日本薬理学雑誌
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88 巻 , 1 号
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  • 木村 隆仁, 仲澤 幹雄, 今井 昭一
    1986 年 88 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    抗不整脈薬 bunaftine の電気生理学的作用をガラス微小電極法により検討した.モルモット乳頭筋標本の活動電位に対し,bunaftine 1,5 および 10 mg/l は用量依存的な活動電位立ち上り速度の抑制作用を示した.静止膜電位及び活動電位高にはいずれの用量においても大きな変化は認められず,活動電位持続時間 (APD50,APD90) は bunaftine 1 および 5 mg/l により有意に延長したが 10 mg/l では有意な変化は認められなかった.また不応期 (ARP) はすべての用量で有意に延長し,10mg/l では灌流前値に比べ177%と大きく延長した.対照薬として用いた disopyramide は活動電位立ち上り速度の抑制,活動電位持続時間および不応期の延長など bunaftine とほぼ同様の作用傾向を示したが,不応期延長作用は bunaftine に比べて弱く,ARP/ADP90 比において bunaftine では有意な増加が認められたのに対し,disopyramide ではいずれの用量においても有意な変化は認められなかった.また両薬物ともイヌ心室筋においてもモルモットの場合とほぼ同様の変化を生じせしめた.以上の成績より bunaftine は電気生理学的に disopyramide とほぼ同様の作用を示すが,不応期延長作用のかなり強い薬物であると考えられる.
  • 葛声 成二, 土居 孝行, 森本 繁, 佃 良一, 志野 晟生, 牧 良孝
    1986 年 88 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症治療薬として開発中の ipriflavone (TC-80) の急性及び慢性疼痛に対する効果をラット及びマウスを用いて検討した.TC-80 50~300 mg/kg 単回経口投与は急性疼痛モデルのマウスフェニルキノン writhing 法,マウス酢酸 writhing 法,マウス熱板法及びラット tail flick 法でいずれも鎮痛作用を示さなかった.また,TC-80 100 mg/kg/day の3週間連続経口投与後に,急性疼痛モデルのラット酢酸 writhing 法及びラット tail flick 法で検討したが,鎮痛効果は認められなかった.慢性疼痛モデルのラットアジュバント関節炎痛に対し,TC-80 100 mg/kg/day の3週間連続経口投与で鎮痛効果を検討した結果,雄ラットでは2~3週間後に疼痛抑制傾向が認められ,また卵巣摘除 estrone 補充雌ラットでは2週後に有意な鎮痛効果が認められた.雌ラットのアジュバント関節炎後肢の軟X線検索での骨病変,及び病理組織学的に検索した滑膜炎,骨膜新骨形成,骨破壊などの病変は,TC-80 群で抑制傾向が認められた.以上,TC-80 は急性疼痛モデルで鎮痛作用を示さないが,慢性疼痛モデルにおいて鎮痛作用を示した.この鎮痛作用は本剤の本来有する骨病変改善作用に基づく2次的効果と結論された.
  • 渡辺 繁紀, 太田 尚, 桜井 康子, 高尾 勝幸, 植木 昭和
    1986 年 88 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    慢性電極植込みウサギを用いて,行動を観察しながら脳波および大脳辺縁系後発射に対する 450191-S ならびにその代謝産物の作用を調べ,nitrazepam および estazolam と比較した.450191-S は 0.1~0.5 mg/kg,i.v.投与でウサギは鎮静状態となり,これに伴って脳波は全般的に傾眠パターンとなった.すなわち皮質,扁桃体では高電圧徐波,海馬ではθ波の同期がくずれて不規則なパターンとなった.この場合,皮質では高電圧徐波に速波成分(β波)が重畳するのが特徴的であった.脳波のパワースペクトルでも皮質では低周波のパワーの著明な増大がみられ,また15 Hz 前後のパワーも軽度に増加した.これらの作用は nitrazepam および estazolam でも同様で,450191-S の作用強度は estazolam とほぼ同程度であったが,nitrazepam よりも強かった.作用の持続は 450191-S が一番長い.音刺激,中脳網様体,後部視床下部および視床内側中心核の電気刺激による脳波覚醒反応はいずれも 450191-S により著明に抑制された.閃光刺激により後頭葉皮質に誘発される電位は 450191-S により著明に抑制された.漸増反応は 450191-S によりほとんど影響されなかった.海馬および扁桃体刺激による後発射は 450191-S によって著明に抑制された.これらの作用は nitrazepam および estazolam でも同様であったが,450191-S の作用は estazolam とほぼ同程度で,nitrazepam よりも強かった.450191-S の代謝産物は質的には母物質と全く同様の脳波作用を示し,また M-1 および M-2 は母物質とほぼ同程度の作用強度および持続であったが,M-A の作用は母物質よりも弱くまた持続も短かった.
  • 小野 尚彦, 山本 紀之, 角南 明彦, 山崎 靖人, 三宅 秀和
    1986 年 88 巻 1 号 p. 33-46
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    新しいindomethacin(IND)の誘導体であるproglumetacin maleate(PGM)の急性ならびに亜急性・慢性炎症に対する作用を各種実験炎症モデルを用い,等モル用量のINDと比較検討した.急性炎症モデルである血管透過性亢進およびcarrageenin足浮腫に対して,被験薬1時間前投与時のPGMの効果はINDの約1/2であったが,4時間前投与時のPGMの効果は1時間前投与時の約2倍に増加した.kaolin足浮腫および紫外線紅斑に対するPGMの効果はINDよりも若干弱かった.carrageenin胸膜炎において,PGMの白血球遊走抑制作用は明らかにINDよりも強力であった.亜急性炎症モデルであるcarrageenin肉芽嚢法による抗滲出液作用および綿球法による抗肉芽腫作用は,PGMとINDでほぼ同等であった.慢性免疫炎症モデルであるadjuvant関節炎に対するPGMの予防効果は,adjuvant処置足の腫脹抑制でみるとINDとほぼ同等であったが,非処置足ではINDよりも強く,全身炎症症状の改善効果も著明であった.治療効果においても,PGMの効果はINDとほぼ同等以上であった.以上,PGMは急性炎症に対してはINDと同等か若干弱いが,その作用は概して遅効性であり持続的であった.急性炎症後期の白血球遊走抑制作用はINDよりも強く,亜急性・慢性免疫炎症に対してはINDより強いか同等の効果であった.これらの抗炎症作用態度より,PGMは特に慢性関節リウマチなどの慢性炎症性疾患に好ましい薬剤といえる.このPGMの抗炎症作用の大部分は生体内で代謝されたINDによるものと考えられるが,足浮腫試験でPGMを局所投与した際でも抗炎症作用が認められたことより,PGM本体も薬理活性を有する可能性も考えられ,PGMはいわゆるプロドラッグとは厳密な意味で少し挙動を異にするものであった.
  • 木戸 康博, 杉山 光太, 中尾 誠仁, 樫山 英二, 須田 武雄, 宮本 剛八郎, 清水 剛文, 新谷 成之, 郡 英明
    1986 年 88 巻 1 号 p. 47-56
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    branched-chain amino acid(BCAA)を多く,aromatic amino acid(AAA)を少なく配合した肝不全用経腸栄養剤SF-1008Cの肝性脳症改善効果を検討した.肝性脳症による昏睡状態のモデルとして門脈下大静脈吻合ラットに10% ammonium acetate(3ml/kg,i.p.)を投与し(PCS群),血中ammonia濃度,血漿中および脳内遊離amino acid濃度,脳内amine濃度,脳波を測定した.PCS群では,擬手術群(Sham群)に比べて血中ammonia濃度,血漿中遊離AAA濃度が有意に増加した.その結果,血漿中BCAA/AAA比は著しく低下した.血漿中遊離amino acid濃度異常に伴い脳内遊離AAA濃度がShamに比べPCS群で有意に増加した.さらに,脳内amine濃度において,PCS群は,Sham群にくらべtryptophan(Trp)及び5-hydroxyindole acetic acid(5-HIAA)濃度が有意に増加し,dopamine(DA)濃度が有意に減少した.しかし,serotonin(5-HT)及びorepinenphrine(NE)濃度に変化は認められなかった.脳波ではSham群に比べPCS群で脳波電位の低下が認められた.SF-1008Cは,増加した血漿中遊離AAA,脳内遊離AAA,脳内Trp,脳内5-HIAA濃度を減少させ,脳波電位の低下を抑制した.一方,良質蛋白質である卵蛋白質のamino acid組成を基とした成分栄養剤ED-ACは,血漿中遊離AAA,脳内遊離AAA,脳内Trp,脳内5-HIAA濃度の減少を認めず,脳波電位の低下も抑制しなかった.これらの結果はSF-1008Cが血漿中遊離amino acid濃度を是正することにより脳内遊離amino acid濃度,ひいては脳内amine代謝,脳波に影響を及ぼしていることを示唆する.さらに,血漿中BcAA/AAA比と脳内BcAA/AAA比との間には,正の相関関係(r=0.9585)が認められ,血漿中遊離amino acid濃度が脳内遊離amino acid濃度を反映していることが示唆された.
  • 宮田 健, 甲斐 広文, 斉藤 宗敏, 岡野 善郎, 高浜 和夫, 中川 満夫, 児島 昭次
    1986 年 88 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ambroxolは痰の性状を考慮する必要がない去痰薬で,その作用には肺表面活性物質の分泌亢進が関与するといわれているが,気道全域における肺表面活性物質の意義及び去痰作用との関連を実証した報告はない.本研究では,まず,ウサギの気道液及び痰中の肺表面活性物質に関する基礎的検討を行ない,ついで,気道液中の肺表面活性物質に対するambroxolの作用をin vivoで検討した.ウサギ気道液中のphosphatidyl cholineの脂肪酸は,肺洗浄液の場合よりも多くの飽和脂肪酸から構成され,palmitic acidが約60%を占めた.飽和脂肪酸の総リン脂質中に占める割合は約80%であった.一方,痰では,不飽和脂肪酸特にoleic acidが多く含まれ,総リン脂質中飽和脂肪酸が占める割合は約60%,palmitic acidは約30%で,いずれも低下していた.ambroxol 20mg/kg胃内投与により,気道液量の増加と共に,飽和脂肪酸特にpalmitic acidが有意に増加し,蛋白質含量の増加も認められた.以上の結果から,肺表面活性物質は肺胞レベルに留まらず気道全域のクリアラソスに重要な機能を及ぼし,ambroxolは肺表面活性物質を増加させ,気道粘膜を潤滑化することにより去痰効果を現わすものと考えられる.
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