日本薬理学雑誌
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105 巻 , 3 号
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  • 斎藤 尚亮
    1995 年 105 巻 3 号 p. 127-136
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    Protein kinase C (PKC) is a key enzyme involved in various types of signal transduction, and it is most abundant in the nervous system. Available evidence suggests that PKC plays a prominent role in neuronal transmission. PKC is a member of a family consisting of at least eleven subspecies: α, βI, βII, γ, δ, ε, η, θ, μ, ζ and λ. The individual role of each subspecies could not be demonstrated because of the homologous structure of the PKC subspecies. We studied the distinct functional roles of PKC subspecies in the central nervous system by defining the detailed localization of each subspecies. The immunocytochemical localization suggested that cPKCs (α, βI, βII, and γ) function postsynaptically, while ε-PKC preferentially modulates the synaptic efficacy in the presynapse. GAP-43, a presynaptic PKC substrate involved in neuronal plasticity, was preferentially phosphorylated by ε-PKC rather than α, β and γ -PKC. As the ε-PKC could be activated by arachidonic acid, it is strongly suggested that in the case of LTP, the presynaptic ε-PKC is activated by arachidonic acid released postsynaptically and phosphorylates GAP-43, resulting in the increase in glutamate release.
  • 小野 信悦
    1995 年 105 巻 3 号 p. 137-144
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    イミダゾリン誘導体α2-交感神経受容体遮断薬であるmidaglizoleのラット単離膵島のインシュリン分泌およびcAMPレベルに及ぼす影響をヨヒンビンと比較した.その結果,midaglizoleは,ヨヒンビンと同様エピネフリン刺激によるインシュリン分泌およびcAMPレベルの低下を回復させた.しかし,midaglizoleは,ヨヒンビンと異なり,エピネフリンを添加しない膵島でも,グルコースによるインシュリン分泌およびcAMPレベルを増強した.この増強効果は,ヨヒンビン共存下あるいはIAP(百日咳毒素)前処置によりα2-交感神経受容体機能が遮断された場合でも依然として認められたが,Ca-チャネル遮断薬のベラバミル共存下では消失した.以上のことより,midaglizoleは,交感神経活性の元進時にはヨヒンビンと同様α2-交感神経受容体に働き膵島cAMPレベルとインシュリン分泌の低下を阻害する加グルコース刺激時にはヨヒンビンとは異なりα2-交感神経受容体を介することなく膵島cAMP産生を増強しインシュリン分泌を高めていると推測された.
  • 木村 伊佐美, 永濱 忍, 川崎 真規, 神谷 明美, 片岡 美紀子
    1995 年 105 巻 3 号 p. 145-152
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    われわれはこれまで,ラットに3%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を自由飲水させることにより,体重の増加抑制,血便および貧血などの症状並びに大腸におけるびらんの形成,さらに小腸病変を欠くことなどの点でヒト潰瘍性大腸炎に類似した実験的潰瘍性大腸炎モデルが作製できることを確認した.また潰瘍性大腸炎発症動物のホルマリン固定大腸標本は,1%アルシアンブルーにより濃淡のある特徴的な青色に染色され,その濃青色領域は組織学的にびらんであることを明らかにした.今回,薬物の治療効果を評価する上で病態の程度が均等で,かつバラツキの小さい大腸炎モデルを作製するための実験条件について種々検討し,以下の結果を得た.1)ラットに3%DSSを連日自由飲水させ,飲水開始後に90%以上の個体に血便が観察された時点で選別した.2)選別基準は,(1)選別日を含めて少なくとも2日以上連続して血便が観察されること,(2)ヘモグロビン濃度が10g/d1以上であることおよび(3)選別当日の体重が,前日の体重に比べ20g以上減少していないこととした.3)選別基準を満足するラットを用い,選別日より1%DSSの自由飲水に切り替えることにより,血便の発現びらんの形成並びに赤血球数,ヘモグロビン濃度およびヘマトクリット値の低下,さらに生存率および体重などの面からみて,薬物の治療効果を判定できる適度な病態の維持が可能となった.4)選別日より1%DSSの自由飲水下でサラゾスルファピリジン(1日1回14日間経ロ投与)およびプレドニゾロン(1日1回7日間直腸内投与)を反復投与した場合,両薬物は潰瘍性大腸炎モデルに対して有意な治療効果を示した.以上の結果,本モデルを用いて1%DSSの自由飲水に切り替えた日より薬物投与を開始することにより,有用な潰瘍性大腸炎治療薬の評価が可能と考える.
  • 内田 勝幸, 五十嵐 康子, 大場 誠一, 大林 繁夫, 三崎 則幸
    1995 年 105 巻 3 号 p. 153-159
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ラット酢酸潰瘍縮小期における新規抗潰瘍薬IGN-2098の効果を検討した.潰瘍は胃前壁胃底腺幽門腺境界部粘膜下に20%酢酸0.05mlを注入して作製した.潰瘍作製3日目に内視鏡観察を行ない,各群の潰瘍の大きさ(長径×短径)が等しくなるように群分けを行った,潰瘍作製4日目より17日目まで1日2回薬物(IGN-2098;10,30mg/kg,ファモチジン;10,30mg/kg,塩酸ロキサチジンアセタート;30,100mg/kg)を経口投与した.18日目に動物を致死させ,潰瘍の大きさから薬物の効果を評価した.また,全例の写真を撮影し,潰瘍辺縁隆起の程度を評価した.辺縁隆起の程度と組織学的な潰瘍辺縁の結合織量とは有意な相関を示した.今回用いた薬物はいずれも酢酸潰瘍の治癒を促進したが,その効果はIGN-2098が最も強力であり,次いでファモチジン,塩酸ロキサチジンアセタートの順であった.また,IGN-2098投与群では対照群に比べ辺縁隆起の見られる例数が明らかに少なかった.以上の結果から,IGN-2098は潰癌辺縁隆起を起こさず潰瘍の治癒を促進することから再発が少ない潰瘍治療薬になる可能性が考えられた.
  • 田中 博之, 出口 隆志
    1995 年 105 巻 3 号 p. 161-169
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    マウス胎児培養心筋細胞を用いて,低酸素条件下での心筋障害に対するジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬である塩酸ベニジピンの心筋保護作用について検討した.低酸素心筋障害は,培養条件を低酸素条件(PO2,≤20mmHg)にして24時間培養することで惹起させた.細胞障害性の指標としては,拍動性,生存率(NR assay),培養液中へのLDH放出,細胞内のATP量を測定した.低酸素条件下では,培養24時間後でほとんどの細胞の拍動が停止し,生存率が好気的条件の約40%に低下した.さらに培養液中へのLDH放出が増加し,細胞内のATP量が低下した.塩酸ベニジピンは低酸素条件下での生存率の低下,LDH放出の増加および細胞内ATP量の低下を1~10nM以上の濃度で抑制した.また,mH放出に対する抑制作用は同系のカルシウム拮抗薬(ニソルジピン,ニトレンジピン,ニフェジピン)に比べ強かった.以上のことから,塩酸ベニジピンは低酸素条件下でのマウス胎児培養心筋細胞に対して心筋保護作用を有していることが示唆された.
  • 佐藤 靖子, 渡辺 寛, 檜森 憲夫
    1995 年 105 巻 3 号 p. 171-176
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    non-dihydropyridine誘導体である新規カルシウム拮抗薬Ro40-5967の血管拡張作用をラット腸間膜動脈灌流標本を用いて検討した.Ro40-5967 10-6Mとニフェジピン10-7MはKCl(20,40,60μmol)による一過性の血管収縮を同程度抑制した,Ro40-5967(10-6M)はノルエピネフリン(200,300,400ng)投与および経壁電気刺激(4,8,10Hz)による一過性の血管収縮反応を有意に抑制した.これに対しニフェジピン10-7Mでは有意な抑制作用は認められなかった.ノルエピネフリン(200,300,400ng)および経壁電気刺激(4,8,10Hz)による血管収縮反応はエンドセリン-1 10-10Mによって著明に増強された.この増強反応に対してRo40-5967 10-6Mはこれを完全に抑制した.これに対しニフェジピン10-7Mは抑制作用を示さなかった.Ro40-5967はラット腸間膜動脈灌流標本において同程度のKCl収縮抑制を示す濃度を用いた場合,ニフェジピンと比べてノルエピネフリン投与,経壁電気刺激およびそれらのエンドセリン-1による収縮増強反応に対し強い抑制作用を示した.
  • 馬場 剛, 武田 弘志, 李 踐偉, 高田 香, 渋谷 健
    1995 年 105 巻 3 号 p. 177-185
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    新規抗うつ薬フルボキサミン(FLU)の作用機序および薬理学的特徴を考究する目的で,本薬物の単回あるいは反復経ロ投与によるラット大脳辺縁系内セロトニン(5-HT),ノルエピネフリン(NE)およびドパミン(DA)作働性神経系の動態について各神経伝達物質の代謝回転を指標として検討した.FLUの単回投与は,扁桃体において,5-ヒドロキシインドール・3・酢酸(5-HIAA)/5-HT値の減少(60mg/kg投与)および4・ヒドロキシ-3-メトキシフェニールグリコール(MHPG)/NE値の減少(30,60mg/kg投与)を誘発したが,3,4-ジヒドロキシフェニール酢酸(DOPAC)/DA値には影響を及ぼさなかった.海馬では,15mg/kg投与により,MHPG/NE値が増加した.また,FLUの30,60mg/kg投与により,海馬での5-HIAA/5-HT値は減少したが,MHPG/NEおよびDOPAC/DA値は変化しなかった.FLU単回投与により,中隔野における5-HIAA/5-HT,MHPG/NEおよびDOPAC/DA値はいずれも変化しなかった.一方,イミプラミン(IMI)の30mg/kg単回投与により,海馬の5-HIAA/5-HT値および扁桃体,海馬でのMHPG/NE値の減少,さらに検討した3脳部位(扁桃体,海馬,中隔野)におけるDOPAC/DA値の減少が認められた.FLU30mg/kgの1日2回,14日間反復投与後,扁桃体および海馬における5-HIAA/5-HT値が減少した.また,扁桃体内MHPG/NE値の増加と中隔野におけるMHPG/NE値の減少が認められた.しかし,各脳部位でのDOPAC/DA値は変化しなかった.IMI30mg/kg反復投与は,中隔野のDOPAC/DA値を減少した.以上の成績から,FLUは,扁桃体および海馬の5-HT作働性神経系において,5-HT再取り込み機構を阻害し,5-HT代謝回転を抑制することが示唆される.また,FLUは,大脳辺縁系内NE代謝回転にも影響を及ぼすが,その作用は,各種神経系間の相互作用を介した間接的なものと推察される.さらに,FLUは,大脳辺縁系におけるDA代謝回転に影響を及ぼさないことや扁桃体,海馬で誘発する5-HT代謝回転抑制作用は耐性が生じないなどの特徴を有することが示唆された.
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