日本薬理学雑誌
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104 巻 , 6 号
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  • 新谷 太, 中木 敏夫, 加藤 隆一
    1994 年 104 巻 6 号 p. 425-431
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    A brain microdialysis technique has made it possible to determine neurotransmitter levels in the targeted region of the brain of a freely moving rat. In this article, two kinds of application of the brain microdialysis are demonstrated. First, to study central nervous effects of large molecular weight substances that cannot cross the blood-brain barrier, we used a microdialysis probe equipped with a microinjection tube for administering the substance in the same region into which the probe had been inserted. We proved that interleukin-1β (1 ng) injected directly into the anterior hypothalamus elicited releases of NE, DA and 5-HT, as well as increases in their metabolites. Second, using a new method combining a brain microdialysis technique with measurement of nitrite/nitrate by the Griess reaction, we demonstrated that activation of N-methyl-D-aspartate (NMDA) receptors in the cerebella of rats induces the release of nitric oxide (NO). Since L-NG-monomethyl-arginine (L-NMMA), which competitively blocks NO synthesis from L-arginine, significantly inhibited the release of nitrite/nitrate from the rat cerebellum, these results indicate that this new method is capable of measuring NO formation from L-arginine following the stimulation of NMDA receptors.
  • 谷口 恭章, 出口 芳樹, 斉田 勝, 野田 寛治
    1994 年 104 巻 6 号 p. 433-446
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    皮膚刺激薬(counterirritants)の外用鎮痛作用を各種疼痛モデルを使用して検討した.マウスでのホルマリン疼痛モデルにおいて,ホルマリン注射後5分以内に認められる一過性の疼痛反応(early phase:E相)に対して,l-メントールおよびペパーミント油はその外用適用により明らかな鎮痛作用を示した.サリチル酸メチルやdl-カンファーにおいても軽度ながら鎮痛作用が認められた.これとは対照的にインドメタシンの経口投与はホルマリン注射後20分前後をピークとする持続性のある疼痛反応(late phase:L相)に対してのみ鎮痛作用を示した.麻薬性鎮痛薬であるモルヒネは両相に対して明らかな鎮痛作用を示した.E相でのl-メントールの鎮痛作用はナロキソンおよびデキサメタゾン処置により顕著に拮抗され,ベスタチンにより増強された.また,l-メントールはマウスの熱板法やラットの後肢加圧法においても鎮痛作用を示した.一方,l-メントールはラットのカラゲニン足浮腫に対しては軽度の抑制作用を示したが,in vitroでのプロスタグランジンE2生合成阻害作用は示さなかった.また,l-メントールはモルモットにおいて軽度の表面および浸潤麻酔作用を示した.これらの知見により,皮膚刺激薬であるl-メントールの外用鎮痛作用は直接的な抗炎症作用によるものではなく,その作用機序として内因性オピオイド系の活性化とともに局所麻酔作用を含む局所効果が一部関与する可能性が示唆された.
  • 中丸 幸一, 菅井 利寿, 木下 宣祐, 佐藤 雅子, 谷口 偉, 川瀬 重雄
    1994 年 104 巻 6 号 p. 447-457
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    特発性炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎とクローン病に対する治療薬としてメサラジン(mesalazine)顆粒(Pentasa®)が開発された.我々はすでにメサラジン顆粒の実験的大腸炎モデルに対する有効性を見い出した.本研究では,メサラジン(5-aminosalicylic acid)のラジカルおよび活性酸素の消去作用をin vitroの系で,脂質過酸化に対する作用をin vitroおよびin vivoの系で,さらにはロイコトリエンB4(LTB4)生合成に対する作用を検討した.その結果,メサラジンはフリーラジカルである1,1-diphenyl-2-picrylhydrazylを還元し,IC50値は9.5μMであった.また,活性酸素である過酸化水素と次亜塩素酸イオンの消去作用を示し,IC50値はそれぞれ0.7μM,37.0μMであったが,スーパーオキサイド消去作用は示さなかった.さらに,ラット肝ミクロソームでの過酸化脂質の生成を抑制し,IC50値は12.6μMであった.in vivoの系では,幽門部を結紮したラットにおいて,胃を虚血再灌流することで生じる胃粘膜過酸化脂質量に対する効果を検討した.メサラジン25,50mg/kgの胃内投与で十分量のメサラジンが胃粘膜に分布するとともに,用量依存的に過酸化脂質抑制効果を示し,50mg/kgでは有意(P<0.01)であった.ラットの腹腔から採取した好中球でのLTB4生合成に対してメサラジンは抑制作用を示し,IC50値は44.9μMであった.メサラジンの代謝物であるN-acetyl-mesalazineは高濃度(1mM)でLTB4生合成を抑制したが,ラジカル,活性酸素の消去作用および過酸化脂質の抑制作用は示さなかった.以上の成績から,メサラジンは炎症部位で生じる活性酸素を消去することで細胞障害を抑制すること,さらにはLTB4生合成を阻害することで好中球の浸潤を抑制することが示唆された.そして,メサラジン顆粒はこれらの作用機序を介してIBDに有効であることが示唆される.
  • 小坂 信夫, 田中 洪, 石井 昭男, 周藤 勝一
    1994 年 104 巻 6 号 p. 459-468
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ラット胃粘膜中の胃粘液糖成分の生成およびヌクレオチド糖の転移に関与する酵素系に対するKW-5805の作用を検討した.グルコサミンシンセターゼ活性は,拘束水浸ストレス負荷1時間で有意に低下したが,負荷を1.5,2時間と延ばすと活性は回復した.一方,潰瘍指数はストレス負荷1時間では0.8であったが,2時間では5.5と急激に増加した.KW-5805の3mg/kgおよび30mg/kgをストレス負荷30分前に経口投与すると,ストレス負荷1時間によるグルコサミンシンセターゼ活性の低下を有意に抑制し,とくに,30mg/kgの投与ではストレス非負荷よりも活性を上昇させた.また,KW-5805はストレス負荷1時間での胃粘膜被覆粘液量の減少を,さらに負荷3時間での潰瘍形成を有意に抑制した.正常動物にKW-5805の30mg/kgを経口投与すると,投与後1時間でグルコサミンシンセターゼ活性を2倍以上に上昇させた.N-アセチルグルコサミンキナーゼ活性もストレス負荷1時間で低下したが,その低下はKW-5805の前投与によって有意に抑制された.UDP-N-アセチルグルコサミン4-エピメラーゼに対して,KW-5805は10-7~10-4Mで活性を2倍に上昇し,その活性の上昇は10-5Mで最大となった.UDP-ガラクトシルトランスフェラーゼに対しても,KW-5805は酵素活性を10-5および10-4Mで有意に上昇し,その上昇は10-5Mで最大となった.以上の結果から,胃粘液生合成系酵素の活性低下が潰瘍形成の要因の一つであり,これに対して,KW-5805は粘液糖タンパク質の糖成分の合成に関与する諸酵素を活性化し,粘液量を増加することによって,胃粘膜を保護することが示唆された.
  • 尾崎 覚, 大川 功, 中村 哲也, 田島 鉄弥
    1994 年 104 巻 6 号 p. 469-480
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ラットの一過性前脳虚血による受動的回避反応と放射状迷路課題の各学習・記憶障害に及ぼす塩酸ビフェメランの効果を検討した.迷路課題の実験に用いたラットの脳を組織学的に観察して,海馬の神経細胞密度に対する塩酸ビフェメランの効果も検討した.薬物は脳虚血前および脳虚血後に1mg/kg,3mg/kg,10mg/kgあるいは30mg/kgを1日1回ずつ,計6回あるいは14回腹腔内投与した.対照群には同じように生理的食塩液を投与した.塩酸ビフェメランの10mg/kg群は脳虚血による受動的回避反応の反応潜時の短縮を改善させ,その改善作用は対照群に対して有意な差を認めたが,3mg/kg群および30mg/kg群の場合は対照群との間に有意な差を認めなかった.また,塩酸ビフェメランの10mg/kg群は脳虚血による迷路課題の障害を対照群に対して有意に改善させたが,1mg/kg群の場合は対照群との間に有意な差を認めなかった.さらに,塩酸ビフェメランの10mg/kg群は海馬前部CA2領域および海馬後部CA1,CA2,CA3各領域の神経細胞密度を対照群に対していずれも有意に増加させた.迷路課題の記憶スコアーと海馬後部CA1領域の神経細胞密度との間に高い相関を認めた.これらのことから,塩酸ビフェメランは脳血管障害に伴う海馬の神経細胞を壊死や変性から保護し,学習・記憶障害に有効であることが示唆された.
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