日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
113 巻 , 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
総説
  • 川井田 みほ, 辻川 華子, 坂元 亨宇
    2016 年 113 巻 5 号 p. 761-766
    発行日: 2016/05/05
    公開日: 2016/05/05
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌は他の臓器の癌同様,多段階発癌の過程を示す.各段階の病変は明確に定義されているものの,組織像のみでは診断に苦慮することも多い.現在,早期肝細胞癌で発現異常を示す分子は診断補助のマーカーとして応用されている.肝細胞癌は進展するにつれ分化度を減じた高悪性度の領域を有するようになり(結節内結節),それにともない分子異常も変化していく.近年,遺伝子発現プロファイリングやそれらを用いたメタ解析により,遺伝子発現に基づいた進行肝細胞癌を細分類する試みや,より実践的な,免疫組織化学的手法を用いた分類が検討されている.いずれも進行肝細胞癌の病態や悪性度を理解するための手段として興味深い.
今月のテーマ:肝細胞癌の分子解析と悪性度診断
  • 加藤 直也
    2016 年 113 巻 5 号 p. 767-774
    発行日: 2016/05/05
    公開日: 2016/05/05
    ジャーナル フリー
    次世代シークエンサーを用いた肝細胞癌の全ゲノム解析により,そのゲノム異常の全貌が見えてきた.ドライバー遺伝子変異として,既報のp53,Wnt/β-cateninシグナル分子に加え,TERTプロモーター,クロマチン制御分子などの変異が新たに見つかった.B型肝炎ウイルスによる肝細胞癌ではウイルスゲノムがTERT遺伝子領域に多く組み込まれていた.日本人の肝細胞癌の変異塩基置換パターンは特有で,未知の発癌要因の存在が示唆された.肝細胞癌のゲノム異常は多様性に富み,遺伝子変異を標的とした普遍的に有効な分子標的治療開発の困難さが浮き彫りとなった.個々のゲノム異常に基づいた個別化医療を進める必要性がある.
  • 西田 直生志, 工藤 正俊
    2016 年 113 巻 5 号 p. 775-784
    発行日: 2016/05/05
    公開日: 2016/05/05
    ジャーナル フリー
    細胞形質の多様性はゲノムのみならずエピゲノム情報によっても規定され,後者はゲノム情報読み取りの制御機構といえる.肝細胞癌において,エピゲノム変異を示す遺伝子はゲノム変異よりも遥かに多様である.またエピゲノム制御機構の破綻は,癌の発生のみならず幹細胞様形質の獲得にも重要であると想定される.近年の高速シークエンス技術の発達により,肝細胞癌でもエピゲノム情報の維持に関わる種々の遺伝子の変異が明らかとなり,さらに環境因子のエピゲノム情報に及ぼす影響やその機序も解明されつつある.今後は,肝細胞癌のマネージメントにおいて,ゲノム・エピゲノム変異の包括的な情報が重要になると予想される.
  • 安井 豊, 黒崎 雅之, 泉 並木
    2016 年 113 巻 5 号 p. 785-789
    発行日: 2016/05/05
    公開日: 2016/05/05
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌は世界で約78万人が罹患し,慢性肝疾患を母体として発生することが多い.発癌に関する種々の分子機構が解明されつつあり,分子病理学的特徴を軸としたサブクラス分類も提唱されている.一方で,肝細胞癌の画像診断はダイナミックCTの高精細化やEOB-MRI・Sonazoid造影超音波の登場で,より早期の診断や腫瘍の悪性度診断が可能となってきている.得られる画像所見がどのような分子病理学的特徴を基盤としているかについて多方面からの研究が進んでおり,治療の必要性や再発・予後予測に関する個別化医療につながっている.
  • 藍原 有弘, Jack R. WANDS, 田中 真二
    2016 年 113 巻 5 号 p. 790-797
    発行日: 2016/05/05
    公開日: 2016/05/05
    ジャーナル フリー
    進行肝細胞癌は手術を含め集学的治療が試みられるが,容易に転移,再発し予後不良の疾患である.分子生物学的アプローチの進歩により,肝細胞癌の分子病態解明が進んでいる.われわれは進行肝細胞癌予後不良因子としてM期チェックポイントタンパクAurora kinase Bの亢進,肝細胞癌幹細胞マーカーであるEpCAM高発現を見出した.また,細胞間相互作用に重要なNotch経路の肝細胞癌発癌,進展への寄与が示唆されており,その制御機構の一部が明らかとされた.進行肝細胞癌の分子制御には多数の分子メカニズムの関与が予想され,分子病態を基盤とした新規治療開発が期待されている.
症例報告
症例に学ぶ
feedback
Top