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児玉 美千世, 山田 博康, 松本 陽子, 林 亮平, 野田 育江, 田中 未央, 平本 智樹, 赤木 盛久, 渡邉 千之, 北本 幹也, ...
2010 年 107 巻 8 号 p.
1283-1289
発行日: 2010年
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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37歳男性,統合失調症により他院に入院中,腹痛と頻回の嘔吐が出現したため当院に転院した.腹部超音波検査にて上腸間膜動脈症候群と判断し,さらに体位による十二指腸内容物の通過状態を観察したところ,右側臥位で大動脈と上腸間膜動脈間の幅が最も広がり内容物の通過が良好であったため食後30分の右側臥位を指導した.この処置により症状の軽快を得られ,食事摂取も十分に可能となり,胃・十二指腸の拡張も消失した.
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榊原 祐子, 瀧川 貴生, 川端 由梨, 廣谷 環, 向井 香織, 松本 健吾, 中西 文彦, 田中 好男, 増田 栄治, 肱岡 泰三
2010 年 107 巻 8 号 p.
1290-1295
発行日: 2010年
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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症例は,42歳,女性.長期滞在中のインドネシアにて2007年3月初旬頃より,嘔気,および水様性下痢が出現.帰国後も持続したため,同3月下旬当院を受診した.原虫検査にて,
Cyclospora cayetanensisと同定され,ST合剤(trimethoprim-sulfamethoxazole)1.6g/日の投与により軽快した.サイクロスポーラ症は,新興病原体の1つであり,集団感染や,旅行者下痢症が報告されている.サイクロスポーラ流行地域から帰国した下痢症の患者に対しては,原虫疾患を念頭に置くことが必要である.
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朝蔭 直樹, 原口 美明, 鈴木 貴久, 小林 滋, 山崎 滋孝
2010 年 107 巻 8 号 p.
1296-1304
発行日: 2010年
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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症例は63歳,女性.主訴は腹部膨満,両側頸部腫瘤.AFPが11700ng/d
l,S状結腸腫瘍生検の免疫染色がAFP陽性であり,AFP産生S状結腸癌,多発性肝転移,全身リンパ節転移と診断.僧帽弁閉鎖不全症もあり全身状態不良のためS-1投与を開始.1コース投与後,治療効果なく急激に悪化し入院第59病日永眠され,病理解剖を行った.自験例を含め本邦報告67例のAFP産生大腸癌を検討し文献的考察を加え報告する.
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中村 文彦, 佐々木 隼人, 春山 晋, 松浦 良徳, 須田 浩晃, 服部 克哉, 樋口 良太, 剛崎 寛徳
2010 年 107 巻 8 号 p.
1305-1311
発行日: 2010年
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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30歳代女性.排便時虫体排泄により来院.虫体観察で日本海裂頭条虫と診断した.後日施行したVirtual enterographyで,小腸全体に線状低吸収域を,Virtual enteroscopyで節状,帯状構造物を認め,虫体遺残と判断し,Praziquantel内服により駆虫した.Virtual enterography,Virtual enteroscopyが有用であった日本海裂頭条虫症の1例である.
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遠藤 哲, 盛 有希, 福士 嗣海, 山口 公平, 佐藤 研, 坂本 十一, 福田 眞作, 和田 龍一
2010 年 107 巻 8 号 p.
1312-1318
発行日: 2010年
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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30歳女性.2008年7月,遷延する肝障害の精査加療目的で当科へ紹介入院となった.自覚症状はなく,CTでは肝脾腫を認めたが,リンパ節腫脹は認めなかった.EBV-DNA定量2.9×10
6コピー/μg DNAと著明に増加しており,加えて,肝生検組織中でEBウイルスが証明されたことより慢性活動性EBウイルス感染症と診断した.患者は2006年5月にも一過性の肝障害で受診しており,原因不明の肝障害の鑑別疾患として慢性活動性EBウイルス感染症は念頭に置くべき疾患の1つと考えられた.
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岩下 雅秀, 前田 晃男, 田上 真, 渡部 直樹, 高田 淳, 浅野 貴彦, 畠山 啓朗, 林 隆夫, 西脇 伸二, 齋藤 公志郎
2010 年 107 巻 8 号 p.
1319-1327
発行日: 2010年
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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72歳女性.C型慢性肝炎に対しペグインターフェロンαとリバビリン併用療法を施行した.開始から40週を経過したころ左内眼角に皮疹が出現し,生検の結果サルコイドーシスと診断した.両薬を中止し,精査したところ両側肺門リンパ節腫脹,ブドウ膜炎,完全房室ブロックを認めた.恒久的心ペースメーカーの埋め込みを行い,副腎皮質ステロイド剤投与にてサルコイドーシスは寛解した.
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又木 雄弘, 新地 洋之, 蔵原 弘, 前村 公成, 南 幸次, 瀬戸山 徹郎, 上野 真一, 迫田 雅彦, 山元 隆文, 高尾 尊身, 夏 ...
2010 年 107 巻 8 号 p.
1328-1334
発行日: 2010年
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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症例は65歳女性.上腹部痛・発熱を主訴に来院.急性膵炎の診断で点滴加療を行った.膵炎軽快後に腹部造影CTを行い,膵頭部に2cm大の低吸収域の腫瘤を指摘.超音波内視鏡下に穿刺吸引を行い,膵腺房細胞癌と診断された.膵頭十二指腸切除術が行われ,最終病理診断にて同診断であった.膵腺房細胞癌は膵癌の1%未満であり,術前の生検で同診断を確定し,根治的手術を行い得たのは極めてまれであり,文献的考察を加え報告する.
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濱 知明, 進士 明宏, 野沢 祐一, 小松 健一, 太田 裕志, 武川 建二, 田村 泰夫, 山村 伸吉, 小口 寿夫
2010 年 107 巻 8 号 p.
1335-1339
発行日: 2010年
公開日: 2010/08/05
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症例は62歳男性.右腎盂結石に対して体外衝撃波砕石術を受けた.施行中からの右季肋部痛と同日夜,膵酵素の上昇,CT上膵頭部の腫大認め,急性膵炎と診断された.翌日より尿量低下,胸腹水貯留を認め当院に転院となった.重症急性膵炎と診断し動注療法と持続血液濾過透析を含めた集学的治療により軽快し第30病日に退院となった.尿路結石に対するESWLの早期合併症の1つとして急性膵炎を考慮すべきである.
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