日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
119 巻, 12 号
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今月のテーマ(総論):膵頭部の胆管癌と膵癌の鑑別と治療方針―現状と課題―
  • 安田 一朗
    2022 年119 巻12 号 p. 1051-1054
    発行日: 2022/12/10
    公開日: 2022/12/12
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    胆管狭窄をともなう膵頭部腫瘍は臨床の現場でしばしば遭遇する病態であるが,“膵頭部癌の胆管浸潤”か“遠位胆管癌の膵実質浸潤”かの鑑別に悩むことがしばしばある.しかし,両者においてはその診断の進め方,治療方針,予後が少なからず異なることから,鑑別を明確に行うことは臨床的に極めて重要である.現状では血液検査,画像診断,病理診断から鑑別を行っているが,これらの所見を十分に検討しても鑑別が困難な症例も少なからずある.近年,ゲノム解析の進歩によって,その診断的役割に期待が膨らむが,その一方でゲノム医療の進歩・普及によって,組織型や由来臓器を鑑別する臨床的意義が今後薄れていく可能性もある.

今月のテーマ(総説):膵頭部の胆管癌と膵癌の鑑別と治療方針―現状と課題―
  • 市川 新太郎, 五島 聡
    2022 年119 巻12 号 p. 1055-1060
    発行日: 2022/12/10
    公開日: 2022/12/12
    ジャーナル フリー

    浸潤性膵管癌と遠位胆管癌はいずれも大部分が腺癌であり,病理学的な特徴が共通している.したがって両者の画像所見は類似し,膵頭部~遠位胆管を侵す腫瘤を認めた場合,膵頭部癌の胆管浸潤か,遠位胆管癌の膵浸潤かの鑑別に難渋することがある.両者の鑑別には,「膵病変と胆管病変のどちらが優位な所見であるか」と「主膵管拡張の有無」に注目することが有用な可能性がある.

  • 潟沼 朗生, 濱 憲輝, 岩野 光佑
    2022 年119 巻12 号 p. 1061-1068
    発行日: 2022/12/10
    公開日: 2022/12/12
    ジャーナル フリー

    遠位胆管癌と膵頭部癌は同じような部位に腫瘍が存在し,どちらも閉塞性黄疸,肝機能障害,急性胆管炎などの症状を呈する.手術可能な症例は膵頭十二指腸切除術となるが,原発部位によって診断方法,腫瘍の進展度診断法,治療方針,術前のドレナージなどの方針が大きく異なる.すなわち,膵頭部癌であれば組織学的診断はEUS-FNAにて行われるが,胆管癌であれば肝門側への進展を考慮しつつ,ERCPによる経乳頭的な生検が行われる.また治療方針は,切除例においては膵癌は手術前に抗癌剤などによる術前治療が行われているが,胆管癌では術前治療は行わず切除が一般的である.術前のドレナージも術前補助療法(neoadjuvant therapy;NAT)施行の有無によりステントの選択が異なる.このように方針が大きく異なるため,正確な診断が求められる.

  • 廣野 誠子
    2022 年119 巻12 号 p. 1069-1072
    発行日: 2022/12/10
    公開日: 2022/12/12
    ジャーナル フリー

    膵頭部癌と遠位胆管癌の鑑別が,画像診断上ならびに病理学的に困難な症例がある.膵癌と胆管癌の有用な治療法は,外科的切除と術後補助療法であることが報告されている.一方で術前治療において,膵癌では術前治療により手術先行よりも生存期間が延長できることが報告されたが,胆管癌においてはいまだエビデンスはない.すなわち,遠位胆管癌と膵癌の鑑別診断が難しい症例において,外科的切除・術後補助療法は必要な治療法であるが,術前治療の適応に関しては診断がつかなければ決定できない.現在では膵癌もしくは胆管癌の鑑別を画像診断や病理診断で行うことが一般的であるが,今後,両疾患を鑑別できる新規分子マーカーの同定が急務である.

  • 平林 健一
    2022 年119 巻12 号 p. 1073-1080
    発行日: 2022/12/10
    公開日: 2022/12/12
    ジャーナル フリー

    膵頭部の胆管癌と膵癌の鑑別は,病理でもしばしば困難である.両者を鑑別する明確な病理診断基準はなく,個々の病理医によって重視する鑑別ポイントは異なる.免疫組織化学や分子生物学的手法でも厳密に両者を鑑別することは難しいが,高い特異度を示す複数のマーカーを用いた鑑別方法がいくつか報告されている.また,鑑別が困難であることから,膵頭部領域の腫瘍を包括したスーパーファミリーやPRAIO(傍乳頭領域原発特定困難腺癌)といった新たな疾患概念も提唱されている.術前診断と病理診断が乖離する場合や,病理診断でも鑑別困難な場合は,カンファレンスなどで各エキスパートが詳細に検討し,総合的に診断に近づける努力が肝要であろう.

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