美和, 小林 登, 早川 浩
    1982 年 79 巻 6 号 p. 571-579
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    薬物によって誘発される気道収縮における迷走神経の関与を,神経冷却による迷走神経の遮断により検討した.神経の冷却は,著者らが考案・作製したthermodeを用いて行った・雄性雑犬をpentobarbital麻酔下に両側迷走神経を剥離した後,thermodeを装着し,冷却水を灌流した.気道平滑筋の反応は,Konzett-Rössler法変法により吸気時のventilation overflow量を指標として測定した.迷走神経より導出した求心性インパルスの波形解析により,神経に対するthermode装着の影響は認められないことが確認できた.また,0°Cの冷却により神経インパルスは完全に消失し,再び温水を灌流することにより速やかに出現した.迷走神経の0°Cの冷却により,ventilation overflowのわずかな減少すなわち,気道拡張反応がみられた.この反応は,冷却を中止し,温水を灌流することにより,再びもとのレベルに戻った.薬物は気管支動脈内適用あるいは吸入適用した.histamine,acetylcholine(ACh),serotonin(5-HT)およびprostaglandin F(PGF)10μgの動脈内適用により気道収縮が認められた.これらの収縮は両側迷走神経の冷却時には抑制された.一方,histamine,AChおよび5-HTの0.00125%溶液あるいはPGFの0.0001%溶液の10分間吸入による気道収縮も迷走神経の冷却により抑制されたが,その抑制率は気管支動脈内適用時より強い傾向がみられた.以上のことから本研究で考案・作製したthermodeは迷走神経の冷却に有用である.また,histamineのみでなくACh,5-HTおよびPGFによる気道収縮においても,迷走神経の関与が示唆される.
  • 生田 殉也, 山内 洋一, 清水 貞宏
    1982 年 79 巻 6 号 p. 581-589
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    高血圧ラットの血圧およびストレス負荷時の血圧上昇,心拍数増加反応に対するprazepamの効果について検討した.DOCAならびに一腎性高血圧ラットを作製し,血圧を無麻酔下にplethysmograph法により測定した.両高血圧モデルに対して,prazepam単独経口投与では降圧作用が見られなかったが,thiazide系利尿降圧薬であるtrichlormethiazide(TCM)との併用により,TCM単独投与に比較して明らかに強い降圧作用が認められた.一方,自然発症高血圧ラット(SHR)の血圧,心拍数を無麻酔,無拘束下に測定し,急性ストレスとしてフット・ショックを負荷すると,一過性の血圧上昇と心拍数の増加を認めた.同様の反応は正常血圧動物においても認められたが,SHRの方が血圧上昇,心拍数増加ともに有意に大きかった.SHRによるこれらのストレス負荷時の心血管反応に対して,prazepamは明らかな抑制作用を示した.以上の結果は,prazepamが高血圧疾患に有効な薬物であることを示唆するものである.
  • 村上 学, 佐々木 善二, 三崎 文夫, 川井 啓市, 若林 庸夫
    1982 年 79 巻 6 号 p. 591-597
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    種々の抗潰瘍剤および2,3のホルモンのマウス胃粘膜増殖帯細胞に対する影響を,3H-thymidineを用い,オートラジオグラフィで検討した.薬物を1日1回あるいは2回,7日間に亘り投与し,その後flash labeling法で3H-thymidine取り込み細胞を観察し,増殖帯における細胞標識率を求めた.抗潰瘍作用を有するcimetidine(100mg/kg,p.o.),geranylgeranylacetone(GGA,100mg/kg,p.o.),Cu-chlorophyllin-Na(300mg/kg,p.o.)はいずれも胃底腺および幽門腺領域における標識率には影響しなかったが,carbenoxolone(100mg/kg,p.o.)は幽門腺領域における標識率を低下させた.一方,消化管ホルモンであるsecretinは標識率に影響を示さなかったが,tetragastrin(1mg/kg,i.m.)は胃底腺領域における標識率を増加させた.hydrocortisone(100mg/kg,s.c.)は胃底腺領域において標識率の低下を示した.この標識率の低下はGGAを併用することにより抑制された.以上の結果から,正常マウス胃粘膜増殖帯の細胞標識率は今回用いた抗潰瘍剤では,carbenoxoloneを除き,影響されず,tetragastrinおよびhydrocortisoneによって特に胃底腺領域において影響を受けること,また,GGAが潰瘍惹起作用を有するhydrocortisoneによる胃底腺領域の標識率の低下を抑制したことはGGAがhydrocortisoneによる粘膜細胞回転に対する作用を制御した可能性が考えられ,胃潰瘍の病因に粘膜細胞動態が関与することが示唆された.
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