日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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76 巻, 5 号
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  • 第2報 主として残胃粘膜病態との関連の検討
    榊 信広, 飯田 洋三, 河村 奨, 岡崎 幸紀, 小田 原満, 渡辺 正俊, 浜田 義之, 清水 道彦, 富士 匡, 竹本 忠良
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1025-1030
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    内視鏡的に診断された吻合部潰瘍12例について病態を検討した.胃液検査では,吻合部潰瘍例は酸,ペプシンの分泌亢進をしめし,潰瘍のない残胃例とは統計学的な有意差をしめした.空腹時血清ガストリン,残胃の大きさには差はなかつた.顕微鏡的に計測した粘膜の厚さと胃底腺長では有意の差がみられた.そこで,最高酸分泌量(MAO)と粘膜の厚さおよび胃底腺長との関係をみたが,酸分泌と胃粘膜萎縮とは直接的な関係がみられた.結論として,吻合部潰瘍と残胃粘膜の萎縮性胃炎との関係を強調した.
  • とくにsucrase, trehalase活性と組織学的所見との関連性について
    沼尻 秀章
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1031-1040
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ヒトの切除胃について,肉眼的にテステープ法で腸上皮化生の広がりを観察した.sucrase陽性,trehalase陰性のいわゆる不完全型腸上皮化生は若年者にみられ,加齢とともに両酵素陽性の完全型腸上皮化生が増加した.完全型腸上皮化生は中間帯領域に多く認められ,組織学的にはbrush borderがよく発達し,Paneth細胞,goblet細胞が多く,小腸上皮に類似していた.これに対し不完全型腸上皮化生はbrush borderが未発達で,Paneth細胞,goblet細胞は少く,吸収上皮細胞内粘液,二階建構築の存在を特徴とした.以上の結果から,腸上皮化生は不完全型から完全型へ移行し,また完全型腸上皮化生はおもに中間帯領域から出現することが示唆された.
  • とくに電顕組織化学を中心として
    熊谷 好正
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1041-1054
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ヒト切除胃を用い,腸上皮化生について吸収上皮細胞における形態と機能との関連性を,alkaline phosphatase(以下ALP),adenosine triphosphatase(以下ATPase)を指標として酵素組織化学的に検討した.光顕的には,腸上皮化生はALP活性のある完全型と活性のない不完全型に分類され,同じ完全型でも腺管単位で活性が著しく異なることが認められた.電顕的には,完全型では粘膜表層の吸収上皮細胞の微絨毛は密で背が高く,強い活性があり,不完全型では,まばらで背が低く,活性がみられなかつた.しかし完全型化生粘膜の同一腺管においても,微絨毛での活性が著しく異なる細胞が相隣接する所見が認められた.以上の結果より腸上皮化生は形態学的にみても,また小腸指標酵素の発現の機能的立場からみても,種々の型があり,細胞分化の異常が起きている可能性が示唆された.
  • 佐藤 英典
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1055-1066
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    線状瘢痕のX線診断能向上のため,線状瘢痕と潰瘍を伴う線状瘢痕(オタマジャクシ型潰瘍を含む)114例の肉眼所見,組織学的所見を分析し,X線所見と対比検討した.肉眼所見で線状陥凹を有する線状瘢痕は,全体の57%を占め,瘢痕区域の幅が狭い(3mm以下).線状瘢痕のX線所見:全例が限局性の辺縁硬化を呈し,恒存性である.線状陥凹を認めるものは,棘状突出を呈し,その70%に線状陰影を認めた.線状陥凹を有さない線状瘢痕は,棘状突出,線状陰影を認めないが,その半数に胃小区のおび状配列像を認めた.各X線所見を能率よく組み合わせて診断すると,見つけ出し診断は100%,質的診断は82.5%である.
  • 近藤 哲夫, 山田 哲
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1067-1079
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    器官培養を用いてヒト胃体部腺領域組織のペプシノーゲンの生合成ならびに分泌の過程を検討した.その結果,この器官培養条件下では,少なくとも6時間までは組織試料の機能.形態はよく保たれ,viabilityは良好であつた.
    この培養時間内における14C-1eucineの組織および培養液蛋白へのとり込みと,この新たに合成された蛋白質をSephadex G-100ゲル濾過分析により分けてその1つがペプシノーゲンであることを明らかにした.このペプシノーゲンは正常胃試料では著明に検出されるが萎縮性胃炎試料ではほとんど見出されなかつた.さらにこれらの蛋白質が新しく合成され,かつ分泌される過程に対してTetragastrinおよびAcetylcholineが促進的な影響を及ぼす事実を明らかにした.
  • 正常胃粘膜と隆起性病変の対比
    竹下 公矢
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1080-1095
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    N-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(ENNG)をビーグル犬に経口投与し発生した胃癌について,非投与犬の正常胃粘膜との関連性を,主として電子顕微鏡学的に比較検討した.イヌ正常胃粘膜の超微構造はヒトのそれとほぼ同一であり,投与犬の非癌性粘膜とも良く類似していた.腺窩上皮の過形成と種々の程度の異型腺管群が主体を占め,その一部に高分化型腺癌巣を認めた隆起性病変では,電顕的に過形成性腺窩上皮は正常粘膜上皮に類似し,異型腺管は高分化型腺癌と過形成性腺窩上皮の中間の形態を示した.また中ないし低分化型腺癌が混在する病巣では,電顕的に前者は高分化型腺癌に類似し,後者は固有の所見を示し,かつ正常胃小窩下部(底部)から腺頚部の粘液細胞に類似していた.
  • 宗像 良雄, 前島 潔, 日比 紀文, 小林 研介, 鈴木 紘一, 横田 曄, 海老原 洋子, 北洞 哲治, 土屋 雅春
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1096-1103
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    感冒様症状後あるいは誘因なしに,一過性の下血を生じ,ほとんど再発を認めない,急性大腸炎様症状を伴う20症例を,臨床的,内視鏡的,組織学的に検討した.20症例は臨床像より,感冒様症状後,抗生物質服用後,前駆症状•抗生物質の既往なしの3群に分けられる.3群間に多少の相違はあるが,同一病態と考えられ,臨床検査成績上便培養,血清ウィルス抗体に異常なく,IgA高値が多くみられ,内視鏡にてS状結腸以下に病変を,組織学的に中等度以下の炎症を認めた.原因は不明で,ウィルス,抗生物質,潰瘍性大腸炎の初期病変,免疫異常等が考えられるが,臨床的に"一過性出血性大腸炎"として,取り扱うのが適当と考えられる.
  • 脂肪再合成過程の加齢現象に関する実験的および臨床的研究
    中條 忍
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1104-1115
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    臨床的に脂肪の生理的消化吸収機能が加齢によつて境界域程度に障害される点に注目し,脂肪吸収の各段階,とりわけ腸粘膜内代謝に及ぼす影響について実験的および臨床的検討をおこなつた.in vitroにおいて老齢ラットでは長鎖脂肪酸の腸粘膜への取り込み低下に比し,TGへのエステル化の低下が著明であつた.腸粘膜内脂肪再合成酵素系のなかでMG-acyltransferase活性は老齢ラットで有意に低値(P<0.02)を示し,ヒト空腸粘膜においても加齢と共に低下傾向(P<0.05)を示した.以上より加齢による脂肪の消化吸収障害がMG-acyltransferase活性低下による腸粘膜内脂肪再合成過程の障害であることを明らかにした.
  • 児島 淳之介, 金谷 正子, 中村 允人, 加藤 道夫, 東條 文竜, 秋山 雅彦, 清永 伍市
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1116-1121
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    血清中のglycylproline dipeptidyl aminopeptidase(GPDA)活性測定をRotochemIIa centrifugal fast analyzerを用いて自動化したが,その操作は簡易化され測定値は直線性,再現性に優れ,用手法の成績ともよく相関した.一方その臨床的意義を検討するため,健常人100例,肝癌69例を含む肝胆道疾患患者256例計356例の症例について血清GPDA活性を測定したが,肝癌では他の肝胆道疾患に比し有意に高値を示した.特に血清GPDA活性値が200IU/L以上の高値を示した症例は肝癌の36%で他の肝胆道疾患では2.7%にすぎなかつた.又血清α-fetoprotein値が低値でも血清GPDA活性値が高値を示す症例もあり,本酵素活性の測定は肝癌の早期診断に有用と考えられる.
  • 山田 耕三, 西沢 護, 野本 一夫, 上野 正巳
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1122-1128
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    職域の同一集団を対象に,3年間隔をおいて,2度の胃,胆のう同時集団検診を行つた.以下,集団検診を集検と略す.有所見者に対しては,精密検査を行い,健康人中に存在する.胆石症の頻度と実態を調査し,以下の成績をえた.
    1. 発見された胆石症は3.0%で,性別では,男性2.9%,女性3.6%であつた.
    2. 初回X線検査の見落し率は0.15%,3年間の胆石の新発生率は,0.20%であつた.
    3. 年齢別胆石症頻度では,加齢と共に上昇し,手術率の上昇も認められた.
    4. 胆石症と上部消化管疾患との合併率は,対象に比し,低かつたが,術後胃を有する者と胆石症の合併率は高かつた.
    5. 胆石症のうち,肝機能検査で異常を示した者は,18.1%であつた.
    6. 胆石症と自覚症状との関係では,いわゆる無症状胆石症は,45.8%に認められたが,それらのなかにも,X線検査所見を検討すると,造影障害,変形,収縮不良を有するものが,相当数認められた.以上,健康人中に存在する,胆石症の頻度と実態を,文献的考察を含めて,報告した.
  • 池原 英夫, 吉川 大資, 石川 和美, 玉田 文彦, 馬場 茂明
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1129-1134
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    合成基質Poly(C)を使用し血中RNase活性測定法を検討した.各種検査の正常値者群の活性は118±32.7units/ml/minでmean+2SDすなわち185units以上を異常値とすると,膵癌の陽性率は95%で他癌疾患は38.5%であつた.比較的高値を示したのは肝癌,肺癌で消化管癌は低値であつた.一方腎不全で高値を示し,BUNと高い相関を認めた.また,肝硬変,肝癌等の肝疾患でも比較的高値を示し,血清albumin, cholin-esteraseと負の相関を認めた.血中RNaseは膵由来が最も推定されるが活性上昇には肝および腎の因子の関 与が考えられ,このことを考慮して判断すると膵癌の血清学的診断法として有用と思われる.
  • とくに内因性および外因性セクレチンの血中グルカゴン 動態におよぼす影響について
    須藤 峻章, 西村 一郎, 鈴木 敞, 戸部 隆吉
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1135-1145
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    セクレチン(Eisai)1U/kgおよび7U/kgを正常犬および胃十二指腸温存膵全切除犬に投与し,30K抗体に反応する血中膵グルカゴンおよび消化管グルカゴンの分泌反応を検索した.ついで別の正常犬および膵全切除犬の十二指腸内に0.1N塩酸を注入し,内因性セクレチンのグルカゴンにおよぼす影響について検討し,次の結果を得た.
    1. 膵全切除後30K抗体に反応するグルカゴンは膵全切除後いつたん低下するが,インスリンを投与しないと時間とともに増加した.
    2. 膵全切除後,血中セクレチンの基礎分泌量は次第に有意の増加を示した.
    3. 1U/kgセクレチン投与では,正常犬の血中グルカゴン値は影響を受けないが,膵全切除後の血中消化管グルカゴン値は軽度に抑制される傾向を示した.
    4. 7U/kgセクレチン投与では,血中膵グルカゴンおよび消化管グルカゴンともに抑制されたが,その分泌抑制の程度は膵全切除後一層著明であつた.
    5. 0.1N塩酸十二指腸内注入により分泌された内因性セクレチンは,正常犬の血中グルカゴン値に影響をおよぼさなかつたが,膵全切除犬の血中消化管グルカゴンを軽度に抑制した.
    6. 0.1N塩酸十二指腸内注入による血中セクレチン分泌反応は膵全切除後も維持されていた.
  • 土岐 文武, 大井 至, 斉藤 清二, 戸松 成, 神津 忠彦, 竹内 正, 原 俊明, 鈴木 重弘, 中村 光司, 小林 誠一郎, 羽生 ...
    1979 年 76 巻 5 号 p. 1146-1151
    発行日: 1979/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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