合成Substance P(以下S-Pと略す)を免疫抗原として作製した抗体を使用し,2抗体法によるラジオインムノアッセイ系を確立し,検討を加えた.この系における測定限界は120pg/mlであり,VIP, ACTH,グルカゴン,ガストリン,セクレチン,モチリン,カルチトニン,CCK-PZとの交叉反応は認められなかつた.S-Pの血中濃度は正常人では平均445pg/mlであり,300pg/mlより650pg/mlに含まれており,肝疾患,甲状腺機能亢進症,慢性腎不全,分裂病で高値が認められた.甲状腺機能亢進症では,T3,T4が高値を示す症例に血中S-Pが高値を示す傾向が認められた.肝疾患では,胆道系酵素といわれているLAP, Al-P,γ-GTP,に有意の相関が認められたが,肝実質性酵素といわれている.GOT, GPTには有意の相関は認められなかつた.イヌに機械的胆道狭索を作成した実験で,経時的に血中S-P値の上昇を認めた.この事は,胆道閉塞という機序が,何か血中S-P上昇に関与していると考えられる.
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