日本薬理学雑誌
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92 巻, 5 号
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  • 大石 了三
    1988 年 92 巻 5 号 p. 271-281
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    Histamine (HA) is synthesized from L-histidine by histidine decarboxylase (HDC), and HA released from neurons is predominantly methylated to tele-methylhistamine (t-MH), which is further metabolized by MAO. Therefore, the HA turnover rate is determined by either a exponential decrease in HA level after treatment with α-fluoromethylhistidine (α-FMH), a specific HDC inhibitor, or a linear accumulation of t-MH after pargyline treatment. Brain HA and t-MH can be simultaneously assayed using HPLC with fluorometric detection. Care should be given to avoid the contamination by extraencephalic mast-cell HA after microwave irradiation or immersion in liquid nitrogen, and to a marked circadian variation of t-MH level. The HA turnover is the highest in the hypothalamus, low in the pons-medulla oblongata and cerebellum, and nil in the spinal cord in rats, mice and guinea pigs. The half-life of neuronal HA is 8 ?? 87 min in various brain regions of these animals. Barbiturates, enflurane, benzodiazepines, GABA-mimetic drugs, ethanol and Δ9-tetrahydrocannabinol significantly decrease the HA turnover, whereas μ-opioid agonists such as morphine and [D-Ala2, McPhe4, Gly(ol)5] enkephalin enhance it. Footshock and phencyclidine also enhance it at least partly via μ-opioid receptors. Chlorpromazine, haloperidol, imipramine, methamphetamine or halothane have no influence on the HA turnover.
  • 古川 勝雄, 角田 幸子, 内山 利満
    1988 年 92 巻 5 号 p. 283-295
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    ラット,モルモットにおける guanethidine,6-hydroxydopamine(6-OHDA)による化学的除交感神経および reserpine の影響を血圧,心拍数反応を指標として薬力学的に,心房筋ならびに大動脈の神経終末,副腎髄質 adrenaline 顆粒を中心として電顕組織学的に検討した.guanethidine,6-OHDA処置は urethane 麻酔ラット血圧を有意に低下したが,reserpine は影響せず,モルモットではいずれの処置も血圧に影響しなかった.すべての処置により,両動物で adrenaline 昇圧反応の増強がみられ,adrenaline の反射性徐脈の増強や tyramine 昇圧・頻脈の抑制はラットで顕著であった.モルモットの guanethidine 5週間処置は1週間処置より adrenaline および tyramine 反応への影響が少なかった.組織学的には無処置動物で右心房の神経終末および副腎髄質の adrenaline 顆粒の存在形態にラットとモルモットでは差がみられ,ラット胸大動脈では交感神経終末を確認できなかった.薬物処置群ではモルモットの副腎髄質における顆粒の存在形態の変化にラットと差がみられ,6-OHDA 処置ラットにのみ,心筋傷害像がみられた.モルモットの guanethidine 5週間処置でみられた回復過程を思わせる電顕像は薬力学的反応の結果と一致した.以上の結果は化学的除交感神経状態のみならず正常な状態でもラットとモルモットに動物種差があることや化学的除交感神経の薬力学的な影響はモルモットよりラットにおいて著しいことを示唆する.
  • 横地 英治, 河野 茂勝, 大幡 勝也
    1988 年 92 巻 5 号 p. 297-310
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    新規消化管機能改善剤 mobenzoxamine(MBX)β-cyclodextrin 包接化合物(MBX-CD)の消化器系に対する作用を metoclopramide,domperidone および trimebutine と比較検討した.1)MBX-CDはイヌ apomorphine 誘起嘔吐に対し,metoclopramide の約1/4,domperidone の約1/40,硫酸銅誘起嘔吐に対し,metoclopramide の約1/4の抑制作用を示した.2)ラット胃内容排出に対し,MBX-CDはmetoclopramide と同等の促進作用を示し,BaCl2 による排出抑制モデルにおいては MBX-CD のみに明らかな改善作用が認められた.同様に,マウス BaCl2 小腸輸送能亢進モデルにおいても MBX-CD のみが改善作用を示した.3)摘出モルモット胃および摘出ウサギ腸の自動運動に対し,MBX および trimebutine は抑制作用を示したが,papaverine の抑制作用とは質的な相違が示唆された.4)摘出モルモット回腸の各種アゴニストによる収縮に対し,MBX は trimebutine あるいはpapaverine と同等あるいはそれ以上の拮抗作用を示した.以上のように,MBX-CDあるいはMBXは他の消化管機能改善剤個々の性質を併せ持ち,さらに,それ以外の特徴的な作用も有しており,消化器系に対する広範な作用が期待される.
  • 森川 宏二, 垣内 正人, 山内 利栄, 橋本 繁輝, 宮下 直志, 市橋 美紀, 沢田 陽子, 加藤 日出男, 伊藤 安夫
    1988 年 92 巻 5 号 p. 311-324
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    HY-770 の排尿反射並びに尿道内圧に及ぼす作用を,ラット,イヌおよびネコを用いて検討し,その作用を頻尿治療薬である flavoxate・HCl (flavoxate),terodiline・HCl(terodiline)および oxybutynin・HCl(oxybutynin)と比較した.1)HY-770 は静脈内投与(2,4mg/kg)および十二指腸内投与(12.5,25mg/kg)によって,ラットの律動的膀胱収縮を用量-依存的に消失させ,その消失作用の活性は静脈内投与ではflavoxate,terodiline および oxybutynin とほぼ同等であったが,十二指腸内投与ではflavoxate よりも明らかに強く,terodiline と同等かそれ以上であった.2)HY-770の静脈内投与(3,4あるいは8mg/kg)は,ラット,イヌおよびネコの膀胱内圧曲線の排尿までの時間(実質膀胱容量)を用量-依存的に排尿圧に影響を及ぼすことなく増加させ,HY-770の十二指腸内投与(25mg/kg)もネコの実質膀胱容量を増加させた.3)HY-770の静脈内投与(4,8mg/kg)は,ラットの下腹神経切断あるいは慢性膀胱カテーテル挿入による頻尿モデルの実質膀胱容量を用量-依存的に増加させた.4)HY-770の十二指腸内投与(25mg/kg)は,イヌの尿道内圧をわずかに低下させた.以上の結果より,HY-770は神経因性膀胱や不安定膀胱などによる頻尿症状の改善に有効性が示唆された.
  • 大見 広規, 日野 智子, 山本 公信, 上垣 正彦, 中村 一博, 市原 和夫, 安孫子 保
    1988 年 92 巻 5 号 p. 325-335
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    抗不整脈薬である cibenzoline の虚血心筋におよぼす作用を麻酔開胸犬を用いて調べた.左冠動脈前下行枝の結紮によって,心筋ATPとクレアチン燐酸含量は低下し,ADP,AMP含量が増加した.また,心筋グリコーゲン含量は低下し,乳酸含量が増加して,心筋組織はアシドージスになった.すなわち,冠動脈を閉塞して心筋を虚血すると,心筋はエネルギー不足になり,心筋代謝は好気的代謝から嫌気的代謝に移行した.cibenzoline を 2mg/kg または 8mg/kg を虚血開始5分前に投与しておくと,虚血によるATP減少,乳酸の蓄積が抑制され,組織アシドージスは改善された.以上の結果から,cibenzoline は虚血による心筋エネルギー状態の悪化を防ぎ,心筋組織に蓄積する乳酸や水素イオンを低下させるので,この薬物は心筋に対する虚血の影響を軽減する作用を有することが示唆された.
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