職域の同一集団を対象に,3年間隔をおいて,2度の胃,胆のう同時集団検診を行つた.以下,集団検診を集検と略す.有所見者に対しては,精密検査を行い,健康人中に存在する.胆石症の頻度と実態を調査し,以下の成績をえた.
1. 発見された胆石症は3.0%で,性別では,男性2.9%,女性3.6%であつた.
2. 初回X線検査の見落し率は0.15%,3年間の胆石の新発生率は,0.20%であつた.
3. 年齢別胆石症頻度では,加齢と共に上昇し,手術率の上昇も認められた.
4. 胆石症と上部消化管疾患との合併率は,対象に比し,低かつたが,術後胃を有する者と胆石症の合併率は高かつた.
5. 胆石症のうち,肝機能検査で異常を示した者は,18.1%であつた.
6. 胆石症と自覚症状との関係では,いわゆる無症状胆石症は,45.8%に認められたが,それらのなかにも,X線検査所見を検討すると,造影障害,変形,収縮不良を有するものが,相当数認められた.以上,健康人中に存在する,胆石症の頻度と実態を,文献的考察を含めて,報告した.
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