原発性肝細胞癌におけるα-fetoprotcin (以下AFPと略) の診断的価値は重要で, 今日広く応用されている.しかしAFPの存在意義および産生機序等に関しては, 未解決の点が山積している.著者は, RI法を用い, 肝炎, 肝硬変例についてその臨床経過とAFPの推移並びに各種肝機能との関連を検討し, さらに, ラットCCl
4障害肝に於けるAFPの変化を観察し, 次の結果を得た.1) 肝炎, 肝硬変例に於けるAFP陽性率は30-40%である.2) これら陽性例における本蛋白の推移には肝炎例で2タイプ, 肝硬変例で3タイプが存在する.3) 実験的にはラット急性障害肝ではCCl
4投与12時間目よりその出現を認めた.4) 臨床, 実験例を総合し非癌性肝障害時のAFP出現には肝細胞障害に加え, その再生機序が関与しているものと考えられた.
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