Dihydrocholesterol を家兎に投与して胆嚢に結石を発生させ, その際の血清および肝のコレステロール値を測定し, 肝•胆嚢•膵の組織学的検索を行なつた. 肝総コレステロール量が, 投与後, 有意の増加を示し, 組織学的には, 胆嚢粘膜上皮脱落, 筋層肥厚や, 肝グリソン鞘内•小葉内細胞浸潤が認められる例が多かつた. 胆嚢結石は全例に発生し, これら結石は鏡検により顆粒状の結晶が不規則に集積したものであることを認めた. 結石の超軟X線撮影や偏光顕微鏡下では, この結晶構造を観察することはできなかつた. 従来, Dihydrocholesterol 投与により随伴する胆嚢炎の意義について相反する報告がなされているが, 胆嚢の組織変化から, 胆汁中胆汁酸の急激な変化による可能性を示唆した.
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