日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
109 巻 , 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
総説
  • 藤永 秀剛, 森屋 恭爾, 小池 和彦
    2012 年 109 巻 4 号 p. 535-543
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/05
    ジャーナル フリー
    分子生物学的な手法でウイルス肝炎の研究が進むにつれて,「肝臓は代謝の中心臓器である」という古くからある概念が,再び注目されるようになった.C型肝炎ウイルスにより脂質代謝,糖代謝,鉄代謝などの代謝異常が惹起され,これらがC型肝炎のウイルス増殖も含めた病態の根幹に関わっていることが明らかになりつつある.C型肝炎の抗ウイルス治療は格段に進歩したが,ウイルス排除不成功例への対処を含む課題はまだ残されている.また最近注目されている非アルコール性脂肪性肝炎の病態を理解し解明するためにも,C型肝炎について代謝性疾患としての側面から改めて見直す必要がある.
今月のテーマ:肝発癌と代謝異常
  • 川口 巧, 佐田 通夫
    2012 年 109 巻 4 号 p. 544-554
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/05
    ジャーナル フリー
    糖質は細胞の主要なエネルギー源であるとともにヌクレオシドの構成成分である.また,インスリンは細胞分裂や増殖作用を有することから,糖代謝とがんは密接な関係にあると考えられる.事実,インスリン抵抗性を特徴とする糖代謝異常は,C型慢性肝疾患患者において高頻度に認められ,肝発がんの危険因子である.さらに,糖尿病は,近年急増している非B非C肝癌の危険因子でもある.このように,「糖代謝異常の制御」は,現在そして今後の肝がんの動向を左右する重要なテーマと考えられる.本稿では,臨床および基礎的視点から肝がんと糖代謝異常の関連につき概説する.また,肝がん抑制を目指した糖尿病治療の今後の展望についても論ずる.
  • 中牟田 誠, 国府島 庸之
    2012 年 109 巻 4 号 p. 555-562
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/05
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌部と非癌部の脂質・糖代謝関連遺伝子の発現を比較検討すると,癌部では,解糖系が亢進しているが,TCA回路は抑制されており(Warburg効果),その代謝産物であるアセチルCoAを原料とする脂肪酸とコレステロールの合成は亢進していた.脂肪酸は酸化ではなく細胞膜成分(リン脂質)として利用されており,コレステロールは,増加した合成に反してLDLレセプターによる取り込みは減少していた.インスリンシグナル系は全般的に亢進しており,脂質合成や細胞増殖の増加に関与していると思われた.スタチンなどの代謝モジュレーターは肝癌の発生抑制や化学療法効果の増強に寄与する可能性が示唆された.
  • 仁科 惣治, 日野 啓輔
    2012 年 109 巻 4 号 p. 563-570
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/05
    ジャーナル フリー
    鉄はFenton反応により活性酸素種を産生し酸化ストレスを惹起する.そのため肝臓の鉄沈着は酸化ストレスを介した肝発癌促進因子とされている.臨床的にも肝内鉄過剰と肝発癌との関連性が指摘されている.典型例としては古くからヘモクロマトーシスと肝発癌の関係が知られているが,より日常的に遭遇する疾患としてC型肝炎,アルコール性肝障害,非アルコール性脂肪性肝炎においても鉄代謝異常が存在することが報告されている.鉄代謝異常の分子機構として鉄吸収のnegative regulatorであるhepcidinの関与なども明らかにされているが,いまだ不明の点も多く,また肝発癌に対するインパクトも今後の研究課題である.
座談会
原著
  • 赤羽 麻奈, 田近 正洋, 近藤 真也, 田中 努, 水野 伸匡, 原 和生, 肱岡 範, 今岡 大, 佐伯 哲, 小倉 健, 羽場 真, ...
    2012 年 109 巻 4 号 p. 585-592
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/05
    ジャーナル フリー
    転移性胃腫瘍は比較的まれな疾患である.今回当院で経験した転移性胃腫瘍と診断された8例9病変の臨床病理学的特徴について検討を行った.原発巣は肺癌6例,乳癌2例で全例腺癌であった.胃腫瘍の占拠部位は胃上部(U)から中部(M)領域に多く認め,肉眼型はSMT様5例,原発胃癌様3例であった.8例中7例で免疫染色,1例で遺伝子変異検索を追加した.肺癌ではTTF-1,surfactant proteinなどの免疫染色やEGFR遺伝子変異の有無が,乳癌ではER,MGB1の免疫染色が診断に有用であった.転移性胃腫瘍診断後の生存期間は中央値で92.5日と不良であった.担癌患者の胃腫瘍では,SMT様隆起や胃癌類似の腫瘍を発見した際には,転移性胃腫瘍も念頭に入れて診療にあたる必要がある.
症例報告
feedback
Top