症例は52歳男性.生来健康.日本酒2合/日30年間の飲酒歴がある.2004年10月に2回,イノシシの焼肉を摂取した.2005年1月13日に38.5°Cの発熱,倦怠感を認め,1月14日近医を受診し,肝機能障害を認め,同日当院入院となった.入院時の血液検査成績では,T-Bil 3.7mg/d
l,AST 2377IU/L,ALT 2756IU/Lと肝機能障害を認めた他,白血球2800/μ
l(好中球分画21.8%),血小板2.0×10
4/μ
lと血球減少を認めた.IgM HEV-Ab(+),HEV RNA(+)よりE型急性肝炎と診断した.血球減少についてはウイルス感染後の急激な低下,発熱,フェリチン値の著明高値などから血球貪食症候群の合併と考えられた.これまでにE型肝炎ウイルスによる血球貪食症候群の報告はなく,まれな症例と考えられ,文献的考察を加え報告する.
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