-
とくに spatial resolution について
斉田 宏, 村上 元庸, 水野 雅博, 兪 正根, 芦田 豊, 井上 良一, 稲田 雅美, 北 徹, 三宅 健夫
1989 年 86 巻 6 号 p.
1235-1240
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
レーザー•ドップラー法 (LDV法) による胃血流測定において, その電気信号が胃壁の何処までの深さの血流量を反映しているのか (spatial resolution) をラットを用いて検討した.
プローブ先端に摘出したラット胃壁を一枚介した状態でのラット胃血流測定でもLDL法の電気信号を得ることが可能であつた. このことは, LDV法が胃壁全体の血流を反映することを示す. しかし, ラット胃において粘膜側からの測定値と漿膜側からの測定値が異なり, 粘膜側からの方が大きな出力が得られることより, その電気信号は胃壁全層の総血流量を均一的にとらえているのではなくプローブに近い胃壁表層の血流量を多く反映する胃壁血流量と考えられた. また, 胃の各部位による粘膜血流量, 及び各種薬剤に対する粘膜血流量の変化応答を, 水素ガスクリアランス法による粘膜血流量と比較すると, LDV法の信号は, 水素ガスクリアランス法の値と相関した.
以上より, LDV法による粘膜側からのラット胃血流測定は粘膜血流を主に反映しているが粘膜下も含めた胃壁血流の一部をも反映していると考えられた.
抄録全体を表示
-
吉田 正樹, 井本 一郎, 鈴木 司郎
1989 年 86 巻 6 号 p.
1241-1245
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃十二指腸疾患における Campylobacter pylori (CP) の検出率, CPと組織学的炎症度との関連及び腸上皮化生との関連について検討した. CPは内視鏡的正常者で55%, 胃癌で47%, 胃炎で73%, 胃潰瘍で91%, 十二指腸潰瘍で100%に見られた. 潰瘍では, 瘢痕期においても活動期, 治癒期と同様に高率に検出された. 組織学的炎症度との関連では, CPは多核白血球浸潤を伴う炎症の強い胃粘膜で83%と高率に認められたが, 組織学的に正常な胃粘膜では3%に認めたのみであつた. CPは腸上皮化生の部位にはほとんど認められなかつたが, 同一生検標本上でも腸上皮化生のない部位には認められ, CPの局在性が示唆された.
抄録全体を表示
-
武藤 信美
1989 年 86 巻 6 号 p.
1246-1253
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
著者は, histamine 刺激の酸分泌反応における second messenger としてのcyclic AMPと, Ca
++との関係について検討し, 両者が互いに協調し合うことを示唆する成績を報告してきた. そして本誌第85巻第8号においては, fura-2/AM を蛍光 probe として用いた2波長励起法で, モルモット単離壁細胞の histamine 刺激による細胞内Ca
++濃度上昇を報告した. 今回は, はたしてそのCa
++がどのような機序で上昇するのかを知るために, 細胞外Ca
++濃度を変えた場合, Ca
++ channel blocker を加えた場合, intracellular Ca
++ antagonist を加えた場合につき検討し, 合わせて経時的変化も観察した. この結果, histamine 刺激によりまず細胞内貯蔵部位よりCa
++ が動員され, 続いて細胞外より流入してくる機序が示唆された.
抄録全体を表示
-
韓 東植, 松川 正明
1989 年 86 巻 6 号 p.
1254-1259
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
1.5cm以下の大腸癌を用いて肉眼形態, 癌深達度, 腺腫の有無, 癌占有率について検討した. 癌占有率からみると小さな大腸癌は長茎型•腫瘤型•丈の低い型 (平盤型•中心陥凹型) に大別することが妥当であつた. 長茎型の大部分は腺腫を伴い, 癌占有率は低く, focal cancer であつた. 1.0cm以上の腫瘤型では癌占有率が高くm癌に比してsm癌の比率が高く, mからsm癌へ進展する可能性が高いものと考えられた. 平盤型•中心陥凹型では大きさに関係なくsm癌とpm癌が多く, 癌占有率が高く, かつ癌占有率が100%の病変が多いことから腺腫との関連が乏しいと考えられた.
抄録全体を表示
-
村上 信三, 春間 賢, 隅井 浩治, 田利 晶, 吉原 正治, 井上 和彦, 木村 学, 松原 秀樹, 豊島 仁, 徳毛 健治, 梶山 梧 ...
1989 年 86 巻 6 号 p.
1260-1265
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
大腸癌の発生過程におけるプロモーターの関与を検討する目的で, 正常対照25例, 大腸癌38例及び大腸腺腫35例の腫瘍組織及び直腸粘膜を経内視鏡的に生検採取し, オルニチン脱炭酸酵素 (ODC) 活性を測定した. 癌組織のODC活性は腺腫組織のそれより有意に高値を示した. 正常者の粘膜内ODC活性は直腸及びS状結腸が口側大腸より2~4倍高値を示した. また, 癌と腺腫例の直腸粘膜ODC活性は正常対照に比べ有意に高値を示した. ODC活性をプロモーターの指標とすると, 癌と腺腫は類似の大腸粘膜に発生した可能性が示唆された. さらに, 結腸癌は直腸癌より有意に高値を示し, 発生過程においてTPAタイプのプロモーターがより強く関与している可能性が示唆された.
抄録全体を表示
-
奥野 文隆, 山田 昌夫, 清島 満, 森脇 久隆, 吉田 洋, 安藤 喬, 武藤 泰敏
1989 年 86 巻 6 号 p.
1266-1272
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
D-galactosamine (GalN) による肝障害の発生過程において脂質過酸化反応の果たす役割を解明する目的で, この反応の initiator である活性酸素のうち, とくに一重項酸素の発生を chemiluminescence (CL) を指標として測定した. その結果, GalN 障害肝では一重項酸素の発生が有意に高いことをはじめて明らかにした. また, 過酸化反応の最終産物である malondialdehyde (MDA) も有意に増加し, これに並行して血漿GPT, 総ビリルビンの上昇, 組織学的には submassive necrosis が観察された. さらに, 一重項酸素の radical scavenger である vitamin E (VE) の投与により肝CL, MDAはともに有意に低下し, 血漿GPT, 総ビリルビンも改善するとともに, 組織学的変化も有意に軽減した. 以上より, GalN 肝障害の少なくとも一部には一重項酸素が関与し, これに対してVEが抑制効果をもつことが示唆された.
抄録全体を表示
-
吉田 隆典, 御手洗 義信, 長峰 健二, 小林 迪夫
1989 年 86 巻 6 号 p.
1273-1280
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変群9例と対照群4例について, 膵グルカゴンおよびインスリンの産生量と代謝量を直接的方法により算出, 肝門脈循環の各種指標などとの間の関連を検討し, 以下の結果を得た. 1. 肝硬変症では膵グルカゴン産生量亢進による高グルカゴン血症を呈し, 膵グルカゴン産生量は, ICG-R
15, 門脈圧と正の相関を示した. 2. 膵グルカゴン産生量は, 門脈血ノルエピネフリン濃度と正の相関を示した. 3. 肝硬変症ではインスリン代謝量低下による高インスリン血症を呈し, インスリン代謝量は, ICG-R
15, 門脈圧と負の相関を示した. 以上の結果から, 肝硬変症における高グルカゴン血症ならびに高インスリン血症の成因について考察した.
抄録全体を表示
-
結城 暢一, 林 紀夫, 片山 和宏, 笠原 彰紀, 上田 啓二, 竹原 徹郎, 三田 英治, 房本 英之, 佐藤 信紘, 岸田 隆, 明山 ...
1989 年 86 巻 6 号 p.
1281-1286
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
B型肝炎ウイルス感染者における血中Pre-S1抗原•抗体の発現をPre-S1領域の部分ペプチドおよびこれに対するモノクローナル抗体を用いELISA法で定量的に検討した. 血中Pre-S1抗原価とHBs抗原価には有意の相関関係を認めた. e抗原, HBV-DNA, DNAポリメラーゼ陽性血清でPre-S1抗原価は高値を示したが, Pre-S1抗原価とHBs抗原価の比については, これらウイルス増殖マーカーとの関連は認めなかつた. またGPT高値を示す慢性活動性肝炎の中に同比が高値を示すものがみられ, 肝組織障害との関連が示唆された. 慢性感染者でのPre-S1抗体検出率は低く, 持続感染成立に関与する可能性も考えられた.
抄録全体を表示
-
内田 潔, 中田 進, 岩瀬 弘明, 山本 均, 笠原 英子, 小長谷 敏浩
1989 年 86 巻 6 号 p.
1287-1291
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
過去3年間に経験した破裂肝癌症例18例について, 各画像診断法の有用性を検討した. 超音波検査では, 出血部位は腫瘍周囲に限局した高 echo 領域として4/15例 (26.7%) で推定し得た. 腹部CT検査では, dynamic CTで腫瘍被膜の濃染とその部位に連続して広がる腹腔内高吸収域として, またlipiodol 動注後のCTでその腹腔内漏出により出血部位を3/18例(16.7%)で推定し得た. 血管撮影では,造影剤の漏出により2/13例 (15.4%) で出血部位を診断し得た. これらを総合すれば8/18例 (44.4%)で出血部位を推定することができた. 今後, これら画像診断を適当に組合せ出血部位を診断することで,緊急TAEによる破裂肝癌に対する治療成績を向上させることにつながると考えられた.
抄録全体を表示
-
上野 規男, 山中 桓夫, 木村 健
1989 年 86 巻 6 号 p.
1292-1298
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
超音波パルスドプラ法を用い, 各種腹部腫瘍54例85病変の腫瘍内, あるいは周辺の血流描出を試み, その臨床的意義について検討を加えた. この結果, 本法は腫瘍の vascularity の判定, あるいは腫瘍周辺の血管構築の把握に有用と考えられ, 臨床的に腫瘍の質的診断, TAE療法の塞栓効果判定, 治療方針決定に応用可能と考えられた. また, 血流速度, 血液波形の面からも, 腫瘍の質的診断にせまれる可能性が示唆された.
抄録全体を表示
-
こといin vivo, in vitro の比較
宮坂 京子, 中村 理恵子, 船越 顕博, 木谷 健一
1989 年 86 巻 6 号 p.
1299-1303
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ブタ膵より抽出されたペプチド, パンクレアスタチンの膵外分泌に対する抑制効果をラットを用い in vivo, in vitro において検討した. パンクレアスタチンは十二指腸内トリプシン活性低下による内因性コレシストキニン (CCK) 放出時の膵液, タンパク分泌を抑制したがHC1注入時における重炭酸イオン分泌は抑制しなかつた (in vivo). 一方分離膵腺房細胞からのCCK刺激によるアミラーゼ放出はパンクレアスチンにより全く抑制されなかつた. 又, CCKによる細胞内Ca濃度の変化も全く影響をうけなかつた. 以上の結果より, パンクレアスタチンの作用はラットでは膵腺房細胞に直接作用せず間接的なものと考えられた.
抄録全体を表示
-
安武 晃一, 松下 健次, 今村 諒道, 大家 学, 穂積 俊樹, 加藤 順一, 奥谷 俊夫, 吉村 幸男
1989 年 86 巻 6 号 p.
1304-1309
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
高野 裕久, 吉川 敏一, 高橋 周史, 小山田 裕一, 竹村 俊樹, 杉野 成, 近藤 元治, 田井中 憲三
1989 年 86 巻 6 号 p.
1310-1315
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
斉藤 治, 鄭 鳳鉉, 吉村 憲治, 辰巳 昭央, 平田 一郎, 谷村 雅一, 石橋 孝嗣, 磯崎 博司, 大柴 三郎
1989 年 86 巻 6 号 p.
1316-1320
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
竹内 信道, 福島 恒男, 今井 信介, 山崎 安信, 杉田 昭, 土屋 周二
1989 年 86 巻 6 号 p.
1321-1325
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
堀江 泰夫, 千葉 満郎, 飯塚 政弘, 渡部 博之, 正宗 研, 柿崎 善明
1989 年 86 巻 6 号 p.
1326-1330
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
岩本 廣満, 辻 博, 福井 宣規, 渡辺 英則, 布井 清秀, 村井 宏一郎, 赤木 公博, 藤島 正敏, 山田 猛
1989 年 86 巻 6 号 p.
1331-1334
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
春田 郁子, 進藤 仁, 林 直諒, 久保井 宏, 足立 ヒトミ, 久保 精志, 加藤 義郎, 米島 正博, 窪田 徳幸, 土岐 文武, 福 ...
1989 年 86 巻 6 号 p.
1335-1339
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
藤原 澄夫, 具 英成, 斎藤 洋一
1989 年 86 巻 6 号 p.
1340-1344
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー