-
青池 晟
1985 年 82 巻 11 号 p.
2723-2732
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
正常健康人, ならびに胃癌患者の natural killer (NK) 活性と血中インターフェロン (IFN) を測定し, 同時にIFNの産生細胞を検索した. 正常健康人, および stage I群の胃癌患者では, NK活性と血中IFN値の間には相関関係が認められなかつたが, stage II群, stage III群あるいは stage IV群の両者間には, 弱い正の相関関係が認められた.
次に, K-562細胞に対する吸着解離法によつてリンパ球を分離すると, K-562細胞に吸着したリンパ球は形態的には large granular lymphocyte (LGL) が多く, 機能的には高いNK活性を示したので, NK細胞が濃縮されたものと考えられた. またその濃縮されたNK細胞と胃癌の継代培養株である Kato-IIを in vitro で混合培養すると, その培養上清中にIFNが産生されることより, 血中IFNの主要な産生細胞はNK細胞であろうと推論された.
抄録全体を表示
-
白井 忠
1985 年 82 巻 11 号 p.
2733-2741
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
注腸X線および内視鏡検査により半年以上の間隔で大腸ポリープ57病変 (平均観察期間36カ月) について組織学的所見および大きさを経時的に検討した. 腺腫の異型度の組織学的所見は Morson の分類を用いた. 1) 初回の病変が大きいほど増大した病変の頻度は高く, とくに5.1mm以上の病変は5mm以下に比し有意に高かつた(p<0.05). 2) 下行結腸を除き近位の大腸になるほど増大した病変の頻度は高く, とくに上行結腸の病変は直腸に比し有意に高かつた (p<0.05). 3) 最終検査時の組織学的所見では異型度が高い病変ほど増大した病変の頻度は有意に高かつた (p<0.005).
以上の成績より腺腫の増大に関与する因子として, 大きさ, 部位, 異型度が考えられた.
抄録全体を表示
-
非切除例と切除例における検討
今野 保敏, 樋渡 信夫, 熊谷 裕司, 安海 清, 平川 秀紀, 宮川 隆敏, 甘糟 仁, 丹野 尚昭, 小泉 勝, 後藤 由夫, 金澤 ...
1985 年 82 巻 11 号 p.
2742-2751
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
遠位回腸病変を有する非切除クローン病(非切除群)14例, 100cm以上の回腸切除クローン病(切除群) 5例の胆汁中および便中胆汁酸を分析し以下の成績を得た. 両群で胆汁中胆汁酸濃度が低下, 便中胆汁酸排泄量が増加し, 胆汁酸吸収障害の存在が示唆された. 非切除群で便中胆汁酸濃度が高値, 便中脂肪量が正常~軽度に増加し, 切除群で便中胆汁酸濃度が低下傾向, 便中脂肪量が著明に増加し, 便量増加に伴う希釈を考慮すると, 前者で胆汁酸性下痢, 後者で脂肪酸性下痢の関与が推定された. 胆汁中G/T値は便中胆汁酸排泄量と正の相関を示し, 広範な遠位回腸病変や切除例で上昇していたが, 軽度の遠位回腸病変例では正常~軽度の上昇にとどまつていた.
抄録全体を表示
-
筒井 ひろ子, 溝口 靖紘, 宮島 慶治, 関 守一, 山本 祐夫, 原 久子, 木下 博明, 門奈 丈之, 森沢 成司
1985 年 82 巻 11 号 p.
2752-2760
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Propionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌をマウスに静注し, 一定期間後に微量の lipopolysaccharide (LPS) を静注すると, 肝臓に広範な壊死が誘導され, ほとんどのマウスは24時間以 内に死亡する. この急性肝不全を誘導したマウスについて, 各時期における脾細胞の mitogen 刺激に対する応答を測定した.
P. acnes 静注7日後のマウスにおいては, mitogen によつて起こるリンパ球幼若化反応が有意に低下し, LPS追加静注によつて肝不全を誘導したマウスにおいては, さらに著しい応答低下がみられた. これらの応答低下には脾臓における粘着性細胞が関与しているようであり,
P. acnes 静注7日後のマウスの脾臓から粘着性細胞を分離して, 正常マウスの非粘着性細胞と再構成すると, mitogen 刺激に対する顕著な応答低下が認められた. また, この応答低下が indomethacin 添加によつて回復することから, 粘着性細胞から産生される prostaglandins が応答低下に関与すると考えられた. しかし,
P. acnes 静注7日後に微量のLPSを追加静注して急性肝不行を誘導したマウスの脾細胞における mitogen 刺激に対する応答は, indomethacin によつて回復しなかつた. このことは,
P. acnes とLPSによつて二段階に活性化された粘着性細胞からは, prostaglandins 以外の suppressor 分子が産生されることを示唆した.
以上の結果から, 本実験で誘導した急性肝不全マウスにおける脾細胞の mitogen 刺激に対する応答低下には粘着性細胞が重要な役割を果していると推測された.
抄録全体を表示
-
吉川 泰生
1985 年 82 巻 11 号 p.
2761-2768
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
門脈下大静脈吻合下の肝の再生能を検索するため, Eckラットに肝広汎切除を行ない, 経時的に検討した. 肝不全死は40例中16例で, いずれも術後4日以内であつた. 肝重量対体重比は, 術後4週目には術前の約60%に回復した. 術後1日目に著明な低血糖とIRIの上昇をみたが, 3日目には著明な高グルカゴン血症となり, 全経過中グルカゴン優位であつた. 一方グルカゴン負荷に対する血中cAMP応答は, 術後3日まではほとんどなく, 4週後でも術前の約50%にすぎなかつた. 以上より, 門脈下大静脈吻合下での肝再生は著明に遅延し, しかも完全には回復しない. グルカゴン負荷後cAMP応答能は肝再生の示標として有用であつた.
抄録全体を表示
-
椙村 春彦, 志賀 淳治, 浦野 順文, 森 亘
1985 年 82 巻 11 号 p.
2769-2774
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝組織内におけるB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)の分布と局在について, 肝硬変あるいは肝癌例の剖検肝を用いて検索した. 血清 HBsAg 陽性例 (3例), ならびに陰性例 (4例) の両者につき検討し, 少なくとも一症例につき1割面 (陰性例については2割面) をきり出し, そのすべてを顕微鏡標本とした. HBsAg の検出にはビクトリア青染色を用いた.
HBsAg の陽性例については従来の報告よりも多彩で, 疎に分布したり, 不均一に分布する傾向もあることが認められた. 血清 HBsAg 陰性例については肝組織全体をくまなく検索しても HBsAg を組織中に検出することはできなかつた.
抄録全体を表示
-
肝動脈塞栓術後の変化
森安 史典, 伴 信之, 西田 修, 中村 武史, 宋 泰成, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 三宅 健夫, 内野 治人
1985 年 82 巻 11 号 p.
2775-2781
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
原発性肝癌 (HCC) に対する肝動脈塞栓術 (TAE) 前後の門脈血行動態の変化を検討した. 門脈血流量を体表から超音波ドップラー法を用いて測定し, 門脈圧は経皮経肝的門脈カテーテル法にて測定した. TAE直後には, 門脈圧•門脈血流量共一定の傾向を示さなかつたが, 最長4カ月の経時的な門脈血流測定では, TAE 1週後にピークを示し, 3~4週後に前値に復する傾向を示した. 1週後の変化率は1.21±0.35(mean±S.D., n=15)であつた. TAE後肝不全などの予後不良を示した群では, TAE後全例が門脈血流量の低下を示し, 門脈血流の低下はTAE後の予後予測において重要な指標となり得ると思われた.
抄録全体を表示
-
上野 隆登, 長田 英輔, 向坂 彰太郎, 神代 龍吉, 三浦 力, 権藤 和久, 赤司 隆裕, 松崎 雅, 和田 達郎, 桑木 敏光, 安 ...
1985 年 82 巻 11 号 p.
2782-2789
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肥満にともなう脂肪肝22例の治療前の生化学, 組織学的検討を行ない, 経時肝生検を施行し得た8例については治療前後の生化学, 組織学的検討も併せて行なつた. 体重増加の傾向が10年以上続き体格指数35以上の著明な肥満にともなつた脂肪肝では血清GOT, GPT, ChE, 中性脂肪などの上昇とともに肝組織に50%以上の脂肪滴の蓄積を認めた. さらに, 中心静脈周囲や肝細胞周囲に線維化, 一部中心静脈一門脈線維架橋もみられた. これらの症例では治療により生化学的検査値や肝細胞の脂肪滴の減少をみたが, 小葉中心部の線維化は残存しまだ十分治療を続けることが必要と思われた. また, 電顕的観察ではその線維化部に線維芽細胞に類似した Fat-storing cell (FSC) を多数認めた. このことより脂肪肝における小葉内肝線維化には線維芽細胞類似のFSCが重要な役割を担つているものと考えられた.
抄録全体を表示
-
小笠原 久隆, 須田 都三男, 三上 誠, 西野 晴夫, 松生 恒夫, 佐藤 春喜, 藤澤 孝一郎, 溝呂木 ふみ, 永山 和男, 田中 照 ...
1985 年 82 巻 11 号 p.
2790-2798
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
アルコール性肝障害の診断能をより高めるために, 従来飲酒家にみられる肝障害で上昇するとされた血清 glutamic dehydrogenase (GLDH)•血清 ornithine carbamyltransferase (OCT) に加えて, 血清GLDH/GPT比, GLDH/OCT比をとり上げ, 組織像と対比し評価を試みた. 血清GLDHやOCT は, 非アルコール性肝疾患でも高値を呈する例があり, その値のみからでは組織学的にアルコール性肝障害を有する例との鑑別が困難であつた. このような場合でも血清GLDH (I.U./l)/GPT(I.U./l) 比をみると組織学的にアルコール性肝障害を有する例では0.4以上の値を示し, 有意差をもつて鑑別が可能となり, 少なくとも断酒後の早期まではアルコール性肝障害の組織像をかなりよく表現すると考えられた.
抄録全体を表示
-
腫瘍濃染像の診断的意義について
炭田 正俊, 大藤 正雄, 梶川 工, 小林 敏生, 松谷 正一, 江原 正明, 守田 政彦, 木村 邦夫, 土屋 幸浩, 税所 宏光, 奥 ...
1985 年 82 巻 11 号 p.
2799-2808
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
50mm以下の小肝細胞癌51例の血管造影所見を検討した. 小肝細胞癌では動脈相での所見に乏しく, 特に20mm以下では腫瘍濃染像が唯一の所見であつた. 腫瘍濃染像の濃染の程度と血洞の広さとの関連はみられなかつた. non-staining area の背景因子としては壊死, 線維化に加え脂肪変性の関与を認めた. 腫瘍濃染像は腫瘍の発育•進展をよく表していた. 腫瘍濃染像は51例中42例 (82.4%) に得られ, 腫瘍濃染像により高率に鑑別診断が可能であつた. 腫瘍濃染像を確実に得るため超選択的に infusion hepatic angiography を施行することが必要であるが, その反面肝細胞癌を有しない肝硬変症7例全例に腫瘍様濃染像を認め, 小肝細胞癌との鑑別が必ずしも容易でなく慎重を要することが明らかとなつた.
抄録全体を表示
-
早川 哲夫, 野田 愛司, 近藤 孝晴, 柴田 時宗, 村瀬 敏之, 杉本 吉行, 小川 裕
1985 年 82 巻 11 号 p.
2809-2815
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
血清リパーゼの膵疾患診断における意義を検討するために, enzyme immunoassay (EIA) により血清リパーゼを測定した. 血清リパーゼ値は比濁法の値と良く相関し, 測定精度 (CV 10%以下), 感度 (3μg/L以下), 特異性とも良好であつた. 血清リパーゼの正常範囲は7~59μg/L (m±2SD, median 20.5, n=41) であつた. 血清リパーゼの異常は急性膵炎では高値7/8, 慢性膵炎では高値8/24, 低値8/24で2/3が異常を呈した. 膵癌では12/18が高値であり, 膵疾患全体の異常は70%に達した. 非膵疾患では血清リパーゼの高値は胆石症2/7, 肝硬変1/8, 消化性潰瘍0/7, 慢性腎不全6/7であつた. EIAによる血清リパーゼ測定は膵荒廃による低値も検出可能で, 膵疾患特異性が高く, 診断的意義が高い.
抄録全体を表示
-
浦 一秀
1985 年 82 巻 11 号 p.
2816-2823
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
血清トランスフェリン (以下Tf) の質的•量的検討を臨床的には各種消化器疾患で, 基礎的には 3'Me-DABによるラット肝癌および, DHPNによるハムスター膵癌での発癌過程において行い, 本法の良性, 悪性判定のスクリーニングテストとしての有用性を検討した. その結果, 殆どの悪性疾患で血清Tfは量的には減少した. 一方等電点電気泳動法による質的検討では, Tfは正常人では大きく3つの band に別れ, これを陽極側より Fast, Main, Slow band とすると, 悪性疾患では Main band の分離本数が有意に少なくなつた. 特に膵癌では Slow/Fast band の比が低くなる等, 質的変化を認めた. また, このTfの質的変化にはシアル酸の変化が関与していることが示唆された. 一方ラットとハムスターの発癌過程においてもTf及びTf様糖蛋白の質的変化を認めた. 以上より血清Tfの質的検討は病態の解明のみならず, スクリーニングテストとしての有用性も示唆された.
抄録全体を表示
-
成富 由司, 林田 一洋, 中村 稔, 樋口 宣明, 鉢嶺 一男, 津田 泰夫, 石橋 大海, 浦江 隆次, 柿添 圭嗣
1985 年 82 巻 11 号 p.
2824-2828
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
宮沢 幸久, 北村 善男, 和田 信昭, 冲永 功太
1985 年 82 巻 11 号 p.
2829-2833
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
西村 庸夫, 若林 久男, 赤松 興一, 田中 美和, 坂上 博, 太田 康幸
1985 年 82 巻 11 号 p.
2834-2839
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
永井 孝三, 賀古 真, 金沢 五月, 広田 文雄, 高橋 徹, 坂本 和典, 住永 雅司, 高橋 都, 貝瀬 瑠璃子, 布施 梢, 麦谷 ...
1985 年 82 巻 11 号 p.
2840-2844
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
岩本 昭三, 御堂 義雄, 半明 晃二, 原川 誠二郎, 大道 和宏, 渡辺 哲彦, 林 真智子, 藤原 卓, 田中 龍二
1985 年 82 巻 11 号 p.
2845-2849
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
山田 俊彦, 飯塚 邦彦, 湯浅 圭一朗, 佐伯 俊一, 阿部 毅彦, 桜井 誠司, 高橋 仁公, 市川 邦男, 竹沢 二郎, 長嶺 竹明, ...
1985 年 82 巻 11 号 p.
2850-2854
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
0.6N HCI起因性胃粘膜傷害の走査型電子顕微鏡による検討
山田 博明, 中村 厚, 重本 達弘, 佐久間 裕之, 福田 隆, 樋口 和秀, 佐藤 博之, 中村 肇, 蝶野 慎治, 荒川 哲男, 小野 ...
1985 年 82 巻 11 号 p.
2855
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
荒川 泰行, 楠美 嘉晃, 須藤 裕正, 須藤 祐司, 宮本 正俊, 天木 秀一, 松尾 裕, 本田 利男, 神田 靖男, 志方 俊夫
1985 年 82 巻 11 号 p.
2856
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
中山 宏幸, 坪内 博仁, 弘野 修一, 高橋 耕三, 宮崎 博臣, 永浜 重遠, 橋本 修治, 合田 栄一, 大工原 恭
1985 年 82 巻 11 号 p.
2857
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
岡崎 和一, 宮崎 正子, 松浦 靖, 大西 三郎, 伊藤 憲一
1985 年 82 巻 11 号 p.
2858
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
高山 哲夫, 吉江 研一, 曽我 洋一, 浅井 雅則
1985 年 82 巻 11 号 p.
2859
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー