-
内圧面からの検討
岡野 均, 児玉 正, 辻 秀治, 高升 正彦, 光藤 章二, 古谷 慎一, 西田 博, 佐藤 達之, 大石 享, 丸山 恭平, 瀧野 辰郎
1986 年 83 巻 12 号 p.
2509-2513
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤硬化療法刺入部位に一致した潰瘍形成がしばしば認められる. これら潰瘍症例では Heart burn などの自覚症状を訴えることが多く, さらに潰瘍治癒後に dysphagia が持続することもある. これらの問題を考慮し, われわれは硬化療法が食道機能におよぼす影響を内圧面から検討したので報告する. 食道静脈瘤患者 (待期および予防例) 20例を検討対象とした. 食道機能の検討には, 従来よりわれわれが行つている Perfused open tip 法を用い, 硬化療法前後での下部食道括約筋静止圧 (Resting LES pressure), 蠕動波圧 (Peristaltic wave pressure) の変化を検討した. 硬化療法施行が3回以上におよぶ症例で硬化療法後潰瘍が認められる傾向にあつた. 刺入部潰瘍が治癒するとともに, 自覚症状は消失し, 3カ月以上症状が持続した症例はなかつた. 硬化療法前, 終了後1カ月目に行つた食道機能検査では, 潰瘍形成群に下部食道括約筋圧, 蠕動波圧の低下傾向を認めたが, 6カ月後には正常に復する傾向にあつた. 硬化療法が食道機能に与える影響は, 可逆的であることより, 長期的には問題とならないものと考えられた.
抄録全体を表示
-
家兎胃粘膜器官培養法を用いて
宮本 忠寿, 伊藤 誠, 松佐古 敬, 池田 和雄, 城 卓志, 今井 新平, 安江 直二, 横山 善文, 勝見 康平, 武内 俊彦, 野口 ...
1986 年 83 巻 12 号 p.
2514-2519
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
カルバコールおよびCCK-8によるペプシノーゲン(Pg)分泌が細胞内, 細胞外いずれのカルシウムイオン (Ca
2+) によつて mediate されるかを明らかにするために, calcium channel blocker (ベラパミル) と intracellular calcium antagonist (ニコランジル) を用い, 家兎胃粘膜器官培養法で検討した. ニコランジルはカルバコール刺激Pg分泌を10
-5Mの濃度で対照の24%, 10
-4Mで43%, またCCK-8刺激Pg分泌を10
-6Mで28%, 10
-5Mで32%, 10
-4Mで45%と有意に抑制したが, ベラパミルでは何ら影響がみられなかつた. 以上よりカルバコールおよびCCK-8刺激によるPg分泌の機序には, 細胞外Ca
2+の influx よりも細胞内Ca
2+の mobilization が重要な役割を果たしていると考えられた.
抄録全体を表示
-
吉田 武史
1986 年 83 巻 12 号 p.
2520-2528
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
潰瘍性大腸炎患者30例につき, 末梢血T細胞 subset を fluorescence activated cell sorter (FACS) を用いた flow cytometry により検討し, Leu-2a陽性細胞の比率が活動期患者群で著減していた. 更に同一患者群で Con A-induced suppressor T細胞機能も低下していた. T細胞の分化, 増殖に重要な interleukin 2 (IL2) に関しては, その産生能に異常を認めないが, 活動期末梢血T細胞の exogenous IL2に対する反応能は低下しており, この低下は主にLeu-2a陽性細胞のIL2-receptor 発現障害によることが明らかとなつた.
以上より, 本症では suppressor T細胞の分化, 増殖障害に基づく suppressor T細胞の数, 機能の低下が存在し, 自己免疫現象発現に重要な意義を果たすことが示唆された.
抄録全体を表示
-
田中 洋輔, 真辺 忠夫, 戸部 隆吉
1986 年 83 巻 12 号 p.
2529-2537
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
閉塞性黄疸時の空腹時末梢血中 secretin, gastrin の変動および変動の機序を検討するため犬を用い総胆管結紮を施行し, さらに外胆嚢瘻造設による減黄, cimetidine 負荷による胃酸分泌抑制を行つた. secretin の測定には新しく開発されたEIA法を用いた. secretin 値, gastrin 値ともに総胆管結紮後2日目以降高値となり結紮後の有意の上昇を示し, 術後8日目に外胆嚢瘻造設を行うと secretin 値は翌日以降有意に低下した. また総胆管結紮後 cimetidine を負荷しても secretin 値上昇は抑制されず, 結紮後2~4週でもなお secretin 値が著しい高値を持続したのに対し gastrin 値は軽度の低下傾向を示した. 血中 secretin 値上昇の主因として, 肝障害に基づく肝での extraction の低下が想定された.
抄録全体を表示
-
須田 都三男, 神尾 裕, 松生 恒夫, 三上 誠, 文 豊, 鈴木 康元, 中田 哲也, 里井 重仁, 堀口 正晴
1986 年 83 巻 12 号 p.
2538-2544
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
75g経口糖負荷試験後約2年間における, 肝硬変症の肝性脳症発症率と死亡率を調べた. 肝硬変症を耐糖能曲線によつて分類した4群の中で, 糖尿病型で, 空腹時血糖が140mg/dl未満であり, しかも高い2時間値 (空腹時血糖の2.5倍以上) を呈した症例は最も高い肝性脳症発症率と死亡率を示し, 肝機能低下が最も著しく, この群は血中ケトン体比 (acetoacetate/β-hydroxybutyrate) の低下と血漿 amino acid imbalance により, 肝性脳症を発症し易い状態にあると示唆された. これらより経口糖負荷試験は, 肝性脳症や死亡率の予知の指標として有用であることが示された. 肝硬変症における著しい糖代謝障害は, 肝性脳症の発症に関与すると考えられた.
抄録全体を表示
-
関 守一, 溝口 靖紘, 斉藤 忍, 塩見 進, 阪上 吉秀, 坂口 浩樹, 黒木 哲夫, 針原 重義, 小林 絢三, 門奈 丈之, 山本 ...
1986 年 83 巻 12 号 p.
2545-2549
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
当科において過去17年間に経験した薬剤性急性肝不全症例11例について, 臨床病理学的に検討した.
薬剤性急性肝不全の発生頻度は, 薬剤性肝障害の約3%であり, ウイルス等の他の原因を含めた急性肝不全の約26%であつた.
本疾患では, 意識障害が出現すると, 極めて予後が悪く, 10日前後以内に死亡する例が多数を占めた. 薬剤の長期投与に際し, 定期的に肝機能検査を行うことの重要性を, 薬剤による肝障害の発生機序を踏まえ強調した.
抄録全体を表示
-
特に肝細胞癌との鑑別において
渡辺 義郎, 江原 正明, 大藤 正雄, 吉川 正治, 杉浦 信之, 木村 邦夫, 税所 宏光, 土屋 幸浩, 奥田 邦雄
1986 年 83 巻 12 号 p.
2550-2562
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝血管腫21例にMRI (磁気共鳴画像) を施行し, 肝細胞癌との鑑別診断を中心とした肝血管腫に対するMRIの診断能について検討した. 肝血管腫に特徴的なMRI所見は, 1) 辺縁明瞭で内部はほぼ均一, 2) IR像で脾と同等あるいはそれ以下の信号強度を示す, 3) T2強調SE像で脾と同等あるいはそれ以上の信号強度を示すことであつた. また検出限界は腫瘍径1.5cmであつた. 肝細胞癌との鑑別診断能は, 正診率97.5%と優れた成績を示した. さらに他の腫瘤性肝疾患との鑑別も可能であることが示唆された. 肝血管腫の診断において, 非侵襲的検査法である超音波検査とMRIの併用は検出から確定診断にいたるまできわめて有用である.
抄録全体を表示
-
特に「3カ月毎」治療の意義について
池田 健次, 熊田 博光, 中村 郁夫, 荒瀬 康司, 野澤 靖美, 吉場 朗, 煎本 正博
1986 年 83 巻 12 号 p.
2563-2570
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝細胞癌98例に対しのべ332回の頻回肝動脈塞栓術(TAE)を施行し, 治療効果を検討した. 1年生存率は71.6%, 2年生存率は44.1%, 3年生存率は30.5%と良好な成績で, 繰り返しTAEを行うことにより, 画像診断上肝癌の消失した「著効」も13例に認められた. 肝癌の残存の認められた例について「3カ月毎」にTAEを行つた86例と行わなかつた12例についてみると, 前者では30例の死亡のうち8例のみが原発巣死であつたのに対し, 後者では12例の死亡のうち10例が原発巣による死亡であつた. 頻回TAEにより多くの肝癌の延命は十分に可能であるが, 浸潤型やHBe抗原陽性例の中には治療効果の不良な症例も認められた.
抄録全体を表示
-
笹川 豊
1986 年 83 巻 12 号 p.
2571-2579
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変例では, Pancreozymin-Secretin 試験はほとんどが3因子とも正常であり, 膵管造影でも異常を示さぬものが多いが, PFD試験を施行すると異常低値を高率に示し, 腸吸収能, 肝機能, 腎機能の影響をさけるためPABA吸収試験で補正しても, なお異常率は高かつた. これら肝硬変例の血中PABAの推移をみると, PFD試験正常例と異常例との間に差異を認めなかつた. また, 尿中PABA排泄率は肝機能検査成績とは相関せず, クレアチニンクリアランスと相関が認められた. このことから肝硬変例のPFD試験異常は, 膵外分泌機能低下を表わすよりは腎機能低下の影響を受けていることが示唆された.
抄録全体を表示
-
前田 治伸
1986 年 83 巻 12 号 p.
2580-2587
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性膵炎, なかんずく膵の線維化と脂肪置換の成因を解明する目的で, 雑種成犬を用い, 膵液流出障害および膵循環障害モデルを作成し, その病理組織学的変化を経時的に観察した. 膵管遮断のみでは膵管周囲や小葉間, 小葉内の線維化がみられ, 膵管と膵動脈の同時遮断では膵管周囲や小葉間, 小葉内の線維化が増強し, 膵管遮断のみではみられない膵脂肪置換がみられた. また, 膵管と膵動脈を異時的に遮断すると, より高度な膵の線維化と脂肪置換がみられ, ヒト慢性膵炎に酷似した組織像を呈した. 以上より, 膵液流出障害が膵の線維化を, また, 膵虚血が膵の脂肪置換を惹起する重要な因子であることが立証された.
抄録全体を表示
-
山雄 健次, 中澤 三郎, 内藤 靖夫, 瀬川 〓生, 木本 英三, 森田 敬一, 乾 和郎, 大沼 俊和, 船川 武俊, 林 芳樹
1986 年 83 巻 12 号 p.
2588-2597
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
粘液産生膵腫瘍12症例(5例の腺腫を含む)を中心に臨床病理学的に検討した. 臨床像は, 年齢, 性, 主訴, 病悩期間, 臨床経過の点で通常の膵癌とは異なつていた. 診断では, USは膵管拡張や嚢胞の所見による拾い上げ, ERCPは確定診断, 造影CT, 血管造影は手術の可否, 膵管鏡は切離線の決定に有用であつた. 病理学的には, 組織型は多彩であつたが, 全例に膵管内に乳頭状の腫瘍が存在した. 前癌病変として腺腫や過形成が考えられた. 粘液産生腺腫や腺癌と嚢胞腺腫や嚢胞腺癌とが腫瘍発生の点で密接に関係していることが示唆された. 粘液産生腫瘍は病理学的のみでなく, 臨床的特徴 (乳頭像や膵管像) も加味し定義すべきであると考えた.
抄録全体を表示
-
板野 徹, 友田 純, 原田 仁史, 上坂 好一, 香川 俊介, 杉原 徹, 藤木 茂篤, 渡辺 正朝, 本郷 俊樹, 中郷 玄太郎, 森本 ...
1986 年 83 巻 12 号 p.
2598-2601
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
種広 健治, 高木 巌, 安井 健三, 角田 徹, 鈴木 亮而
1986 年 83 巻 12 号 p.
2602-2605
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
平山 雅章, 石塚 英夫, 川村 洋, 所 正彦, 奥山 泰史, 金田 春雄, 松尾 裕, 本田 利男
1986 年 83 巻 12 号 p.
2606-2611
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
山下 幸孝, 梶村 幸三, 梶山 徹, 玉田 尚, 西尾 彰功, 山本 富一, 洲崎 剛, 兼松 雄象
1986 年 83 巻 12 号 p.
2612-2615
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
松田 裕子, 松本 正廣, 水嶋 宣章, 玉腰 勝敏, 石井 英正, 中島 猛行, 金井 弘一, 小杉 伊三夫, 室 博之
1986 年 83 巻 12 号 p.
2616-2620
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
小松 眞史, 鈴木 俊太郎, 戸堀 文雄, 八木沢 仁, 石田 秀明, 荒川 弘道, 正宗 研, 伊藤 善信
1986 年 83 巻 12 号 p.
2621-2625
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
香月 武人, 谷川 尚, 佐藤 新五, 中川 昇
1986 年 83 巻 12 号 p.
2626-2629
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
加藤 功, 辻 博, 梶原 英二, 酒見 隆信, 村井 宏一郎, 赤木 公博, 藤島 正敏, 伊藤 英明, 住吉 金次郎, 田村 正三
1986 年 83 巻 12 号 p.
2630-2634
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
免疫組織化学的手法を用いた検討
松本 誉之, 樋口 和秀, 荒川 哲男, 北野 厚生, 小林 絢三, 名倉 宏
1986 年 83 巻 12 号 p.
2635
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
高橋 豊, 上野 雅資, 磨伊 正義, 草間 悟
1986 年 83 巻 12 号 p.
2636
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
由村 俊二, 荻野 景規, 岡 紳爾, 坂井田 功, 松浦 伸二郎, 佐々木 敏行, 山本 一成, 河村 幸子, 安武 隆二郎, 有馬 功三 ...
1986 年 83 巻 12 号 p.
2637
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 貫野 徹, 宮島 慶治, 申 東桓, 関 守一, 小林 絢三, 森沢 成司, 山本 祐夫
1986 年 83 巻 12 号 p.
2638
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
須田 耕一, 徳丸 忠昭, 小山 敏雄, 鈴木 不二彦, 宮野 武
1986 年 83 巻 12 号 p.
2639
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
一瀬 雅夫, 三木 一正, 清水 明浩, 黄 士哲, 岡 博, 降旗 千恵, 松島 泰次郎, 高橋 健治
1986 年 83 巻 12 号 p.
2640
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー