日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
114 巻 , 1 号
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特別寄稿―第102回総会会長講演―
  • 渡辺 守
    2017 年 114 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2017/01/05
    公開日: 2017/01/05
    ジャーナル フリー

    腸は「単なる管」ではなく,全身を制御する「第2の脳」と呼ばれるなど,今後は「腸」の時代になると予想されている.炎症性腸疾患(IBD)では,粘膜治癒が重要であるという劇的な治療目標の変更があった.われわれは画期的な大腸上皮幹細胞の体外培養と培養細胞の移植に世界で初めて成功したことから,現在は再生医療によるIBDの根治療法の開発に着手している.この技術はIBDだけでなく,内視鏡検体から培養した細胞の機能解析により,全身の疾患に対する新しい個別化診断・治療法へ応用できることを示している.これから消化器科を目指す若い先生には単なる技術向上ではなく,腸からヒト全身を診るという新しい時代に踏み込むことを期待する.

総説
  • 吉治 仁志
    2017 年 114 巻 1 号 p. 8-19
    発行日: 2017/01/05
    公開日: 2017/01/05
    ジャーナル フリー

    近年,肝疾患に対するマネージメントは大きく変貌している.たとえば,C型肝炎に対する抗ウイルス療法は経口抗ウイルス薬(DAA)の登場により大きく変貌したが,HCVが消失したからといってC型肝炎が治癒したわけではなく,高齢患者が多いわが国においては肝硬変をはじめとした背景肝に対するマネージメントは臨床上重要な問題である.2015年には日本消化器病学会による肝硬変診療ガイドラインが5年ぶりに改訂されている.肝硬変に対する薬物治療もこの5年間の間にさまざまな新規薬剤が使われるようになっており,病態に基づいた新規治療法を理解しておくことは日常診療上も重要であると思われる.

今月のテーマ:肝硬変治療の進歩
  • 白木 亮, 華井 竜徳, 清水 雅仁
    2017 年 114 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 2017/01/05
    公開日: 2017/01/05
    ジャーナル フリー

    肝臓は栄養素の代謝および貯蔵に重要な役割を果たしているため,肝硬変患者では蛋白エネルギー低栄養が出現する.蛋白低栄養の評価には血清アルブミンが有用であり,分岐鎖アミノ酸投与によってアルブミン値・QOL・予後が改善する.一方エネルギー低栄養の評価には,呼吸商・上腕筋周囲長・上腕周囲長・血清遊離脂肪酸が有用であり,就寝前軽食(分割食)によってエネルギー代謝が改善する.これらの栄養学的介入はさまざまなガイドラインで推奨されている.また近年,肥満やサルコペニア合併肝硬変患者への栄養・運動介入の重要性も報告され,2016年には日本肝臓学会によって肝疾患におけるサルコペニア判定基準が作成された.

  • 黒崎 雅之, 中西 裕之, 泉 並木
    2017 年 114 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2017/01/05
    公開日: 2017/01/05
    ジャーナル フリー

    肝性浮腫・腹水治療の基本は,腎機能の保護を念頭においた適切な利尿薬の選択である.大量の利尿薬投与や大量穿刺排液は,有効循環血液量を減少させ腎障害を惹起するリスクがある.抗アルドステロン薬とループ利尿薬は基本となる薬剤であるが,作用機序の異なる水利尿薬が登場したことで治療選択肢が広がった.日本消化器病学会の肝硬変診療ガイドライン第2版では腹水の治療選択がフローチャート形式で示され,抗アルドステロン薬とループ利尿薬に対する不応例では水利尿薬の早期導入を検討することが推奨されている.

  • 海道 利実, 上本 伸二
    2017 年 114 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2017/01/05
    公開日: 2017/01/05
    ジャーナル フリー

    非代償性肝硬変に対して内科的治療が奏効しない場合の最終治療手段が肝移植である.肝移植には生体肝移植と脳死肝移植があり,日本では約90%が生体肝移植である.欧米や近隣アジア諸国に比べ,脳死肝移植が極端に少なく,脳死下臓器提供数増加が急務である.肝癌合併非代償性肝硬変患者に対する肝移植の臨床的意義は大きく,各施設の適応基準内であれば良好な予後が期待できる.最近,肝移植周術期栄養療法やサルコペニアの意義が注目され,サルコペニアを考慮した移植適応や周術期栄養・リハビリ介入により予後の改善が期待できる.

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