日本薬理学雑誌
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70 巻 , 1 号
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  • 中根 貞雄, 酒井 健
    1974 年 70 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究において,自律神経薬ほか諸種薬物の潰瘍形成と胃液分泌およびPSB漏出量におよぼす影響を検討し,以下の結果を得た.1)本実験で,phenoxybenzamineを除き,ストレス潰瘍抑制作用を示した薬物は,潰瘍抑制量で胃液分泌減少とpH上昇作用を示した.このことは,ストレス潰瘍抑制には胃液分泌の抑制が重要な要因であることを示唆するものと考えられる.2)atropineは,潰瘍抑制量において,ストレスによるPSB量減少に対し,少くとも増強作用を示さなかった.また,propranolol,DCIおよびchlorpromazineは,ストレスによるPSB量減少に対し,むしろ阻止的であった.これより,ストレスによる胃粘膜血流の阻止ないし抑制が抗潰瘍作用の一因となると考えられる.
  • 只野 武, 小野木 正弘, 本皿 憲佐
    1974 年 70 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    電気刺激やisolationによるaggressiveマウスの脳内polyamineの変動およびその行動に対するLiClの影響について検討を加えた結果,次のような実験成績が得られた.1)電気刺激で得られるaggressive mice(ES-mice)においてはbiting,mounting,attackingおよびvocalizationなどのpatternが一様に出現した.一方,3週間のisolationによって得られるaggressive mice(IS-mice)においてはattackingの出現が著明であった.2)ES-miceにおいては脳内CA,5-HTおよびspermidineは集団飼育した正常群と比較して有意な変動は認められなかったがspermineは著明に増加した.しかし,電気刺激によっても攻撃性を示さないマウスにおいてはspermineの増大は認められなかった.3)IS-miceについてisolationの期間とattacking出現回数との関係を調べた結果,isolation1週間目では1.1±0.4回,2週間目では3.7±0.5回,3週間目では7.2±0.5回,4週間目では7.4±0.5回とisolationの経時変化とともにattacking強度も増すことが認められた,4)IS-miceについて,isolation期間と脳内amine量の変動について検討を加えた結果,spermidineだけが経時変化とともに増大することが認められた.しかし,3週間のisolationによってもattackingを示さないnon-aggressive miceにおいてはspermidineの増大は認められなかった.5)IS-miceにLiCl 12.5,25および50mg/kgを1日2回,10日間連続i.p.投与するとbitingおよびattackingの用量に比例した抑制効果が認められた.とくに,50mg/kg投与群においてはこれらpatternは全く消失した.6)IS-miceにLiClの10日間連続投与が脳内polyamineに与える影響を検討した結果,IS-mice群と比較して50mg/kg投与群においてspermineの有意の上昇が認められた.
  • 渡辺 繁紀, 西 広吉, 植木 昭和
    1974 年 70 巻 1 号 p. 19-37
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    慢性電極植込ウサギを用い,行動観察と同時に脳波を測定し,hydroxyzineの脳波作用をdiazepam,chlorpromazineのそれと比較検討した.1)Hydroxyzine2~5mg/kgの用量ではdiazepam,chlorpromazineと同様に鎮静作用を示すが,10~15mg/kgの大量では投与初期に被刺激性の増大を示した後,鎮静をおこす.脳波は小量投与でも大量投与でも皮質,扁桃核では高電圧徐波化し,海馬覚醒波の同期はくずれdrowsypatternになる.この脳波の変化は大量投与初期に動物が興奮症状を示している時期でも同じであった.Diazepamおよびchlorpormazineは鎮静状態に一致して脳波もdrowsy patternになるがdiazepamの場合は徐波に速波が重畳する点が特徴であった.2)音刺激による脳波覚醒反応はhydroxyzineによって著明に抑制された.Diazepam,chlorpromazineの作用も同様であった.3)中脳網様体,後部視床下部および視床内側中心核刺激による脳波覚醒反応はhydroxyzineおよびdiazepamによってすべて抑制されるが,中脳網様体刺激による脳波覚醒反応だけはchlorpromazineによって抑制されなかった.4)漸増反応(recruitingresponse)はhydroxyzine,chlorpromazineによって軽度に増強され,diazepamではむしろ抑制の傾向を示した.5)閃光刺激によって後頭葉皮質に誘発される電位(photic driving response)はhydroxyzineによって軽度に抑制されたが,diazepam,chlorpromazineではほとんど影響されなかった.6)海馬,扁桃核の刺激による後発射(afterdischarge)はhydroxyzine2~5mg/kgの用量では増強,10~15mg/kgでは逆に抑制された.Diazepamはafterdischargeを著明に抑制し,chlorpromazineは逆にこれを増強した.7)以上,hydroxyzineの脳波作用はdiazepamに類似した点が多いが,大脳辺縁系のafterdischargeに対する作用はむしろchlorpromazineに似たところがあり,てんかんなどのけいれん性疾患またはこれらの既往歴のある患者に対して本剤を用いる場合は慎重な観察のもとに投与することが必要であると考えられる.
  • 福田 保
    1974 年 70 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    1)強心配糖体を動物に点滴注入した場合,注入速度(mg/kg/min)と致死量(mg/kg)との間の相関関係に,3つの範囲に分けられるU字型の注入曲線を生じる.この曲線中の過点滴の範囲と消失の範囲の間の中央部分は配糖体の最大利用の領域で,最適な注入時間および最適な注入速度が最小致死量をもたらす範囲がある.モルモットを用いて,この強心配糖体の最大利用の範囲内での注入速度(mg/kg/min)と心停止に至るまでの注入時間(min)を用い,Kosswig and Engelhardtの方法に従い,ouabain,proscillaridin A,α-acetyldigoxin,β-acetyldigoxin,digoxinおよびdigitoxinの最小致死量を検定した.2)モルモットの左心房内にadenosine20μgを注入すると,bradycardiaとheart blockを生ずる.この作用を強心配糖体が増強する特性を利用して,強心配糖体の作用持続時間を測定し,これによって消失率(%LD)を計算した結果は,ouabain;is,proscillaridin A;14,β-acetyldigoxin;9,α-acetyldigoxin;6,digoxin;4およびdigitoxin;1であった.
  • 江田 昭英, 平松 正彦, 吉田 洋一
    1974 年 70 巻 1 号 p. 47-63
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    家畜前立腺から抽出して製造したPEの0.2~5.0mg/kg/dayを雄性成熟ラットに30日間に亘って経口投与し,前立腺におよぼす影響について検討し,以下の成績を収めた.1)PEの投与は前立腺および肛門挙筋重量には影響をおよぼさなかった.2)ラット前立腺の組織呼吸は加令とともに減少し,50~55週令では中葉および後葉ともに明らかに減少を示した,また,後葉の組織呼吸は中葉のそれに比して高い.PEの投与は組織呼吸を増加し,その程度は中葉が後葉に比して強い.sodium pyruvateを基質とした場合にも増加の傾向を示し,中葉では1.0~2.0mg/kg/day投与群では有意に増加した.3)PE投与ラット前立腺の嫌気的解糖は中葉ではほとんど影響がみられなかったが,後葉では5.0mg/kg/day投与群に有意な増加がみられた.4)ラット前立腺のaconitase活性は加令とともに減少し,50~55週令では明らかに減少を示した.また,後葉のaconitase活性は中葉のそれに比して高い.PEの投与はaconitase活性を賦活し,特に中葉では有意な増加がみられた.5)ラット前立腺のisocitrate dehydrogenase活性は中葉が後葉に比して高い.PEの投与は前立腺のisocitate dehydrogenase活性を中葉および後葉ともに増加し,その程度は後葉が中葉に比して強い.6)ラット前立腺のGPT活性は中葉と後葉ではほぼ同程度の活性を示した.PEの投与は前立腺のGPT活性を軽度増加の傾向を示した.一方,ラット前立腺のGOT活性はGPT活性に比して著しく高く,また,後葉の活性は中葉のそれに比して高い.PEの投与は中葉のGOT活性には影響がみられなかったが,後葉のそれは減少を示し,1.0mg/kg/day群以上では有意に減少した.7)ラット前立腺のLDH活性は中葉と後葉とではほぼ同程度の活性を示した.PEの投与は中葉では影響がみられなかったが,後葉では0.5~1.0mg/kg/day群に有意な減少がみられた.8)ラット前立腺のacidphos phataseおよびalkaline phosphatase活性は中葉に比して後葉が高い.また,acid phosphatase活性に比してalkaline phosphatase活性が著しく高い.PEの投与はacid phosphataseおよびalkaline phosphatase活性に対して影響がみられなかった.9)ラット前立腺のfructose量は中葉が後葉に比して著しく高い.一方,citric acid量は中葉と後葉ではほぼ同程度の値を示した.これらの量に対してPEの投与は影響をおよぼさなかった.10)PE投与ラットの前立腺の組織所見は対照群のそれとの間に差異が認められなかった.
  • 江田 昭英, 平松 正彦, 吉田 洋一
    1974 年 70 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ラット,イヌおよびヒト前立腺,ならびにラット肝臓の組織呼吸におよぼすPEの影響を検討し,以下の成績を収めた.1)ラット前立腺の組織呼吸はイヌまたはヒトのそれに比して著しく高く,glucose,sodium citrateあるいはsodium succinateを基質としても影響はみられなかった.これに対してPEはsodium citrateまたはsodium succinate存在下の組織呼吸を増加した.2)ラット肝臓の組織呼吸は前立腺のそれの約1/3に過ぎず,sodium citrateまたはsodium succinateを基質とした場合には増加がみられた.これに対してPEはこれらの基質存在下ではほとんど影響がみられなかったが,基質無添加またはglucose存在下における組織呼吸を軽度増加した.3)イヌ前立腺の組織呼吸はsodium succinateを基質とした場合には著明に増加したが,glucoseおよびsodium citrateの場合にはほとんど影響がみられなかった.これに対してPEはsodium citrateおよびsodium succinateを基質とした場合の組織呼吸を明らかに増加した.4)ヒト前立腺の組織呼吸はsodium succinateを基質とした場合に明らかに増加し,glucoseおよびsodium citrateの場合にはほとんど影響がみられなかった.これに対してPEはsodium succinate存在下の組織呼吸を明らかに増加した.
  • 田村 俊吉, 野崎 茂
    1974 年 70 巻 1 号 p. 71-88
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    雌雄ラットに脂質分解酵素GA-56を30日間連続経口投与することによりその亜急性毒性実験を行なった所GA-56の低薬用量群(2,-00mg/kg一実際投与量約2,300mg/kg,臨床投与量の約115~230倍)および中薬用量群(10,000mg/kg-実際投与量約9,100mg/kg,臨床投与量の約455~910倍)では雌雄ともに薬物の影響を受けなかった.高薬用量群(40,000mg/kg-実際投与量約31,000mg/kg,臨床投与量の約1550~3100倍)では雌雄ともに体重増加の抑制,1ヵ月以内に1~2匹の死亡例,臓器重量の減少等の異常が認められた.
  • 田村 俊吉, 野崎 茂
    1974 年 70 巻 1 号 p. 89-105
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ラットに脂質分解酵素GA-56を6ヵ月間連続経口投与することにより,その慢性毒性実験を行なったところGA-56の高薬用量群(25,000mg/kg-実際投与量約22,000mg/kg,臨床投与量の約1100~2200倍)では体重増加の抑制,飼料摂取量の減少および臓器重量の減少が認められた.血液学的および血液生化学的所見,尿および糞便所見,病理組織学的所見に異常は認められなかった.これに対して低薬用量群(4,000mg/kg-実際投与量約3,600mg/kg,臨床投与量の約180~360倍)および中薬用量群(10,000mg/kg-実際投与量約9,000mg/kg,臨床投与量の約450~900倍)では何らの異常も認められなかった.以上の結果からGA-56は慢性毒性の面らみても極めて安全な薬物といえる.
  • 田村 俊吉, 堤 璋二, 野崎 茂
    1974 年 70 巻 1 号 p. 107-118
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    GA-56の技術的に強制経口投与可能な最大量である8,000mg/kgを妊娠母動物に投与した場合,体重の増加および一般症状に異常は認められなかったがその末期胎仔では胚致死の発生増加を認めた.なお催奇形作用および新生仔に対する影響は何ら認められなかった.一方,2,000mg/kg以下の量を妊娠母動物に投与した際には胚致死の発生増加は認められず,また催奇形作用および新生仔に対する影響も何ら認められなかった.
  • 森 襄, 佐藤 義彦, 大橋 健男, 人見 正博
    1974 年 70 巻 1 号 p. 119-126
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Amantadineは,神経遮断剤によるカタトニーを抑制したが,tremorineやoxotremorineによる振せんは抑制しなかった.この点でamantadineは,従来の抗choline作用を有する抗パーキンソン剤とは異っている.AmantadineはL-dopaおよびmethamphetamineの作用を増強した.この点ではamantadineは他の抗パーキンソン氏病薬およびimipramineと類似している.ラットの線条体シナプトゾームへのdopamineの取込みに対するamantadineの抑制作用は他の抗パーキンソン氏病薬の約1/10の強さであった。しかし,レセルピン処置したラットの虻彩および正中隆起のアミン作働性神経終末へのnoradrenalineやdopamineの取込みに対するamantadineの抑制作用は他剤より強かった.以上の結果をもとにしてamantadineの作用機作を考察した.
  • 佐藤 温重, 小沢 和子, 佐々木 徹
    1974 年 70 巻 1 号 p. 127-133
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ウサギ切歯歯胚組織およびラット新生児頭頂骨に由来する二倍体性のRP細胞およびRC細胞とL細胞を用いてカドミウムの細胞毒性について研究を行ない,次の結果を得た.1)RP細胞,RC細胞およびL細胞のCdCl2による50%増殖阻止濃度は,それぞれ11.44,2.29,2.20μMであり,細胞の種類によりカドミウムに対する感受性に差があった.2)5.5μMCdCl2添加培地中で培養されたRPおよびRC細胞の経時的カドミウム吸収:量の測定が行なわれた.培養24時間後のRP細胞のカドミウム含量は1.108±0.063μg/106個細胞,RC細胞のそれは0.881±0.092μg/106個細胞であった.RP細胞においてはカドミウム保留量が比較的多いのにかかわらず,その障害が軽度であることが注目された.3)カドミウムによる細胞増殖阻害は亜鉛を同時に投与することによって拮抗された.4)RP細胞およびRC細胞の亜鉛含量の測定が行なわれた.前者では2.01±0.93μg/106個細胞,後者では0.99±0.07μg/106個細胞の亜鉛を含んでいた,カドミウムに対し感受性の低いRP細胞において亜鉛含量が比較的多いことが注目された。
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