日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
71 巻, 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 古賀 明俊, 藤堂 省, 西村 正也
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1085-1101
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    8例のcholesterosisの胆嚢を光顕ならびに電顕的に観察するとともに遊離型cholesterolのdigitonin処理を行いcholesterolの動態を電顕レベルで追求し, あわせて胆嚢cholesterosisの成因についての考察を行つた.胆汁中のcholesterolは遊離型のままdiffusionで上皮細胞内に吸収され一部は小胞体系でester化され脂質滴になる.一部はlysosomeに取込まれる.一部は遊離型のまま細胞外へ放出される.上皮細胞内の脂質滴は細胞外へ放出されmacrophageにより貧食される.他方macrophage自身もcholesterolをester化する可能性もある.何らかの機転でリンパ管の閉塞が起るとmacrophageがリンパ管内に充満しリンパ管の破壊を惹起せしめ, macrophageが粘膜固有層に蓄積しcholesterosisを起すものと考えられる.
  • 藤田 実彦
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1102-1117
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    原発性肝細胞癌におけるα-fetoprotcin (以下AFPと略) の診断的価値は重要で, 今日広く応用されている.しかしAFPの存在意義および産生機序等に関しては, 未解決の点が山積している.著者は, RI法を用い, 肝炎, 肝硬変例についてその臨床経過とAFPの推移並びに各種肝機能との関連を検討し, さらに, ラットCCl4障害肝に於けるAFPの変化を観察し, 次の結果を得た.1) 肝炎, 肝硬変例に於けるAFP陽性率は30-40%である.2) これら陽性例における本蛋白の推移には肝炎例で2タイプ, 肝硬変例で3タイプが存在する.3) 実験的にはラット急性障害肝ではCCl4投与12時間目よりその出現を認めた.4) 臨床, 実験例を総合し非癌性肝障害時のAFP出現には肝細胞障害に加え, その再生機序が関与しているものと考えられた.
  • とくに早期例について
    杉山 憲義
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1118-1130
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1946年から1973年8月までの間に癌研究会附属病院で切除された胃悪性リンパ腫43例, 54病変について, X線学的ならびに病理組織学的に検討を行なつた.
    肉眼所見は, 進行期のものは熊倉の分類 (腫瘤型・潰瘍型・中間型・浸潤型) でわけ, 早期のものは優勢像をもつて表面陥凹型・隆起型・潰瘍隆起型・巨大皺漿型にわけた.
    早期胃悪性リンパ腫のx線所見の特徴を各肉眼所見別に記述した.早期胃悪性リンパ腫の定義を早期胃癌の定義に準拠し, この定義の妥当性を論じた.又, 胃悪性リンパ腫にも胃癌と同じように悪性サイクルのあることが推測された.
  • 原納 優, 清水 靖久, 吉田 途男, 七里 元亮, 星 充, 繁田 幸男, 金 清一, 宮地 徹, 阪本 俊一, 大島 進, 岡村 純
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1131-1136
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    A case with squamous cell carcinoma of the pancreas is now reported. The case with squamous cell carcinoma is the first among 90 cases of pancreatic carcinoma in our departments. The carcinoma originated from ductal cell of the pancreas and occupied the head of the pancreas with the tumor size, 5×6 cm. There was infiltration of the cancer cell into the body of the pancreas. Metastasis to liver, lung, peritoneum, intestines, gall bladder, and various lymph nodes were evident. Residual pancreas was fibrotic with chronic pancreatitis secondary to the tumor.
    The result of pancreozymin-secretin (PS) test revealed normal water, bicarbonate and amylase output, but abnormally low output of trypsin and lipase. The dissociation of the digestive enzymes was also seen in the pancreatic tissue. The dissociation of the digestive enzymes indicates the importance of measuring trypsin and lipase in addition to amylase during PS-test.
  • 酒井 義浩, 芦沢 真六
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1137-1142
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    大腸fiberscope検査において観察の困難または不可能な部位が存在する.通常挿入時にはrectosigmoid, 下行結腸肛側端, 横行結腸肛側端と右半口側端, 上行結腸肛側端がそれであり, 横行結腸右半口側端が最多である.抜去時にはS状結腸口側端, 横行結腸右半肛側端と口側端, 上行結腸肛側端であり, 挿入時と同様に横行結腸右半口側端が最多である.これらの対策として軸回転操作を加えた頻回の挿入技去, 体位変換, α-loopやγ-loopの形成により対処しうる事もあるが, 右結腸曲を中心とする口側・肛側はい・まだ観察上困難な部位として残存し解決しえない.これら盲点の観察にdouble angle機構を有するcolonoscopeは有効と思われ, 第1関節の屈曲心点を可及的先端に近づける事を追加提案した.
  • 第2報 原発性肝癌におけるα-fetoprotein産生におよぼす諸因子の検討
    岡本 佳千
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1143-1150
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    組織学的に確診し得た原発性肝癌40例のうちImmunoelectrosyneresis法でα-fetoprotein (AFP) 陽性症例をAFP高濃度群, 陰性症例をAFP低濃度群とし, この両群と肝の肉眼的, 組織学的形態との相関ならびにオーストラリア抗原 (HB抗原) の関係を検索した, 肉眼的形態とAFP濃度との問には特別な相関は認められなかつたが, 高濃度群では結節型が, また低濃度群ではび慢型が多く, 組織形態とAFP濃度の関係はEdmondsonらの分類によるIV型の症例でAFP濃度は低い傾向があつた.肝重量とAFP濃度との関係については, 経過中常に低濃度群に属した症例では肝重量が軽い傾向があつた.またHB抗原との関係では低濃度群に比し高濃度群にHB抗原陽性例が多かつた.
  • 塚原 則幸, 福地 晋治, 檜山 護, 池永 達雄, 秋山 洋
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1151-1165
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    食道噴門癌術後における術式別食生活様式と栄養状態について, 手術例37例を検討したが, 癌再発による影響のないと思われる健在の切除再建例35例では, 殆ど日常生活に支障ないことが認められた.経時的には下部食道噴門癌に対する左胸腔内食道胃吻合術以外はよく寛解し, 同術式では逆派性食道炎がやや寛解しにくかつた.退院後の栄養状態は, 全術式で改善傾向を得, 切除不能バイパス手術例では手術目的が十分果せた.また消化吸収検査の糞便のズダンIII染色, 便中筋線維の検索, 血中力ロチン定量, D-キシロース吸収試験ではほぼ問題なく, ただ血液検査上, 軽度-中等度の貧血をみ, 食生活様式から栄養性の原因も考えられたが, 実生活上, ほぼ満足のゆく状況であつた.
  • 保坂 洋夫, 菊池 信子, 高根 俊之, 吉田 博美, 佐久本 育哉, 稲葉 允, 水入 紘造, 横井 幸雄, 安部井 徹
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1166-1171
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ラットの腸管潅流実験に於いて, 糖及びアミノ酸の吸収に対するマルチトール (4-α-D-glucopyranosyl-sorbitol) の影響を調べた.等張潅流液に於けるマルチトールの存在はブドウ糖の吸収を20分間で約33%阻止した.アミノ酸に対しても5, 10, 15分の潅流で各々30%の吸収阻止がみられた.すなわち, マルチトールには糖やアミノ酸の積極的な吸収阻止作用があるものと考えられる.そこで肝性脳症患者にマルチトールを投与した所, 2日目で意識障害が軽減し, 10日目で全く正常となり, 血中アンモニアも正常値となり, 脳波上でも三相波は消失した.
    マルチトールは低カリロー人工甘味剤として使用されているが, 肝性脳症に対しても有用であると考えられる.
  • 岸川 基明
    1974 年 71 巻 11 号 p. 1172-1175
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 71 巻 11 号 p. 1176-1214
    発行日: 1974/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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