日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
109 巻, 8 号
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総説
  • 工藤 正俊
    2012 年 109 巻 8 号 p. 1327-1334
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/06
    ジャーナル フリー
    進行肝細胞癌は脈管浸潤もしくは肝外転移を有する肝癌で局所治療が不可能な肝癌と定義される.日本においてはインターフェロン+5FUやlow dose FPを用いた動注化学療法が行われ,良好な成績をあげている.一方,日本以外の海外では進行肝癌に対する第一選択の治療法は分子標的薬ソラフェニブである.現在,進行肝癌に対する新薬の開発やソラフェニブと動注との併用臨床試験が進行中であり,この臨床試験が成功すれば,進行肝癌の予後は著しく向上するであろう.
今月のテーマ:進行肝癌治療の現状と今後
  • 山下 竜也, 金子 周一
    2012 年 109 巻 8 号 p. 1335-1345
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/06
    ジャーナル フリー
    肝癌に対する肝動注化学療法は,既存の治療法の対象外または治療効果が期待できない肝内進行肝癌(肝内多発例,脈管侵襲例)に対する治療として本邦で行われてきた.肝動注化学療法の標準的治療法は確立されておらず,シスプラチンや5-FUが用いられることが多い.肝動注化学療法では腫瘍縮小効果は約30%にみられるものの,生命予後延長効果を示したエビデンスはないため,海外ではその位置づけは低い.本邦での進行肝癌に対する標準治療となったソラフェニブによる全身療法との治療選択は,それぞれの治療法の特徴をよく理解し治療法選択を行う必要がある.
  • 池田 公史, 光永 修一, 清水 怜, 大野 泉, 高橋 秀明, 奥山 浩之, 桑原 明子, 奥坂 拓志
    2012 年 109 巻 8 号 p. 1346-1354
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/06
    ジャーナル フリー
    ソラフェニブは,プラセボと比較した2つのランダム化比較試験において明らかな延命効果が示され,進行肝細胞癌に対する標準治療として位置付けられた.これまで局所療法を駆使して患者の延命を図ってきたが,ソラフェニブの登場で生存期間の更なる延長が期待できるようになった.ソラフェニブを上手く活用するために,適応,治療成績や副作用を熟知しておくことが重要である.また,ソラフェニブ登場前から日本でよく行われている肝動注化学療法との棲み分けを明らかにすることも重要である.現在,ソラフェニブは局所療法後の補助療法,肝動脈化学塞栓術との併用療法の開発が行われており,早期の対象にも適応が広がることが期待されている.
  • 古瀬 純司
    2012 年 109 巻 8 号 p. 1355-1359
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/06
    ジャーナル フリー
    切除不能進行肝細胞癌に対する標準治療薬sorafenibに続いて,新しい分子標的薬が数多く開発されている.作用機序からみると,血管新生阻害薬として,VEGFRを含むマルチキナーゼ阻害薬,VEGFR単独の阻害薬あるいは抗体薬がある.一方,増殖シグナル伝達阻害薬としてmTOR阻害薬,IGF-1R阻害薬,TGF-βR阻害薬,c-Met阻害薬など多彩である.その他,TRAIL受容体やglypican-3に対する抗体薬,合成レチノイド,STAT3阻害薬などが開発されている.治療のターゲットとしては,1次治療,2次治療以降,肝動脈化学塞栓療法との併用,根治治療後の補助療法に分けられる.
症例報告
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