日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
96 巻 , 9 号
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  • 溝上 雅史, 折戸 悦朗
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1033-1043
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    遺伝子工学の発展につれ塩基配列の決定が容易になり各種肝炎ウイルスの塩基配列も大量に蓄積されてきた.一方,従来人類学や考古学に利用されてきた分子進化学を肝炎ウイルスの研究に応用することでさまざまな成果が得られた.B型肝炎ウイルス(HBV)では血清学的分類よりも塩基配列を用いた系統解析の方が適切であることが示され,C型肝炎ウイルス(HCV)においては6つの遺伝子型(ジェノタイプ)に分類されることが示された.さらに,院内感染などの感染ルートの特定にも分子進化学的手法は有用であった.一方,G型肝炎ウイルス(GBV-C/HGV)においては,植物ウイルス,フラビウイルス,ペスチウイルス,GBV-C/HGV,HCVの順に進化してきたことが明らかになった.また,新しく発見されたTTVについても,現時点で少なくとも6つの遺伝子型が存在し,今後さらに増加するであろう.これらの結果から,肝炎ウイルスの研究において,ウイルス学的検討のみならず,感染ルートの解明や,ジェノタイプと病態,診断,治療,予後との関連の追究といった臨床的研究においても,分子進化学的解析が有用であることを示した.
  • 鶴 純明
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1044-1049
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    消化器系輸入感染症で問題になるのは,食物による腸管感染症または食中毒で,海外で食用し感染する場合と輸入食品によるものがある.とくに問題になるのは,いわゆる戦後生まれの人々の飲食物に対する不用心さ,そして伝染病に対する知識の欠如であろう.また,わが国に土着していない疾病についてはとかく医療関係者に無視されがちであるが,交通機関や食品流通機構の発達に加え,海外旅行者が年間1300万人に達し,約400万人の外国人が日本を訪れている現在,医療関係者が輸入感染症に対応することはとくに重要である.
  • 清水 雅仁, 吉見 直己, 清水 省吾, 下條 宏文, 二ノ宮 三生, 森脇 久隆
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1050-1056
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    大腸内視鏡的腫瘍切除術を施行された90例{上皮内癌(以後CIA)33例,高度異型腺腫(以後high grade)28例,低度異型腺腫(以後low grade)29例}を対象に,免疫組織染色にてβ-カテニン蛋白の発現を検討し,p53蛋白過剰発現との比較を行った.β-カテニンの免疫組織化学の染色性は,核に強く蓄積するもの,細胞質に強く蓄積するもの,正常の粘膜細胞と同程度の弱い発現性にとどまるもの,の大きく三つのパターンに分類された.このうちβ-カテニンの核への局在傾向は,CIAにて84.8%(28/33例)と高い頻度で認められ(high grade: 46.4%,low grade: 13.8%),染色性はhigh grade以上とlow gradeの間に有意差を認めた(p<0.0001).p53の陽性率は,CIAでは51.5%(17/33例)であり(high grade: 17.9%,low grade: 3.4%),染色性はCIAとhigh grade以下の間に有意差を認めた(p<0.0001).またCIAにてβ-カテニンの局在傾向とp53の発現を比較したが,β-カテニンはp53の染色性に依存せず(p=0.3472),より異型度を反映していた.以上の点より大腸腺腫上皮内癌においてβ-カテニンの局在性の変化の方がp53より早期の段階に起こり,またβ-カテニンの核への蓄積性は腫瘍の悪性化において重要な役割を持つものと考えられた.加えて病理組織診断学的に,大腸腫瘍の悪性化(異型度)の補助診断法の一つの指標になる可能性が示唆された.
  • 牧野 浩司, 森山 雄吉, 田中 宣威, 京野 昭二, 横井 公良, 小川 芳雄, 山下 精彦, 大秋 美治, 恩田 昌彦
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1057-1061
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    直腸に原発した神経内分泌細胞癌の1症例を経験したので報告する.症例は89歳の男性で血便,脱肛を主訴に来院した.直腸診にて腫瘤を触れ,直腸癌を疑い注腸造影を施行したところ,Rbに陰影欠損を認めた.大腸内視鏡検査にてAV 2cmに直径7cmの2'typeの腫瘍を認め,生検でgroup V,神経内分泌細胞癌が疑われた.骨盤CT,MRIにて前立腺,周囲脂肪織への浸潤およびリンパ節転移が疑われたが,上腹部CTでは肝転移は認められなかった.切除可能と診断しMiles手術を施行した.直腸手術標本のGrimelius,Chromogranin,NSE染色および電子顕微鏡所見にて神経内分泌細胞癌と診断した.
  • 森脇 義弘, 山崎 安信, 須田 嵩, 望月 康久, 高橋 真治, 竹村 浩
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1062-1066
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は,75歳,女性.主訴は血便.精査の結果,上行結腸癌,多発肝転移,傍大動脈リンパ節転移と診断し,姑息的回盲部切除施行.術中所見はH3P0M(−)SEN4(+)で,腹水は200mlでClass I.2型,環周率5.2/8.0cmの腫瘍で,NSE,Glimerius染色陽性で,内分泌細胞癌と診断された.高分化型腺癌の部分も認められた.術後,全身状態が急速に悪化し,第15病日に癌死した.結腸内分泌細胞癌は予後不良で,その改善には,早期症例の蓄積と生物学的,臨床的特徴の解明が重要と思われる.
  • 田畑 寿彦, 岡田 安浩, 中野 元, 山本 智文, 今泉 暢登志, 城 由起彦, 上月 俊夫
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1067-1072
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性.過去に左肺扁平上皮癌,前頭部皮膚悪性黒色腫の手術歴,食道扁平上皮癌の放射線治療歴を有し,今回,腸閉塞の診断で入院となった.小腸造影検査で回腸末端に狭窄を認め,回盲部切除術を施行した.切除標本の肉眼像では,狭窄部回腸壁の著明な肥厚を認め,狭窄部中央に小陥凹を認めた.組織学的には陥凹部原発の低分化腺癌で,癌細胞は全層性・びまん性に浸潤し,Borrmann4型様のまれな形態を呈していた.
  • 辻 邦彦, 桜井 康雄, 姜 貞憲, 潟沼 朗生, 三好 茂樹, 小山内 学, 柳川 伸幸, 泉 信一, 伊藤 英人, 渡辺 晴司, 高橋 ...
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1073-1078
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,C型肝硬変の女性.1997年7月に右季肋部痛ならびに体重減少の精査目的で当科へ入院となった.AFP,PIVKAIIが高値を示し精査を施行した.各種の画像所見では,肝左葉の主腫瘍が辺縁リング状の造影パターンを示し,肝内転移巣,他臓器への浸潤傾向,腹腔内播種巣,リンパ節転移など多彩な所見をともなっていた.狙撃生検の結果,肉腫様変化を呈した混合型肝癌と確定診断した.
  • 大西 一朗, 小西 孝司, 舩木 健一郎, 佐藤 貴弘, 荒川 元, 加治 正英, 木村 寛伸, 前田 基一, 薮下 和久, 臼田 里香, ...
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1079-1084
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    膵原発のガストリノーマは肝転移やリンパ節転移を有することもあり,根治切除が不可能となる場合もある.また,ガストリン以外にも様々なホルモンを産生することが知られており,ACTHを産生した場合にはいわゆる異所性ACTH症候群を呈して予後不良である.我々は,原発巣および肝転移切除後に多発肝転移再発を来たし,異所性ACTH症候群を発症した膵原発ガストリノーマの1例を経験し,Transcatheter Arterial Embolization(以下TAE)とオクトレオチドを用いたところ奏効し,ACTH,ガストリンとも術前のレベルまで改善し,腹痛,下痢等の症状も軽快した.CTでは1回目のTAE直後に認められたS4の大きな腫瘍が2回目のTAE直後はおよそ25%の縮小率を示し,また,満月様顔貌も2回目TAE施行時にはほぼ消失しており,初診時より2年4カ月の現在,症状はなく,外来通院で治療中である.
  • 道免 和文, 松石 英城, 小野原 信吾, 宮本 祐一, 石橋 大海
    1999 年 96 巻 9 号 p. 1085-1087
    発行日: 1999/09/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
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