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大座 紀子, 江口 有一郎, 大谷 響, 綱田 誠司, 坂田 祐之, 岩切 龍一, 藤本 一眞
2009 年 106 巻 2 号 p.
201-207
発行日: 2009年
公開日: 2009/02/05
ジャーナル
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症例は72歳女性.非代償性肝硬変の合併がある.食事を誤嚥し嘔吐反射後に吐血を認め来院した.緊急上部消化管内視鏡で胸部中部食道後壁に裂創を認めたため,クリッピングを行い縫合止血した.術後の胸部CTで縦隔気腫を認め,Boerhaave症候群と診断した.非典型的な部位に発症し,保存的治療で軽快した.重症化に至らなかった原因として,過去の内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)の影響が推測された.
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松本 由美, 安永 祐一, 浜部 敦史, 白石 衣里, 堅田 龍生, 乾 由明, 辻江 正樹, 坂田 千尋, 興梠 隆, 西川 正博
2009 年 106 巻 2 号 p.
208-215
発行日: 2009年
公開日: 2009/02/05
ジャーナル
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73歳女性.大腸内視鏡検査で回盲部結核と診断され,化学療法中であった.治療開始1カ月後,イレウスを発症.回盲部の病変は改善していた.イレウスチューブを挿入し保存的治療で一旦軽快したが再発.チューブ再挿入時の造影直後のCTで回腸に3カ所狭窄を認め,開腹手術を施行.回腸結核によるイレウスであった.抗結核療法中に小腸結核によるイレウスを発症することがあり,治療前に小腸結核の検索も考慮する必要がある.
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岩田 浩和, 吉田 陽一郎, 長谷川 順一, 根津 理一郎, 澁川 成弘, 吉原 治正, 吉川 澄
2009 年 106 巻 2 号 p.
216-221
発行日: 2009年
公開日: 2009/02/05
ジャーナル
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75歳女性.突然の下腹部痛,発熱,血便を主訴に受診.CTで直腸後面から腎後面に及ぶ後腹膜気腫および直腸周囲に便塊様陰影認め,穿通性直腸潰瘍と診断したが,全身状態が安定,腹部症状が限局していたため,保存的治療を開始.その後の下部消化管内視鏡所見では直腸S状部後壁に潰瘍性病変認め,同部位からの穿通と考えられた.後腹膜気腫をともなう穿通性直腸潰瘍に対し保存的に加療し得た1例を経験したので報告する.
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上坂 邦夫, 勢馬 佳彦, 十倉 正朗, 嶋田 安秀
2009 年 106 巻 2 号 p.
222-227
発行日: 2009年
公開日: 2009/02/05
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症例は82歳女性.くも膜下出血で入院中に発熱,嘔吐,血圧低下と右季肋部痛を認めた.腹部CTで胆嚢内腔に鏡面像と胆嚢を輪郭するガス像を呈し,緊急手術で胆嚢壊死を認めた.胆嚢の動脈に血栓,胆嚢梗塞を認め,胆汁,壊死組織から
Clostridium属が検出された.気腫性胆嚢炎の病因は循環不全に起因する壊死組織にガス発生菌の感染が加わり発症するとの説を,本症例は病理組織学的に裏付けるものと考えられた.
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新後閑 弘章, 浮田 雄生, 南部 知子, 大牟田 繁文, 遠藤 琢朗, 前谷 容
2009 年 106 巻 2 号 p.
228-232
発行日: 2009年
公開日: 2009/02/05
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症例は54歳,男性.全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術およびChild変法再建後3年から膵炎を繰り返していた.しかし摂食で腹痛が出現するため内視鏡的に膵管ロストチューブを抜去したところ改善した.膵消化管吻合時に用いられている膵管ロストチューブは自然脱落するか,主膵管壁との間隙から膵液が流出すると考えられている.しかし自然脱落せず膵炎を繰り返し,内視鏡的抜去が有効であったので文献的考察を加えて報告した.
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浦田 孝広, 一二三 倫郎, 竹熊 与志, 肱岡 範, 具嶋 亮介, 階子 俊平, 長岡 克弥, 吉永 秀哉, 北田 英貴, 川口 哲, 山 ...
2009 年 106 巻 2 号 p.
233-239
発行日: 2009年
公開日: 2009/02/05
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患者は69歳,女性.近医で急性膵炎と診断され,同時にUSで膵鉤部の低エコー腫瘤を指摘された.膵IPMNに起因した急性膵炎と診断され精査加療目的に紹介となった.超音波では後方エコー増強をともなうhypoechoicな腫瘤像を呈し,造影CTでは膵実質相から辺縁部が濃染し,内部は平衡相にかけ樹枝状に濃染する像を呈した.MRIはT1強調像でlow intensity, T2強調像でhigh intensityを呈し,MRCPでややhigh intensityに描出された.ERCPでは下頭枝が閉塞していた.最終病理診断は,著明な粘液結節の形成と,粘液を多量に含有する膵粘液癌であった.
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中山 奈那, 永田 信二, 川瀬 理恵, 石田 友希, 桑原 隆泰, 津村 貴子, 木村 茂, 辻 恵二, 大越 裕章, 金子 真弓, 日高 ...
2009 年 106 巻 2 号 p.
240-246
発行日: 2009年
公開日: 2009/02/05
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11歳,女性.腹痛,吐·下血を主訴に来院し,上部消化管内視鏡検査にて十二指腸に多発性潰瘍と腹部CTにて空腸の拡張,腸管壁肥厚を認めた.その後下肢に紫斑が出現し第XIII因子の低下も認めHenoch-Schönlein紫斑病(HSP)と診断した.経過中に急性膵炎を発症し,メシル酸ナファモスタット,第XIII因子製剤,ステロイド投与にて紫斑,膵炎ともに軽快し,HSPに合併した膵炎と診断した.
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真鍋 麻紀, 法正 恵子, 河口 剛一郎, 大谷 英之, 前田 和範, 八杉 晶子, 村脇 義之, 松本 和也, 香田 正晴, 原田 賢一, ...
2009 年 106 巻 2 号 p.
247-252
発行日: 2009年
公開日: 2009/02/05
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症例は86歳,男性.心臓カテーテル検査の3週間後に脾膿瘍を発症し,ショック状態となった.エコーガイド下に緊急膿瘍ドレナージ術を行い,全身状態は急速に改善し,第32病日退院となった.起炎菌は
Staphylococcus haemolyticusが考えられた.脾膿瘍に対して経皮的ドレナージが著効したので,文献的考察を加え報告する.
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