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壁細胞の刺激反応性に関する数量形態学的検討
谷中 昭典, 武藤 弘, 柴田 裕身, 福富 久之, 大菅 俊明, 崎田 隆夫, 内山 安男
1985 年 82 巻 6 号 p.
1495-1501
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
十二指腸潰瘍患者 (再発群12例, 非再発群8例), 正常者8例を対象に, 内視鏡下生検を用いて, tetragastrin (4μg/kg)筋注刺激による壁細胞微細構造の経時的変化を, 数量形態学的手法を用いて検討し, 以下の成績を得た. 1. 刺激後の細胞内分泌細管の増大及び小胞構造の減少は, 再発群で最も早期に出現し, 急速に進行した. 非再発群と正常群には有意差が認められなかつた. 2. いずれの群でも, ミトコンドリアの刺激後の形態学的変化は認められなかつた. 3. 3群間において, 細胞内小器官の構造的差異は認められなかつた. 以上より, 再発群における刺激反応性亢進は, 個々の壁細胞レベルで存在する事が形態学的に確認された.
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豊野 充
1985 年 82 巻 6 号 p.
1502-1511
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃癌における組織CEAの局在を明らかにするため, 光顕には胃癌切除130例のホルマリン固定•パラフィン切片を, 電顕には胃癌新鮮標本10例のPLP固定•凍結切片を用いて酵素抗体法によりCEA染色した. さらに術前の血清CEA値および予後との相関を検討した. 癌組織の組織CEA陽性率は74.6%, 組織型別にはmuc, sig 100%>pap 83.3%>tub 76.5%>por 65.1%の順に高かつた. 光顕的にCEAは細胞膜や胞体内に陽性, 電顕的に basolateral plasma membrane, 粗面小胞体, 核周囲腔, Golgi 装置などに陽性像を認めた. 血清CEA陽性率は17.9%, 血清値は組織CEA陽性群で有意に高く, stage が増す程高値を示した. 組織CEA陽性群で予後不良の傾向がみられた.
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佐々木 浩
1985 年 82 巻 6 号 p.
1512-1519
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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著者は, 消化性潰瘍における secretin の役割を究明するために, 消化性潰瘍患者69例 (十二指腸潰瘍50例, 胃潰瘍19例) と対照12例を用いて, 血清 secretin の変動とその形態学的変化を検討した. 十二指腸酸性化後の secretin 分泌反応は, hypersecretor 群 (H群) で低値を示した. 粘膜内 secretin 含有量は, 対照群よりも消化性潰瘍群で, かつH群で低値を示した. 対照群と消化性潰瘍群の粘膜内 secretin 含有量と, secretin 細胞数とはともに有意の正の相関がみられ, しかも消化性潰瘍群は対照群に比べ細胞内の secretin 量が少かつた. 以上の結果よりみて, 消化性潰瘍の成因の一つとして secretin の産生障害の存在が示唆され, とくにH群ではその傾向が強かつた.
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II. 脾細胞, 末梢血単核細胞および腹腔滲出細胞の機能変化
筒井 ひろ子, 溝口 靖紘, 加藤 寛子, 宮島 慶治, 新井 孝之, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 関 守一, 山本 祐夫, 原 久子, 巽 ...
1985 年 82 巻 6 号 p.
1520-1526
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Propionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌をマウスの静脈内に注入し, 一定の期間をおいて微量のlipopolysaccharide (LPS)を静注すると, 肝組織に広範な壊死巣が出現する. この急性肝不全実験モデルにおける肝障害誘導機構を解析する一環として, 脾細胞の mitogen 刺激に対する応答能および腹腔滲出細胞の肝細胞障害性について検討した.
その結果,
P. acnes 加熱死菌静注7日後に, 脾臓から単核細胞を分離し, PHA, PWMまたは Con Aで刺激すると, 正常マウス脾細胞に比して, リンパ球幼若化反応は著明に低下した. また, 同時に腹腔滲出マクロファージを採取し, LPSで活性化しても, 細胞培養上清の肝細胞障害活性は, 正常マウス腹腔滲出細胞に比較して低下した.
以上の結果から, 本実験モデルにおける急性肝不全の誘導時には既報の肝内粘着性細胞の活性化に比べ, 脾細胞及び腹腔滲出細胞の機能は低下傾向にある事が明らかとなつた.
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幸田 久平, 新津 洋司郎, 文屋 学, 伊藤 信行, 笹川 裕, 大和田 稔, 森田 幸悦, 高後 裕, 漆崎 一郎
1985 年 82 巻 6 号 p.
1527-1532
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝線維化の免疫学的機序を解析するために正常人22例, 慢性肝炎(CH)15例, 肝硬変(LC) 11例より末梢巣核細胞 (PMNC) を採取し, そのPHA刺激培養上清の線維芽細胞増殖 (FP) 活性を検討した. その結果CH, LCでは正常人に比べて有意のFP活性上昇が認められた. またCH患者PMNCのPHA刺激培養上清を高度液体クロマトグラフィーで分析した結果, 分子量約60,000と20,000の部位にFP活性ピークを認め, さらに両ピークはIL-1活性を有していた. 次に正常人9例, CH8例, LC5例より末梢血マクロファージを採取し, そのLPS刺激培養上清のFP活性を検討した結果, CH, LCでは正常人に比べて有意のFP活性高値が認められた. 以上より肝線維化にはマクロファージの産生するIL-1が関与しており, CH-LC患者のマクロファージはIL-1産生•放出能が亢進しているものと思われた.
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水口 明洋
1985 年 82 巻 6 号 p.
1533-1542
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝疾患における凝固第VIII因子変動の臨床的意義を知る目的で, 凝固活性 (VIII: C), 関連抗原蛋白 (VIII R: AG), von Willebrand 因子 (VIII R: WF) を測定し, 更にVIII R: AGの質的異常に注目し, PAGE-CIE法を用いて検討した. VIII: C, VIII R: AG, VIII: WFは肝疾患全般で高値を示し, 重症になるに従い三者の上昇傾向と VIII: C/VIII R: AG比の低下がみられ, 更にDIC合併例ではVIII: C減少によるVIII: C/VIII R: AG比の有意な低下を認めた. DIC例と非DIC例の凝血学的検査の比較からもDIC診断における第VIII因子の有用性が示唆された. PAGE-CIE法により重症肝疾患とDIC例に plasmin 添加血漿と類似のVIII R: AGの質的異常を認め, 種々 protease によるVIII: Cと VIII R: AGの解離が想定された.
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坂田 徹悟, 遠藤 高由, 和田 攻
1985 年 82 巻 6 号 p.
1543-1550
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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各種肝疾患におけるα
1-アンチトリプシン (以下α
1-AT) の表現型と血清α
1-AT値およびトリプシン値を測定した. Pi-M表現型では正常群に比し, 慢性肝炎群にM2亜型の出現率が有意に高かつた. 急性肝炎の慢性化例と症候性HBs-Agキャリアはそれぞれ急性肝炎の非慢性化例, 無症候性HBs-Agキャリアに比し, M2亜型の出現率が高く, 肝炎の慢性化の一つの要因として遺伝的な関与が示唆された. 正常群と慢性肝炎群間に, α
1-AT値の量的差は認められないが, 各々の表現型の間ではM1M1> M1M2>M2M2の順であつた. またα
1-ATは, Pi-M表現蛋白が皆等しくトリプシンと結合する多数の複合蛋白から成り立つていた. また血清α
1-AT値とトリプシン値との間には, 正常群に認められた正の相関関係が慢性肝炎群では認められなくなる. この平衡関係の乱れが肝炎の慢性化と係わり合う可能性がある.
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三浦 正澄
1985 年 82 巻 6 号 p.
1551-1558
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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肝線維化の進展において, 線維合成と分解の関連性を明らかにするために非アルコール性慢性肝疾患42例の生検肝組織中の prolyl hydroxylase 活性と collagenase 活性を同時に測定した. 線維合成については各種肝疾患で亢進していたが, 特に持続性肝炎および小葉改築傾向を伴う慢性活動性肝炎で著明であつた. 一方線維分解については, 小葉改築傾向を伴う慢性活動性肝炎と肝硬変で, 持続性肝炎に比べ有意に低下していた. 以上のような線維合成と分解との関連より, 慢性肝疾患における肝線維の蓄積の機序は, 線維合成の亢進よりむしろ線維分解の低下と密接に関連していることが推測された.
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西原 利治, 前田 隆, 藤川 正直, 冨田 昭, 宮崎 正子, 沖野 實, 大西 三朗, 伊藤 憲一, 山本 浩志
1985 年 82 巻 6 号 p.
1559-1562
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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B型肝炎ウィルスの排除に重要な役割を果すと考えられる HBs 抗原特異的 cytotoxic T 細胞活性が多量の HBs 抗原にて阻害を受けるため HBs 抗原の血中濃度の低減により, B 型慢性肝炎に対する免疫療法をより有効たらしめることを企図し, Evaflux 4A (クラレ) による HBs 抗原の除去率を検討した. Evaflux 4A の HBs 抗原の除去率は97%であり, Dane 粒子の除去率は100%と推定された. またアルブミン, IgG, IgA, IgM の除去率は夫々29%, 40%, 52%, 72%であつた. 従つて Evaflux 4A により HBs 抗原, Dane 粒子は血漿蛋白に比し, 極めて効率よく除去し得, B型慢性肝炎の免疫療法に対する補助手段として応用し得る可能性が示唆された.
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消化管ホルモン (VIP, PHI, GRP) に対する反応
細谷 亮, 井上 一知, 戸部 隆吉
1985 年 82 巻 6 号 p.
1563-1571
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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最近開発されたレーザードップラー血流量計を用いてイヌ膵組織血流量測定を試みた. 本法は感度が高く再現性があり, 臓器侵襲の少ない状態での長時間連続測定が可能であつた. 消化管ホルモンの膵組織血流に与える影響を検討したところ, VIPとPHI投与により膵組織血流量は用量反応性に増加したが, VIPの作用の方がはるかに強力であつた. GRPは急速静注時には初期血流減少と後半の緩徐な血流増加の二相性反応を呈したが, 持続静注時には一相性の減少を示した. 本測定法は消化管ホルモンの膵血流に対する作用の有用な情報を提供するだけでなく, 今後の膵血流動態に関する種々の検索を遂行してゆく上でも非常に有用であると思われる.
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大柳 治正, 石田 常之, 上坂 邦夫, 石田 英文, 山本 正博, 奥村 修一, 斉藤 洋一, 山名 隆太郎, 小林 隆, 福山 和美
1985 年 82 巻 6 号 p.
1572-1579
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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ヒト結腸癌株化細胞に対する新しいモノクローナル抗体で認識される新しい膵癌診断用の腫瘍マーカー, KM01の特異性を特にCA19-9との比較において検討した. KM01は癌胎児性抗原, ferritin, calcitonin, ヒト絨毛性ゴナドトロピン, α-fetoprotein とは交叉反応性を示さなかつたが, その抗体価はCA19-9測定値と相関を示した. KM01とCA19-9は免疫学的交叉性と酸素処理の結果から, 抗原決定基はほとんどあるいは全く同一と考えられた. しかし, KM01は糖と蛋白より成る glycoprotein であり, 抗原構造は monosialoganglioside であるCA19-9とは異つていた.
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栗原 陽一, 横木 和弘, 寺島 久美子, 鈴木 秀, 和田 敏正, 猪狩 弘之, 猪狩 俊, 小原 勝敏, 五十嵐 勤, 吉田 浩, 粕川 ...
1985 年 82 巻 6 号 p.
1580-1584
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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とくにCTおよび超音波検査の有用性について
広浜 恵生, スジャルオ , 町田 崇, 植松 幹雄, 山崎 一信, 鬼沢 信明, 石沢 和敬, 竿代 丈夫, 今井 深, 川村 忠夫, 亀 ...
1985 年 82 巻 6 号 p.
1585-1590
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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湯浅 圭一朗, 山田 昇司, 植原 政弘, 竹原 健, 茂木 一通, 山田 俊彦, 佐伯 俊一, 桜井 誠司, 高橋 仁公, 阿部 毅彦, ...
1985 年 82 巻 6 号 p.
1591-1595
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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中村 東樹, 丸山 俊博, 林 克裕, 北村 亨, 重平 正文, 橘 宣祥, 津田 和矩
1985 年 82 巻 6 号 p.
1596-1600
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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江口 忠, 森下 玲児, 陳 文亮, 上田 俊二, 内野 治人
1985 年 82 巻 6 号 p.
1601-1605
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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北野 厚生, 松本 誉之, 押谷 伸英, 小畠 昭重, 吉安 克仁郎, 日置 正人, 橋村 秀親, 大川 清孝, 小林 絢三
1985 年 82 巻 6 号 p.
1606
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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高橋 政弘, 田中 淳一, 小柵木 均, 福田 健, 尾形 直人, 升田 鉄三, 高橋 俊雄, 山口 俊晴, 橋本 嘉幸, 益子 高
1985 年 82 巻 6 号 p.
1607
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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