日本薬理学雑誌
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113 巻 , 5 号
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  • 福井 裕行, 大田 和美, 山本 大助
    1999 年 113 巻 5 号 p. 289-297
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    H1受容体のヒスタミン結合に関与する5つのアミノ酸残基を同定した.部位特異的変異受容体の性質の検討と受容体モデリングを組み合わせる方法はこの研究の目的の達成に非常に有効であった.H1受容体にはヒスタミンとの非結合および結合に応じて不活化状態および活性化状態が存在し,ヒスタミンの結合により第V膜貫通領域のα-ヘリクスの捻れの弛むことが活性化状態へ移行するという機構を提唱したい.H1受容体のヒスタミン結合部位はリガンドの親和性に関与する部位と受容体の構造変化と活性化に直接関わる部位とに分かれた.そして,H1拮抗薬はH1受容体のヒスタミン結合部位のうちリガンドの親和性に関与する部位においてヒスタミンと拮抗する.H1受容体のリガンド結合様式はβ2-アドレナリン受容体,ヒスタミンH2受容体のそれとは異なった.
  • 吉田 直之
    1999 年 113 巻 5 号 p. 299-307
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    クエン酸モサプリド(モサプリド)はモルホリン環をもつ新規なベンズアミド系の消化管運動促進薬である.モサプリドはラットの固形物および液体物の胃排出を促進し,それらの効力はシサプリドと同程度で,メトクロプラミドより強かった.ラットの胃十二指腸境界部を切開縫合した後の胃排出遅延モデルに対してモサプリドは有意な改善作用を示した.覚醒イヌにおいてモサプリドは用量依存性に胃および十二指腸運動の促進作用が認められ,この作用はシサプリドと同程度で,メトクロプラミドより強かった.モサプリドはモルモット摘出回腸縦走筋標本の電気刺激により誘発される収縮を増大し,この増大作用は5-HT4受容体遮断作用を示すトロピセトロンによって拮抗された.また,モサプリドはモルモット回腸標本のホモジネートで5-HT4受容体選択的なリガンドの[3H]GR-113808の結合を濃度依存的に阻害した.さらに,覚醒イヌにおいてモサプリドの胃運動促進作用はGR-113808や高用量のトロピセトロンによって完全に遮断された.モサプリドはラット脳シナプス膜のドパミンD2受容体に親和性を示さず,マウスの一般症状,マウス条件回避反応やラットの餌強化レバー押し反応に対して影響を及ぼさなかった.一方,シサプリドやメトクロプラミドはいずれの試験においても有意な抑制作用を示した.モサプリドは高濃度の10 μMにおいてもモルモット摘出乳頭筋活動電位の持続時間に作用を示さなかったが,シサプリドは0.1~3 μMにて濃度依存的に活動電位の持続時間を著明に延長させた.また,麻酔ウサギのtorsades de pointes発現評価モデルにおいて,モサプリドは作用を示さなかったが,シサプリドは心電図QT間隔の延長と共にtorsades de pointesを発現させた.以上の結果から,モサプリドは選択的な5-HT4受容体アゴニストで,従来の薬剤とは異なりドパミンD2受容体遮断作用やQT延長作用のない新世代の消化管運動促進薬であると考えられる.
  • 岡田 英孝, 黒崎 知博
    1999 年 113 巻 5 号 p. 309-316
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    生命科学の研究は分子生物学や発生工学の進歩により,ジーンターゲティング,あるいはノックアウトマウスを用いてのアプローチがなされている.私たちは遺伝子の機能解析のためにニワトリB細胞株DT40をモデルシステムとして用いている.DT40細胞は,高等真核細胞で起こりにくい相同DNA組み替えをおこしやすく,DT40細胞を用いて特定遺伝子の欠損細胞を容易に作製できる.DT40細胞の研究は,従来のノックアウトマウスを用いての研究に比べ,実験のコストが安価であり,1つの遺伝子のcDNA断片が得られてから迅速に遺伝子の機能解析をすることができる.ノックアウトマウスと比較してDT40細胞ではカリオタイプを含め表現型が安定で維持しやすく,その細胞の詳細な生化学的解析・細胞生物学的解析を行うことができる.さらに近傍にある複数の遺伝子のノックアウトマウスを作製することは困難であるが,DT40細胞では最大3種類の遺伝子を欠損させた細胞を作製することができる.またDT40細胞において致死的な変異の導入の際にはテトラサイクリンを用いたon-offの系を導入するTet-on/Tet-off gene expression systemやCre-loxPシステムのようなコンディショナルミュータントを作製することができる.実際に特定遺伝子の欠損細胞株の作製により,それぞれの分子の機能解析を行うことができる.次に欠損細胞に変異の分子を戻すことにより,その分子の各部分の機能検定をすることもできる.このようにDT40細胞は細胞レベルでの研究の格好な手段を与えてくれる.
  • 唐沢 啓, 野村 博子, 二藤 眞明, 園田 理恵, 田中 秀幸, 小坂 信夫, 山口 和夫, 小林 智
    1999 年 113 巻 5 号 p. 317-326
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラットを用いて,血圧・心拍数および血漿中ノルエピネフリン(NE)濃度に及ぼす塩酸ベニジピン(コニール®)および他のカルシウム(Ca2+)拮抗薬の影響を検討した.血圧・心拍数の測定はテレメトリー法で行ない,血漿中NEは蛍光誘導体をHPLCにて測定した.塩酸ベニジピン2mg/kg(po)および本薬と同程度の降圧活性を示す用量のニフェジピン(5mg/kg),シルニジピン(6mg/kg)およびアムロジピン(3mg/kg)の作用を比較検討した.何れの4薬物ともに有意な降圧作用を発現した.この時,ニフェジピンおよびシルニジピンは対照と比べて心拍数を有意に上昇させたが,塩酸べニジピンとアムロジピンは心拍数に有意な影響を及ぼさなかった.また,薬物投与後10時間までの作用下面積(AUC)で比較すると,塩酸ベニジピンの心拍数増加作用は,他の3剤に比べて有意に低値を示した.ニフェジピンおよびアムロジピンは血漿中NE濃度を有意に上昇させ,シルニジピンは上昇させる傾向を示したが,塩酸ベニジピンは血漿中NEに有意な影響を及ぼさなかった.以上の結果より,塩酸ベニジピンは血漿中皿濃度および心拍数に及ぼす影響が他剤に比べて軽微なCa2+拮抗薬であることが示唆された.
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