日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
105 巻, 6 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
総説
  • 葛西 和博, 黒田 英克, 鈴木 一幸
    2008 年 105 巻 6 号 p. 787-794
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/05
    ジャーナル フリー
    第93回日本消化器病学会総会(2007年)において開催されたワークショップ「肝細胞癌根治療法後の再発抑制」で討論された内容を基に,わが国において検討されている肝細胞癌治療後の再発予防に関する治療について概説した.現在,肝細胞癌治療後の再発の予防として抗ウイルス薬,非環式レチノイド,ビタミンK,分岐鎖アミノ酸,免疫療法,angiotensin II converting enzyme(ACE)阻害剤,抗癌剤投与など,多くの治療法について検討されているが,そのなかで無作為比較試験(randomized controlled trial; RCT)により有効性が証明されたのはインターフェロン,非環式レチノイド,養子免疫療法のみである.他の治療法の有効性については更に検討が必要であるが,今後は肥満や糖尿病などの肝癌発生に関わる危険因子も考慮した治療法の検討が望まれる.
今月のテーマ:肝細胞癌治療後の再発抑制
  • 片桐 聡, 徳重 克年, 山本 雅一
    2008 年 105 巻 6 号 p. 795-801
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/05
    ジャーナル フリー
    C型肝炎ウイルス陽性肝細胞癌治療後の再発抑制にインターフェロン療法は有効な補助療法である.その機序はウイルス駆除からの多中心性発癌抑制効果と,初期像のoccult hepatocellular carcinomaそのものに対する抗腫瘍効果の2面性を兼ね備えている可能性がある.しかしながらインターフェロン著効例からの発癌症例や,近年のPEG-IFNとリバビリン併用療法の効果,保険適応や経済的負担など今後に検討すべき課題は多い.今後は更なる研究を行い,肝細胞癌術後の補助療法として確立し標準化したものとする必要性がある.
  • 永木 正仁, 清水 雅仁, 森脇 久隆
    2008 年 105 巻 6 号 p. 802-807
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/05
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌は,その発症が慢性肝疾患と強く結びついており,診療においてハイリスクグループを特定でき,癌の早期発見,早期治療を効率よく実施できるという利点はある.しかし,たとえ初発癌に対し根治療法が施行されても,肝細胞癌の治療時,既に潜在性癌細胞や前癌細胞といった"癌の芽"が肝全体に多数存在し,その後その内のいくつかが時間的·空間的に多中心性発癌をおこすため,高率に2次発癌が生じる.前癌細胞をその段階で治療し,癌細胞への進展を阻止しようとする癌化学予防(ケモプリベンション)の概念に基づいて,非環式レチノイドは,初発肝細胞癌根治療法後の2次発癌を有意に抑制する.現在多施設臨床試験が進行中の非環式レチノイドによる肝発癌予防における分子機序と効果について,肝細胞癌で特徴的に認められるレチノイド受容体の機能不全との関連から概説する.
  • 土谷 薫, 朝比奈 靖浩, 泉 並木
    2008 年 105 巻 6 号 p. 808-816
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/05
    ジャーナル フリー
    非代償性肝硬変患者において分岐鎖アミノ酸(BCAA)長期投与がイベント発生率(肝癌発生·静脈瘤破裂·肝不全の進行)を有意に低下させることは本邦からの大規模臨床試験で証明されている.今回われわれは肝癌根治治療後症例に対するBCAA長期投与の臨床的意義を検討し,特に初回治療前Alb 3.5g/dl以下の症例ではBCAA長期投与により有意に累積生存率が向上し3回目再発率が低下した結果を得た.今後はBTRやインスリン抵抗性(HOMA-IR)などさまざまな項目を検討し長期BCAA補充療法の適応症例について検討が必要である.
原著
  • 古田 賢司, 足立 経一, 有馬 範行, 田中 志乃, 三木 雅治, 安積 貴年, 越野 健司, 木下 芳一
    2008 年 105 巻 6 号 p. 817-824
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/05
    ジャーナル フリー
    一般日本人が不安に感じ医療機関を受診する動機と考えている上腹部症状は何であるか,またその症状がどの程度の頻度でおこると医療機関を受診すると考えているのかを明らかにするため健診受診者463例および病院外来受診者100例を対象に調査を行った.健診受診者が受診動機と考える症状の上位3つの症状は上腹部痛,胸痛,嘔吐であり,症状の頻度は週3回の回答が多くみられた.一方,医療機関外来受診者では,毎日症状が出現するために受診している例が多くみられた.一般の日本人が医療機関を受診しようと考えている症状の出現頻度と実際の医療機関外来受診者の症状出現頻度とは異なっていることが明らかとなった.
症例報告
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