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本橋 修, 佐野 秀弥, 高木 精一, 幾世橋 篤, 大川 伸一, 玉井 拙夫, 多羅尾 和郎
1995 年 92 巻 8 号 p.
1113-1119
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
われわれは,内視鏡的粘膜結紮術を併用した胃粘膜切除術(EMRL)の安全で確実な手技を確立するために14匹の雑種成犬を用い,本実験を施行した.
本手技において,(1)平均15×12mmの大きさの粘膜切除が可能であり,(2)従来,内視鏡的粘膜切除に困難を生ずる部位[胃角後壁,胃体部小彎および噴門直下(胃体上部小彎)など]に対しても容易に施行でき,(3)安全に本手技を施行するためには粘膜下への生理食塩水の局注は必須であった.(4)分割切除でも,直径20mmの大きさの粘膜面を2~4回の分割切除で確実に切除可能であった.生理食塩水の局注後の切除において,各々の切除片は一様に粘膜筋板よりも深く切除され,固有筋層の表層までは達していなかった.
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丸山 俊朗
1995 年 92 巻 8 号 p.
1121-1132
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
門脈圧亢進症の胃粘膜病変を臨床的,病理組織学的に検討した.内視鏡的には主として,萎縮および斑状発赤や出血斑(portal hypertensive gastropathy:PHG)を伴う所見であった.門脈圧亢進症胃は低酸を示すことより胃粘膜防御因子の破綻が関与し,特にPHGは,門脈圧高値群,高度食道静脈瘤群,胃(脾)腎シャント(-)群に高頻度にみられる点,病変部の血流量が増加している点,粘膜下層の静脈拡張がある点などより,その本態はcongestive gastropathyと考えられた.PHGは食道静脈瘤硬化療法後では胃底部において増悪がみられたが,直達手術後では特に大きな変化はみられなかった.PHGに対しpropranololが効果的であった.
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田中 雅彦
1995 年 92 巻 8 号 p.
1133-1142
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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薬物的に自律神経を遮断したラットに水浸拘束ストレス負荷を行い,潰瘍係数(UI),胃粘膜下血流量(SMBF),胃粘膜内プロスタグランディン(PG)量を測定し検討した.UIは,薬物的迷走神経切離(MV)で有意に抑制され,薬物的交感神経切離(MSp)で抑制される傾向を示した.ストレス負荷中,低値を示したPGE
2量は,MVにより増加し,MSpによりストレス負荷早期に一過性に増加した.SMBFのストレス負荷早期の減少は,MVおよびMSpにより抑制された.以上より,PGE
2に対し迷走神経は抑制的に,交感神経・副腎髄質系は合成促進的に働き,PGE
2は防御因子として以外に胃粘膜下血流量の減少を抑制することでストレス潰瘍の抑制に関与することが示唆された.
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加藤 誠一, 川崎 寛中
1995 年 92 巻 8 号 p.
1143-1148
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患における凝固線溶動態とその原因を調べる目的で,代償期の肝硬変(LC)33例,肝細胞癌(HCC)31例についてthrombin-antithrombin III complex(TAT),Plasmin-2 Plasmin-inhibitor complex(PIC),antithrombin-III(AT-III),prothrombin time(PT)を測定するとともに,凝固能活性化の一因とされるエンドトキシン血症およびTNF-との関連について検討した.
PICはLC,HCCとも正常コントロールと差がなかったが,TATはLCでは増加傾向を示し,HCCでは有意の増加を示した.AT-IIIは両群とも有意に低下したが,LCとHCC間では有意差はなかった.血中エンドトキシンはtoxicolor(TC)法,endospecy(ES)法ともLC,HCCで陽性例が数例認められた.ES法による血中エンドトキシン陽性例は陰性例に比しTATが有意に増加しており,さらにES法による血中エンドトキシン値とTATは,LCとHCCを合わせた群で有意の正の相関(
r=0.74,
p<0.01)を示し,LC,HCC両群でもそれぞれ有意の正の相関(
r=0.57,
r=0.88,
p<0.01)を示した.
しかし,血中エンドトキシン,TATと血中TNF-との間には関連は認められなかった.したがって,(1)LC,HCCでは代償期においてもすでに凝固能は活性化されているがLCとHCCでは差がなく,また線溶系とは必ずしも連動しない.(2)凝固能活性化とエンドトキシン血症との密接な関連が示唆された.(3)血中エンドトキシン,TATとTNF-との間には関連は認めなかった.
以上の結果より,明らかな合併症のない代償期のLC,HCCにおいてもsubclinica1に凝固能が活性化されており,その原因の1つとしてエンドトキシン血症の関与が推定された.
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加藤 奨一
1995 年 92 巻 8 号 p.
1149-1160
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
胆嚢隆起性病変136例177病巣を病理形態学的に検討した結果,各々特徴的な肉眼形態と表面構造を有し,この両者により鑑別診断が可能であった.Is,IIa型癌の大部分は乳頭腺癌で,表面は不整な乳頭状を示した.一方,少数のIIa型癌は管状腺癌で,顆粒結節集簇様,表面に小pit構造を有した.有茎性で表面が比較的平滑な多結節状で管状腺腫の組織像を示すものが腺腫であったのに対し,表面構造により,有茎性,広基性の乳頭型と広基性の結節型に分類できるものが過形成性ポリープであった.臨床的には,Ip型癌はm癌なのに対し,広基性で13mm以上のとき,腺筋腫症が除外されれば進行癌の可能性が高い.一方,広基性癌でも11mm以下の場合,早期癌の可能性が高い.
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梅原 香
1995 年 92 巻 8 号 p.
1161-1168
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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膵でのnitric oxide(NO)の作用を解明するためにNADPH-diaphorase(NADPH-d)活性および抗neuronal typeのNOS(nNOS)血清を用いた免疫活性の局在について,ラット・イヌ膵について検索した.両種で血管内皮や膵内神経細胞・神経線維にNADPH-d活性およびnNOS免疫活性を認めた.ラットでは膵腺房に比してランゲルハンス氏島(ラ氏島)へのNADPH-d陽性神経の分布が豊富であり,イヌではラ氏島にはNADPH-d陽性神経はほとんど認めなかった.両種とも膵管や血管の周囲にNADPH-d陽性神経が多数分布していたが,特にイヌの膵管では著明であった.抗nNOS血清を用いた免疫組織化学法とNADPH-d組織化学法の同一切片における二重染色で,両者は膵の神経要素で完全に一致した.膵内分泌細胞にも,非常に弱いながらNOS免疫活性を認めた.以上の結果は,ラットおよびイヌ膵では血管や膵管周囲の神経由来のNOにより膵内・外分泌機能が言周節されている可能性を示唆する.しかし,NADPH-d陽性・nNOS陽性神経分布の種差は,NOの膵内・外分泌調節作用にも種差があることも示唆している.
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山田 尚子, 中村 光男, 丹藤 雄介, 荒井 雄樹, 今村 憲市
1995 年 92 巻 8 号 p.
1169-1177
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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慢性膵炎患者の脂肪消化吸収不良の機序を解明するため,食事負荷後の小腸液を分析した.膵炎群(9例)の小腸液では,pH0.5の低下,リパーゼ活性の著明な低下(健常群の14.8%),ミセル相脂肪(健常群の32.8%),ミセル相コレステロール濃度(健常群の41.9%)の低下,および血清コレステロールとミセル相コレステロール濃度の間に正相関があった.したがって,膵性消化不良の病態にはリバーゼ活性低下が最も関与していると考えられた.リパーゼ活性低下により,モノグリセリド,遊離脂肪酸の生成不良,すなわちミセル形成不良が起こり,ミセル相コレステロールおよび脂肪濃度が低下する.この結果,脂肪吸収不良が発生するという機序が考えられた.
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岩崎 隆雄, 赤羽 武弘, 高橋 信孝, 鈴木 真一, 小林 直, 蒲 比呂子, 田辺 暢一, 杉山 幸一, 森山 聡, 関根 仁, 千田 ...
1995 年 92 巻 8 号 p.
1178-1182
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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吉田 司, 長沼 敏雄, 新澤 真理, 柿崎 善明, 銭谷 明, 正宗 研
1995 年 92 巻 8 号 p.
1183-1188
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
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鈴木 孝良, 伊東 明美, 高安 博之, 鈴木 弘之, 山下 拓, 和田 隆, 浅野 健, 甲田 勝昭, 矢野 潔, 三輪 剛, 多田 伸彦 ...
1995 年 92 巻 8 号 p.
1189-1193
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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新崎 人士, 鳥本 悦宏, 長谷部 千登美, 藤本 佳範, 水野 正己, 幸田 弘信, 平井 克幸, 竹森 信男, 岡 敏明, 関谷 千尋, ...
1995 年 92 巻 8 号 p.
1194-1199
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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池田 弘, 仁科 恭一郎, 麻谷 優子, 湯本 英一朗, 岡野 信明, 妹尾 浩, 山野 智子, 清野 哲司, 小西 明美, 井上 武紀, ...
1995 年 92 巻 8 号 p.
1200-1205
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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小林 昭, 山川 良一, 岩渕 三哉
1995 年 92 巻 8 号 p.
1206-1210
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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印牧 直人, 中澤 三郎, 芳野 純治, 山雄 健次, 乾 和郎, 山近 仁, 平野 謙, 三好 広尚, 滝 徳人, 堀部 良宗
1995 年 92 巻 8 号 p.
1212-1216
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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井上 滋夫, 星加 和徳, 飯田 三雄, 西下 千春, 水野 充, 加藤 智弘, 鴨井 隆一, 藤村 宜憲, 内田 純一, 島原 将精, 大 ...
1995 年 92 巻 8 号 p.
1217-1222
発行日: 1995/08/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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