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長畑 洋司, 裏川 公章
1986 年 83 巻 7 号 p.
1289-1297
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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近年ドパミン (DA) が単にノルエピネフリン (NE) の前駆物質としてだけでなく, 胃においてもそれ自体一定の役割を有する神経伝達物質として注目を集めている. 著者らはラットをもちいて水浸拘束ストレス負荷時の胃粘膜NE•DA量を測定したところ, NEは減少したが, DAはストレス8時間後97.4%増加した. また, DAを10μg/kg/min投与すると胃壁血流増加, 胃運動抑制, 胃酸分泌減少作用が認められ, DA投与群に水浸拘束ストレスを負荷すると, 対照群と比較して潰瘍指数の上昇が抑制された. 以上のことから, DAはストレス潰瘍発生過程で一定の作用を果していると考えられた.
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林 義峰, 本郷 道夫, 佐竹 賢三, 豊田 隆謙, 後藤 由夫, 奥山 信一
1986 年 83 巻 7 号 p.
1298-1303
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
固形食胃排出能の評価にはアイソトープ法が最も定量性に優れた方法である. 我々はアイソトープの標識が確実で, 食事の調理が容易な固形試験食を考案した.
99mTcスズコロイド標識オムレツ, トーストと牛乳よりなり, 総カロリーは590kcalである.
99mTcスズコロイド標識オムレツは水, 塩酸中ではアイソトープの液体相への遊離は殆どみられず, 胃液中では12%の遊離を認めた. 試験食摂取後, 胃排出曲線は20~40分の停滞の後直線的に下降する固形食に特有のパターンを示した. 健常者10名の成績は胃排出開始時間は31±9分, 150分後の胃内残存率は37±19%であつた. この試験食は固形食胃排出能の測定に適するものと考えられる.
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広瀬 昭一郎, 島崎 圭一, 服部 信
1986 年 83 巻 7 号 p.
1304-1310
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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イヌ空腸の水•電解質•ブドウ糖吸収に対する secretin•pancreozymin•caerulein の影響を検討した. Secretin (エーザイ) 2あるいは4u/kg/hr を静注するとブドウ糖の吸収は対照に比し有意に低下した. Secretin (エーザイ) 4u/kg/hr と pancreozymin (Boots) 4u/kg/hr を同時に投与すると, 水•Na•ブドウ糖の吸収は secretin 単独投与時に比して有意に増加した. Secretin (GIH) 1cu/kg/hr の静注時, 水•Na•ブドウ糖の吸収は対照に比し有意に低下した. この secretin 静注と caerulein 0.4μg/kg/hr の静注を同時に行うと, 水•Na•ブドウ糖の吸収は secretin の単独投与時に比して有意に増加した. 以上の成績および caerulein はCCKと極く近似した作用を有することから, secretin は空腸の水•Na•ブドウ糖の吸収を抑制し, CCKはそれを回復させる働きがあると考えられた.
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超音波ドップラー法による脾動脈血流の測定
中村 武史, 森安 史典, 伴 信之, 西田 修, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 槇野 久春, 有吉 浄治, 三宅 健夫, 内野 治人
1986 年 83 巻 7 号 p.
1311-1317
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
各種肝疾患患者及び正常対照者の脾動脈血流を超音波ドップラー法を用い測定し, X線CTによる脾容積と併せ検討した. 肝硬変 (LC) 群 (842±483ml/min, mean±S.D.), 特発性門脈圧亢進症 (IPH) 群 (1456±630ml/min) の血流量は共に正常者 (NC) 群 (381±168ml/min) より多く, IPH群はLC群より多量であつた. pulsatility index はIPH群 (0.650±0.019) がLC群 (0.710±0.075) 及びNC群(0.737±0.079) より低値であつた. 脾の単位容積当りの血流量はLC群 (1.79±0.78ml/min/cm
3) がIPH群, NC群 (2.37±0.48, 3.29±0.96ml/min/cm
3) より低値であつた. 以上より, 1) 門脈血流における脾血流の役割はIPHがLCより大きいこと, 2) 脾の血管抵抗はLCで減少しIPHで著しく減少していること, が示唆された.
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結核死菌感作モルモットに対する Purified Protein Derivatives (PPD) および Propionibacterium acnes 加熱死菌投与の影響
阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 宮島 慶治, 筒井 ひろ子, 武田 弘, 申 東桓, 進藤 嘉一, 東森 俊博, 関 守一, 針原 重義, 黒木 ...
1986 年 83 巻 7 号 p.
1318-1323
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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結核死菌 (H37Ra) を含む Freund's complete adjuvant 1mlを雄性モルモットに筋注して感作し, 3週間後に20mgの
Propionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌を静注して肝組織内に単核細胞浸潤を誘導した.
P. acnes 静注1週間後にPPD1mgを静注すると, 胆汁排泄量および胆汁酸の排泄が著明に抑制され, 血清総胆汁酸量, 胆道系酵素活性および総コレステロール量が上昇して胆内胆汁うつ滞の像が観察された. また, 電顕的には毛細胆管の拡大および microvilli の減少, 消失傾向が認められた. しかし, PPDの代りに生理的食塩水を静注した対照群および結核死菌感作モルモットにPPDを投与した群では肝内胆汁うつ滞を示す変化は見られなかつた. これらの実験結果は, 結核死菌感作リンパ球が
P. acnes 投与によつて肝内に浸潤し, PPD刺激によつて催胆汁うつ滞因子を産生したことを示唆し, 催胆汁うつ滞因子による肝内胆汁うつ滞を
in vitro で誘導する新しい実験モデルを提供するものと考えられる.
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肝細胞障害因子と tumor necrosis factor の異同について
筒井 ひろ子, 溝口 靖紘, 宮島 慶治, 阪上 吉秀, 関 守一, 山本 祐夫, 木下 博明, 森沢 成司
1986 年 83 巻 7 号 p.
1324-1329
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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Propionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌をマウスに静注し, 一週間後に少量の lipopolysaccharide (LPS) を静注すると, ほとんどのマウスは広範な肝細胞壊死を起こして死亡する. この肝細胞壊死は
P. acnes 静注により肝臓に集積して priming をうけた粘着性細胞がLPSによつてさらに活性化されて細胞障害因子を産生するためと推測される. マクロファージが二段階の活性化をうけた場合に産生される細胞障害因子に tumor necrosis factor (TNF) があるので, 肝細胞障害因子とTNFの異同を検討した. その結果,
P. acnes 静注7日後に肝臓から分離した粘着性細胞を
in vitro でLPSで刺激すると, 肝細胞障害因子が細胞培養上清中に検出されたが, TNF活性は認められなかつた. また,
P. acnes 静注7日後にLPSを静注して急性肝不全を起こすと, その初期の血清にTNF活性が認められたが, その血清中には肝細胞障害活性は認められなかつた. また, TNF産生の阻害剤である
o-phenanthroline は肝細胞障害因子の産生に影響を与えなかつた. これらの結果から, 肝細胞障害因子はTNFと異なると推測された.
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特にグルカゴンの影響について
板倉 勝
1986 年 83 巻 7 号 p.
1330-1337
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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肝硬変症における門脈本幹血流を超音波パルスドップラー血流計で測定し, ICG試験, グルカゴン負荷ICG試験の成績と対比した. 相対的門脈血流量は, 側副血行路 (-) 群15.4±6.6cm3/sec, 側副血行路 (+) 群21.9±9.2cm3/secであり, 前者で有意に低値であつた (p<0.05). しかし, ICG-K値は逆に側副血行路 (+) 群で有意に悪化していた (0.099±0.051対0.073±0.040, p<0.05). グルカゴン負荷により門脈血流が増加し, 負荷後のICG試験では, 側副血行路 (-) 群においてK値の有意な改善が認められた. 門脈本幹血流量とグルカゴン負荷ICG試験の対比は肝硬変症における血行動態異常の診断と病態の解析に有用である.
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トランスアミナーゼ高値例を中心に
湯浅 圭一朗, 山田 昇司, 長嶺 竹明, 植原 政弘, 竹原 健, 茂木 一通, 高橋 仁公, 佐伯 俊一, 阿部 毅彦, 桜井 誠司, ...
1986 年 83 巻 7 号 p.
1338-1343
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝生検にて肝小葉の30%以上の脂肪浸潤を認めた脂肪肝81例を2群 (I群:GPT 130〔U〕以上, II群:GPT 130〔U〕未満) に分け, 臨床的, 形態学的特徴とその経過について検討した. 成因別にみると, I群では肥満および急激な体重増加が60%を占めた. 形態学的所見では, I群において脂肪浸潤の著明な症例が多く, 好酸体, 脂肪肉芽腫の観察される頻度も有意に高かつた. 特に脂肪肉芽腫存在群では治療に抵抗し, GPT値異常の遷延する症例が多く, 脂肪肉芽腫の有無は脂肪肝のトランスアミナーゼ値の改善を予想するうえに重要な指標になると思われた.
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後藤 信昭, 武者 広隆, 寺林 秀隆, 大西 久仁彦, 奥田 邦雄
1986 年 83 巻 7 号 p.
1344-1349
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
病態の安定した肝硬変の血漿 (Val+Leu+Ile)/(Phe+Tyr) モル比と portal-systemic shunt の関係を検討した. (1) 肝硬変14例に
131Iと
99mTcで標識した2種類の macroaggregated albumin を門脈内に注入して得た総短絡率及び肝内短絡率はモル比と有意の負の相関を示した. (2) 肝硬変15例にアンモニア負荷試験を行い, 負荷後30分の動脈血のアンモニア濃度の増加量とモル比を比較すると有意の負の相関があつた. (3) 著しい門脈側副血行路が造影され, 肝性脳症を繰り返す肝硬変5例の脳症時と非脳症時のモル比は, 有意差はなく常に著しい低値を示した. 肝硬変においてモル比は portal-systemic shunt の程度をよく反映し, 脳症の有無に拘らす shunt が顕著な例では著しく低下している.
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吉次 通泰, 関谷 祐之, 庵 政志
1986 年 83 巻 7 号 p.
1350-1354
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝炎9例, 肝硬変17例, 急性肝炎3例および健常者7例につき, 血漿Sm-C/IGFIをRIAにて測定し, 血清GH, 肝機能検査成績 (ICG R
15, 血清ChE活性, アルブミン, HPT) との関連性を検討した. 慢性肝疾患では, 血漿Sm-C/IGFIはICG R
15との間に有意の負の相関が, 血清ChE活性, アルブミン, HPT値との間に正の相関が認められた. AHでは, 初期には血漿Sm-C/IGFIは低下し, 肝機能検査値の改善とともに正常化した. 慢性肝疾患でも, AHでも, 血漿Sm-C/IGFIと血清GHとの間に有意の相関はみられなかつた. 以上の成績から血中Sm-C/IGFIは血清GHと無関係に肝障害の程度と平行して低下することが示唆された.
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藤井 正俊, 大槻 眞, 中村 隆彦, 岡 徹, 馬場 茂明
1986 年 83 巻 7 号 p.
1355-1359
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
最近ブタ脊髄より分離抽出された新しい神経ペプチドである neuromedin C (NMC) の膵外分泌刺激作用についてラット遊離膵腺房を用いて検討した. NMCのアミラーゼ分泌刺激作用は3pMで認められ, 濃度依存的に増強し1nMで最大となり, 1nMより高濃度では分泌反応の軽度の低下がみられた. 濃度反応曲線より得られたNMCの遊離膵腺房アミラーゼ分泌におけるEC
50は45.3±4.5pMであつた. NMCのアミラーゼ分泌刺激作用は atropine, あるいは proglumide にて影響を受けなかつた.
以上の成績よりNMCはムスカリンおよび cholecystokinin 受容体以外の受容体を介してラット膵腺房細胞に直接作用し, アミラーゼ分泌を刺激するものと考えられた.
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林 敏, 建部 高明, 大山 公三, 小竹 好裕, 滝山 義之, 小池 台介, 宮川 宏之, 森合 哲也, 山寺 一司, 明円 亮, 横山 ...
1986 年 83 巻 7 号 p.
1360-1366
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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われわれは, 血清CA19-9および elastase-1を測定し, その陽性者に超音波診断を施行するといつた膵癌の screening system を考案し, 40歳以上の住民を対象として検診を施行した. 1,039名の被検者のうち, 432名は2病院の内科外来患者であり, 607名は成人病検診を受けた一般住民であつた. 二次検診における超音波断層像に膵の異常所見がみられたものについては, 腹部CT, ERCPおよび超音波画像ガイド下での穿刺吸引細胞診などの精検を施行した. その結果, 2名に膵癌が検出されたが, いずれも切除不能であつた. またその他の悪性腫瘍は5名に, 良性腹部疾患は21名に検出された. これらの成績から, 膵癌集検に関するいくつかの問題点を考察した.
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古川 善也, 藤田 粛, 山田 博康, 金谷 雄生, 国田 哲子, 川西 昌弘, 中村 松美, 吉田 晋一, 梶山 梧朗
1986 年 83 巻 7 号 p.
1367-1375
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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人工基質BALBを用いた十二指腸液中 colipase 測定系を確立し, C-S test 時の colipase 分泌パターン及び膵外分泌能と colipase 分泌量の関係について検討した. BALBを用いた colipase 測定法は, 簡便で多数検体の同時測定が可能であり, titrimetric 法と良好な相関を認めた. C-S test 時の colipase 分泌は, caerulein 刺激で著明な増加を示したが, secretin では持続刺激にもかかわらず平低化した. 又C-S test 軽度又は中等度膵障害群の膵酵素分泌は, 正常群に対し colipase 分泌72.6%, lipase 分泌72.9%, amylase 分泌94.7%であり, 軽度膵機能障害の診断に, C-S test 時の十二指腸液中 colipase 測定は有用と考えられた.
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消化管癌の併発例を中心にして
守本 洋一, 中尾 陽, 永原 章正, 友田 純, 渡辺 明治, 長島 秀夫, 金 仁洙, 三村 久, 元井 信
1986 年 83 巻 7 号 p.
1376-1381
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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宮永 修, 石橋 大海, 隅田 〓男
1986 年 83 巻 7 号 p.
1382-1386
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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鈴木 宏, 佐田 通夫, 矢野 洋一, 日高 令一郎, 佐々木 英, 豊永 純, 安倍 弘彦, 谷川 久一
1986 年 83 巻 7 号 p.
1387-1391
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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斉藤 孝一, 高木 徹, 茂木 積雄, 鈴木 秀, 森藤 隆夫, 吉田 浩, 粕川 禮司
1986 年 83 巻 7 号 p.
1392-1395
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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篠崎 博嗣, 中野 逸郎, 酒井 好古, 許斐 康煕
1986 年 83 巻 7 号 p.
1396-1400
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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藤井 秀樹, 三浦 和夫, 小西 宗明, 飯村 譲, 野口 明宏, 吉岡 正和, 関川 敬義, 山本 正之, 江口 英雄, 松本 由朗, 菅 ...
1986 年 83 巻 7 号 p.
1401-1405
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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荻原 達雄, 佐藤 信紘, 川野 淳, 福田 益樹, 島津 亮, 辻 晋吾, 房本 英之, 鎌田 武信
1986 年 83 巻 7 号 p.
1406
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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東 健, 河合 隆, 井口 秀人, 青池 晟, 西村 和彦, 藤本 荘太郎, 中島 正継, 川井 啓市
1986 年 83 巻 7 号 p.
1407
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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吉田 憲正, 吉川 敏一, 谷川 徹, 竹村 俊樹, 宮川 晴雄, 伊谷 賢次, 杉野 成, 近藤 元治
1986 年 83 巻 7 号 p.
1408
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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折笠 和栄, 正木 盛夫, 坂本 弘明, 三橋 彦也, 和田 敏正, 小原 勝敏, 森藤 隆夫, 五十嵐 勤, 吉田 浩, 粕川 禮司
1986 年 83 巻 7 号 p.
1409
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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道堯 浩二郎, 堀池 典生, 小川 泰史, 広田 俊子, 太田 康幸
1986 年 83 巻 7 号 p.
1410
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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窪田 敬一, 高見 実, 高木 正和, 照屋 正則, 伊藤 徹, 出月 康夫
1986 年 83 巻 7 号 p.
1411
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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