ウサギ切歯歯胚組織およびラット新生児頭頂骨に由来する二倍体性のRP細胞およびRC細胞とL細胞を用いてカドミウムの細胞毒性について研究を行ない,次の結果を得た.1)RP細胞,RC細胞およびL細胞のCdCl
2による50%増殖阻止濃度は,それぞれ11.44,2.29,2.20μMであり,細胞の種類によりカドミウムに対する感受性に差があった.2)5.5μMCdCl
2添加培地中で培養されたRPおよびRC細胞の経時的カドミウム吸収:量の測定が行なわれた.培養24時間後のRP細胞のカドミウム含量は1.108±0.063μg/10
6個細胞,RC細胞のそれは0.881±0.092μg/106個細胞であった.RP細胞においてはカドミウム保留量が比較的多いのにかかわらず,その障害が軽度であることが注目された.3)カドミウムによる細胞増殖阻害は亜鉛を同時に投与することによって拮抗された.4)RP細胞およびRC細胞の亜鉛含量の測定が行なわれた.前者では2.01±0.93μg/10
6個細胞,後者では0.99±0.07μg/10
6個細胞の亜鉛を含んでいた,カドミウムに対し感受性の低いRP細胞において亜鉛含量が比較的多いことが注目された。
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