日本薬理学雑誌
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90 巻, 1 号
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  • 柳原 行義, 江田 昭英
    1987 年 90 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    Soluble factors released by both T and B cells are involved in the class-specific regulation of IgE antibody formation; some factors have affinity for IgE, whereas others do not. The induction phase of the primary and secondary IgE antibody response is highly sensitive to treatment with such factors or some drugs. In contrast, persistent IgE antibody formation is mostly insensitive to the same treatments, indicating that this phase differs apparently from the induction phase. Thus, it is very important to note the marked differences between the regulatory mechanisms of these two phases when drugs responsible for the suppression of IgE antibody response are developed. In the present review, the recent advances pertaining to the regulation of IgE antibody formation in animals and humans are described in view of immunopharmacology.
  • 3.サル摘出動脈弛緩作用と末梢性降圧機序
    中島 成元, 上田 元彦
    1987 年 90 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    サル各種摘出動脈を用いてpinacidilの弛緩作用をnifedipine,hydralazineのそれらと比較し,SHRを用いてpinacidilの降圧作用と心拍数増加作用機序について検討した.prostaglandin Fで収縮した各種摘出動脈における弛緩強度は,pinacidilでは腸間膜=大腿>中大脳=脳底の順で,nifedipineでは中大脳=脳底=冠>大腿,hydralazineのそれは大腿>中大脳=冠の順であった.脊髄破壊(pithed)SHRにおいて,pinacidilはhydralazineと同様に用量依存性の降圧作用を示した.SHRにおいてpinacidil 0.1mg/kg,0.3mg/kg,i.v.は顕著な血圧下降を示したが,同用量の脳室内投与は有意な作用を示さなかった.したがって,pinacidilの降圧作用には中枢の関与はほとんどないものと考えられる.pinacidlの静脈内投与時には降圧作用に続いて心拍数の増加が認められるが,pithed SHRにおいては大量投与(3mg/kg,i.v.)でも心拍数増加が認められず,正常SHRでのpinacidilの心拍数増加作用はpropranolol処置で抑制された.これらの実験成績から,pinacidilのSHRにおける降圧機序は末梢性の血管拡張作用によるもので,心拍数増加作用は降圧に伴なう反射性の交感神経興奮にもとつくものと考えられる.
  • 小畑 俊男, 江頭 亨, 山中 康光
    1987 年 90 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    サル肝臓中に含まれるmonoamineox oxdase(MAO)は基質として主にtyramineおよびβ-phenylethylamineを酸化し低濃度のdeprenylとpargylineで阻害された事より主としてB型MAOであることが判明した.MAOの阻害剤であるpargylineはMAOと1:1の分子比で非可逆的に結合することよりMAOの存在の指標として3H-pargylineを用い,電気泳動法的にサル肝臓B型MAOの存在状態について検討した.サル肝臓ミトコンドリア中のMAOに3H-pargylineを結合させ6%sodium dodesyl sulfate (SDS)で可溶化処理した後に分子量をSDS電気泳動法で求めたところサブユニットの分子量は6万であった.ところが2%SDSで可溶化処理した場合は6万と12万にピークが認められた.一方,SDSを含まないディスク(DISC)電気泳動法を用いて種々ゲル濃度とその時のMAO分子の各易動度からMAOの分子量を求めたところ約12万であった.このことよりサル肝臓ミトコンドリアMAOは本来6万のサブユニットを2個持ったdimerで存在することが明らかとなった.サル肝臓B型MAOの等電点(pI)をゲル等電点電気泳動法により求めた.0.1%と0.75%Triton X-100および0・75% Lubrolでサル肝臓ミトコンドリアを可溶化処理した場合,pIはおよそ6.5付近であった.またミトコンドリア膜の脂質を分解するphospholipase Aおよびmethylethylketoneでサル肝臓ミトコンドリアを前処理した後0・75%Triton X-100で可溶化した場合も同様にpIは6.5付近であった.したがってサル肝臓ミトコンドリア中に含まれるB型MAOの等電点は可溶化剤の種類やミトコンドリア膜を構成している脂質の有無には左右されないことが判った.
  • 阿部 充生, 小野 靖彦, 山崎 芳伸, 氏家 新生, 池田 滋
    1987 年 90 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    ウサギおよびモルモットの摘出膀胱筋を用いてterodiline,favoxatcおよびoxybutyninの作用を比較検討した.terodilineはウサギ摘出膀胱筋標本におけるcarbacholの用量反応曲線を10-6Mで右方に平行移動し,3×10-6M以上ではその最大収縮も抑制した.favoxateは10-5M以上でのみ最大収縮を抑制した.oxybutyninは10-8Mより用量反応曲線を右方へ移動させたが最大収縮には影響しなかった.terodilineはウサギ摘出膀胱筋標本のCa収縮を用量依存的に抑制した.ウサギ摘出膀胱筋の経壁電気刺激による収縮を3×10-7M atropineは最大で35%,3×10-6M nifedipineは最大で73%抑制したにすぎなかった.しかし,10-7M atropine存在下に10-6M nifedipineを適用すると経壁電気刺激による収縮はほぼ完全に消失した.また,oxybutyninは3×10-7Mで30%抑制したにすぎなかったが,terodilineは10-6Mよりflavoxateは10-5Mより用量依存的に抑制し,各々10-4M,3×10-4Mでは完全に抑制を示した.モルモット摘出膀胱,大脳,心房および回腸ミクロソーム画分への1-quinuclidinyl-[phenyl-4-3H]-benzilateの結合を,terodilineは用量依存的に阻害したが,そのIC50値はatropineの場合と同様各組織間で大差はなかった.terodiline(3×10-6~10-4M)はモルモット膀胱組織片への45Ca取込みを用量依存的に抑制したが,45Ca流出には影響しなかった.10-4M flavoxateは45Ca取込みに対し軽度な抑制を示したにすぎなかった.以上のことより,terodilineは抗ムスカリンとカルシウム拮抗の両作用を有し,flavoxateおよびoxybutyninとは異なる機作により膀胱収縮を抑制するものと思われる.
  • 脳内モノアミン取り込みおよび代謝回転に及ぼす影響
    瀬戸口 通英, 竹原 修造, 酒盛 政光, 阿南 惟毅, 丸山 裕
    1987 年 90 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    実験的学習・記憶障害モデル動物で改善作用を示すY-8894,(±)2-[[o-(2-thenyl) phenoxy] methyl]morpholine maleateの脳内モノアミン取り込みおよびモノアミン代謝回転に及ぼす影響をマウスを用いて検討し,以下の成績を得た.1)in vitroでnorepinephrine(NE)の脳シナプトソームへの取り込みを強く阻害した.dopamine(DA)およびserotonin(5-HT)取り込み阻害作用は弱く,NEの場合に比し,それぞれ,約1/800および約1/1250の活性であった.2)in vivoではNEの取り込みを阻害し,DAおよび5-HTの取り込みを阻害しなかった.3)NEの代謝物である3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)のprobenecid投与後の脳内蓄積を抑制し,5-HTの代謝物である5-hydroxyindoleacetic acid (5-HIAA)の蓄積を亢進させた.DA代謝物のhomovanillic acid (HVA)の蓄積には影響を及ぼさなかった.以上の成績をimipramine,calcium hopantenate(Ca-hopantenate)およびdihydroergotoxineと比較した.本実験で得られた成績から,Y-8894の作用機序にNE取り込み阻害作用による脳内NE受容体刺激作用,また一部には5-HT受容体遮断作用の関与が示唆された.
  • 竹田 茂文, 加瀬 義夫, 新井 一郎, 大倉 靖史, 長谷川 雅之, 関口 裕子, 立木 朱美, 布野 秀二, 油田 正樹, 細谷 英吉
    1987 年 90 巻 1 号 p. 51-65
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素(CCl4)を長期間投与することにより作製した慢性肝障害ラットを用い,五味子リグナン成分TJN-101の肝線維化ならびに肝部分切除後の肝再生におよぼす作用を検討した.CCl4反復投与による肝線維化の進展過程を投与開始後6,9および12週目において調べたところ,血清トランスアミナーゼ活性の上昇ならびに肝4-ヒドロキシプロリン量の増加がCCl4の投与期間に応じて認められた.これら生化学パラメーターの変化は9週目以降でとりわけ大きく,6週目では脂肪肝の状態であるが,9週目で明瞭な線維の増生,12週目で半数が肝硬変像という肝組織所見をよく反映していた.1)CCl4を12週間にわたって投与した慢性肝障害ラットにおいて,TJN-101は10~30mg/kg!day,P.o.のcCl4投与後7週目からの6週間投与あるいはCCl4投与後10週目からの3週間投与で生化学的には血清トランスアミナーゼ活性の上昇ならびに肝4-ヒドロキシプロリン量の増加を用量依存的に抑制するとともに,肝総蛋白質量や肝糖質量の減少を軽減させ,組織学的にも肝線維化を用量に依存して抑制した.2)肝部分切除後の肝再生におよぼすTJN-101の作用をCCl4を10週間にわたって投与した慢性肝障害ラットを用いて検討したところ,TJN-101は30~100mg/kg/day,p.o.の術後1日目からの6日間投与で肝再生率を用量依存的に増加させるとともに,低下したBSP排泄能を改善した.以上の結果から,TJN-101は慢性肝障害において肝線維化の亢進を抑制するとともに,低下した肝蛋白質合成能や糖質代謝を改善し,肝部分切除後の肝臓の修復・再生を促進させる作用を有することが明らかとなった.
  • ―ストレス負荷による免疫機能の低下に対する作用―
    松岡 隆夫, 吉井 春夫, 末廣 誠之
    1987 年 90 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    マウスに1日当り夜間16時間の拘束ストレスを連続2日間にわたって負荷し,ストレスによる免疫機能の変動に対するNeurotropinの作用を検討した.この拘束ストレス負荷マウスでは,T細胞依存性抗原である羊赤血球(SRBC)に対する抗体産生能および遅延型足蹠反応が著しく抑制され,また,マクロファージの貧食活性もストレス負荷終了直後に著明に低下した.このようなストレス状態下のマウスにNeurotropinを投与したところ,抗体産生能,遅延型足蹠反応の低下が有意に回復されることが明らかになり,また,マクロファージの貧食活性の低下に対してもその回復を早める作用が認められた.一方,ストレス非負荷マウスに同様にNeurotropinを投与した場合,抗体産生能,遅延型足蹠反応およびマクロファージの貧食活性はほとんど影響を受けなかった.これらの結果から,Neurotropinは拘束ストレス負荷により低下した免疫機能を回復させることが示唆された.
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