日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
81 巻, 1 号
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  • 竹島 徹, 高瀬 靖広, 小野 隆, 小林 幸雄, 秋貞 雅祥, 岩崎 洋治
    1984 年 81 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    食道裂孔ヘルニア239例を,「形状」から四型 (滑脱型, 短食道型, 混合型, 傍食道型) に分類し, そのうち滑脱型については「大きさ」に着目して, 胸部脱出胃の程度と脱出した嚢状胃の横径を目標にI度, II度, III度に分類した.
    上記病型と臨床経過の関係を検討した結果, 滑脱型の場合ヘルニアが大きくなるにしたがつて胸やけ, 通過障害などの自覚症状ならびに食道炎合併頻度は高率となり, 罹病期間は延長する. すなわちヘルニアの大きさと臨床的重症度はきわめて密接な相関を示した. またI, II度滑脱型に臨床的問題は少いが, III度滑脱型, 混合型, 短食道型の場合, この順序で症状や食道炎は高率となる.
  • 三輪 晃一, 佐々木 正, 北村 秀夫, 宮崎 逸夫
    1984 年 81 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃癌の進展が胃液酸度によりどのような影響を受けるかを実験的に検索した. 体重100~120gのwistar 系雄性ラットに N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine を50mg/lの濃度に溶解した飲料水を20週投与し, 腺胃粘膜癌を作成した. このラットを, 胃底腺領域切除で無酸胃液にすると, 50週での粘膜下層以下に浸潤する胃癌の発生率は67%で, 対照の20%に比べ3.4倍と増加した. また, depot form の AOC-tetragastrin 2,000r/kg b.w. を連日10週にわたり皮下注射し高酸胃液にすると, 50週での胃癌発生率は対照と差異をみるに至らないものの, 腫瘍径は5±3mmで, 対照の19±10mmに比べ小さかつた. 以上の成績は胃癌の進展は胃液酸度に影響され, 無酸で促進, 高酸で抑制されることを示している.
  • 接触式水素ガスクリアランス法との比較
    斉田 宏, 村上 元庸, 関 真理, 三宅 健夫
    1984 年 81 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    レーザードップラー法 (LDV) によるラット胃粘膜血流測定を接触電極法による水素ガスクリアランス法との比較において検討した.
    胃粘膜血流を反映する接触式水素ガスクリアランス法による血流値とLDVによる電気信号とは有意の (p<0.01) 相関を認めた.
    又, 再現性も高く, 繰り返しの測定が可能であつた. LDVは, 時々刻々変化する粘膜血流に対して敏感に応答しながら連続的に記録する事が可能であり, 水素ガスクリアランス法にて測定不能な低血流をも容易に測定できた. 以上よりLDVは, 胃粘膜血流測定に有用な方法であり, 胃粘膜防御機構の一つである粘膜血流の研究に更に有効な手段となり得ると結論した.
  • 多糖画分における抗原性の確認
    北村 清明, 古川 裕夫, 三宅 健夫, 内野 治人, 片岡 悦子, 村地 孝
    1984 年 81 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Broberger と Perlmann の方法で, ヒト胎児大腸からフェノール•水抽出法で, 1つの抽出物を得た. この抽出物は, 彼らによれば, 潰瘍性大腸炎自己抗体の抗原となる. 同時に, 我々の過去の検討では, 潰瘍性大腸炎患者の細胞性自己免疫の抗原となり, モルモットによる動物実験で流血抗体も細胞抗体も作り得る幅の広い免疫原である. 今回は, この抽出物の抗原性を検討した.
    本抽出物 (Original) を Sephadex G-200でゲル濾過し, 多糖画分 (PS画分) とOD 280nm画分に分けた. 雑種モルモット15匹を3群に分け, 第I群はPS画分と Freund's Complete Adjuvant (以下FCAと略す) で, 第II群はOD 280nm画分とFCAで, 第III群は生理食塩水とFCAで免疫し, 免疫後各モルモットの側腹部にて本抽出物, PS画分, OD 280nm画分, E. coli 014LPS, 生食の五種の抗原で皮内反応を施行した. 第I群では本抽出物, PS画分で遅延型陽性を示した. 第II群でも本抽出物, PS画分で遅延型弱陽性を示したが, OD 280nm画分では陰性であつた. これらの事実より, 本抽出物の抗原性が多糖に関連した部分にあることが確認された. E. coli 014LPSの皮内反応では, すべて免疫に用いた抗原と関係なく陽性を示した.
  • 上行結腸内圧測定
    杉原 健一
    1984 年 81 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    本邦では右側大腸憩室症が高頻度に認められるが, その成因は不明である. 著者は右側大腸憩室症の発生病態を解明する目的にて, 右側大腸憩室症患者13例と正常者10例の上行結腸に大腸内視鏡を用いて Mikro-Tip 圧力トランスデューサーを留置し, 腸管内圧を測定した. 安静時, 右側大腸憩室症群の運動指数は正常群よりも高い値を示した. Neostigmine 静注後, 両群ともにおいて高圧の波が多数出現したが, 特に憩室症群では正常群に比べよい高圧の波がより高頻度に出現し, 憩室症群の運動指数は正常群より有意に高い値であつた. また, 憩室症群のうち有症状群と無症状群の間には腸運動に差を認めなかつたが, 憩室症の無症状群の運動指数は安静時, neostigmine 刺激後のいずれにおいても正常群より有意に高値であつた. さらに, このような腸管内圧を上昇させる圧力波は segmental contractiom により発生した波であつた. これらの観察結果から, 上行結腸における腸管内圧の上昇および腸運動異常が右側大腸憩室症の発生に重要な役割を演じていると考えられる.
  • 過去70年間の薬物性肝障害症例
    鮫島 美子, 塩崎 安子, 水野 孝子, 笹川 美年子
    1984 年 81 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    日本における薬物性肝障害の実態を知るため, 明治44年~昭和55年末に至る70年間に, 国内の医学雑誌に報告された薬物性肝障害症例を集計した. この期間に総数8,156例の報告があり, うち3,743例は薬物開発段階で実施された臨床試験から抽出したものである. 起因薬物を薬効別に分類してその報告数をみると, 抗生物質が最多, ついで中枢神経系用薬, 化学療法剤, 循環器官用薬の順となる. 報告数の多かつた個々の薬物は, セフェム系, ペニシリン系, thorium dioxide, 有機砒素剤の順であつた. また薬効別に組織学的病型分類, 臨床症状, 起因薬物の投与日数, 治癒日数, 診断方法について集計した. さらに集計期間中に死亡した症例395例について検討を加えた.
  • 杉山 知行, 中野 博, 井村 裕夫, 伊藤 憲一
    1984 年 81 巻 1 号 p. 46-55
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    線維増生を促進するリンホカイン, fibrogenic factor の慢性肝炎における肝線維化への関与を検討すべく, その活性 (fibrogenic activity, FA) を既報の標準法 (2-step 法) に代つて, 末梢血リンパ球と肝細胞膜特異抗原を同時に線維芽細胞培養系へ加える新たに工夫した簡易法 (1-step 法) で測定した.
    慢性活動性肝炎 (CAH) 9例, 慢性非活動性肝炎 (CIH) 7例, 正常人8例では両法で測定を行い, 24例中22例 (92%) と高率にFAの成績は一致した. また 1-step 法によるFAは正常人8例中には陽性例なく, CAH 12例中8例 (67%), CIH 16例中4例 (25%) で陽性で, CAHのFA陽性率は正常人に比し有意に高く, 2-step 法による成績とほぼ同様であつた.
    以上よりCHAの肝線維化機序の一因に fibrogenic factor が関与している可能性が示唆され, 又 1-step 法は簡便な為臨床上有用で 2-step 法に代りうるとの成績を得た.
  • 経皮経肝的門脈造影法を用いた肝内門脈の分岐次数及び亜区域枝の新しい命名
    高安 賢一, 森山 紀之, 村松 幸男, 志真 泰夫, 石川 勉, 後藤 裕夫, 牛尾 恭輔, 松江 寛人, 笹川 道三, 山田 達哉
    1984 年 81 巻 1 号 p. 56-65
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    各種肝•膵疾患27例を対象に, 経皮経肝的門脈造影法を用いて鮮明な肝内門脈枝の正面•側面像を撮り, 生体肝における門脈の立体構築を検討し従来の鋳型標本に基づいた脈管走行図譜との相違を明らかにした. さらに肝細胞癌の画像診断, 手術術式, 予後と密接な関係を有する肝内門脈について臨床に立脚した実用性の高い分類と命名を新たに行つた. 即ち, 1) 肝内門脈の分岐次数の命名: 右前区•後区域枝, 左枝臍部および尾状葉枝の大部分を第2次分枝とし, これより中枢門脈枝を第1次, 一方末梢枝を第3次分枝とした. 2) 第3次分枝 (亜区域枝) の命名: 各亜区域枝の出現頻度も加味して, 腹側から背側方向ヘアルファベット順に命名した.
  • 山田 昇司, 市川 邦男, 新井 孝之, 高木 均, 竹沢 二郎, 長嶺 竹明, 阿部 毅彦, 桜井 誠司, 佐伯 俊一, 高橋 仁公, 山 ...
    1984 年 81 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    帯状壊死を伴う急性肝炎例の21肝生検材料を検索し11生検材料 (52.4%) に小葉間胆管上皮の形態学的変化が観察された. 胆管上皮の変化としては, 炎症性細胞の胆管上皮内への侵入が主であつたが, 上皮細胞の細胞質の空胞化, 扁平化や, 腫大, 核萎縮, 好酸性変性などウイルス肝炎における肝細胞の変化に類似した所見もみられた. しかし, 胆管壁の破壊を示す程の強い変化はみられなかつた. 門脈域では, 炎症性細胞の浸潤, 細胆管増生, 幼若な線維化をみとめることが多かつたが, 肉芽腫はみられなかつた. 小葉間胆管上皮に変化をみとめた群では, みとめなかつた群に比し, 非A非B型肝炎と思われる例が多く存在した.
  • 特に病理所見との対比による検討
    常富 重幸, 大藤 正雄, 飯野 康夫, 品川 孝, 木村 邦夫, 守田 政彦, 税所 宏光, 土屋 幸治, 奥田 邦雄, 広岡 昇
    1984 年 81 巻 1 号 p. 72-81
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    X線CT (CT) による小肝細胞癌の診断能を明らかにするため, 5cm以下の肝細胞癌48例における腫瘤検出率, ならびに病理所見, 血管造影所見との対比によるCT像の成り立ちを検討した. 単純CT, 造影CTともに, 検出不能の主な原因は iso-dense であるためであつたが, 両者の併用により2cm以上の腫瘍では高率に検出可能であつた. 単純CTにおける腫瘍の density には, 癌部の出血, 壊死, 脂肪変性と非癌部の脂肪変性が関与した. 造影CTにおける腫瘍の density には, 癌部の出血, 壊死, 脂肪変性と血洞の広さとが関与した. CT像は病理所見と密接な関連をもつため, 肝細胞癌の確定診断や治療の効果判定に有力な手段として役立つと考える.
  • 香川 恵造, 出口 武司, 冨増 寛夫, 岡上 武, 奥田 健二, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎, 藤本 高久, 藤宮 龍也, 土橋 康成, 蒲 ...
    1984 年 81 巻 1 号 p. 82-91
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Liver Cell Dysplasia (LCD) の細胞生物学的意義を明らかにするため, 顕微螢光測光法を用いて細胞核DNA量を定量化し, それに基づくプロイディ解析の面から, LCDと肝硬変組織及び肝癌の差異を明らかにすることを目的とした. その結果, LCDは肝硬変組織と比べ一層顕著にポリプロイド化した過形成性細胞集団であり, 旺盛な増殖活性亢進を示す肝癌部とは異なり, 現在はほとんど増殖していない領域であることが判明した. このポリプロイド化は, 慢性肝障害に対する反応性の増殖活性亢進の結果, endomitosis の過程を経て形成された可能性, 更に核DNA構造の変化も招来している可能性が推察された. 以上より, LCDは癌化の母地として意義ある病巣と考えられた.
  • 沈 敬補, Ichikun KO, 金 義哲, 佐竹 克介, 梅山 馨
    1984 年 81 巻 1 号 p. 92-100
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    総胆管結紮ラットにおける膵内外分泌組織の経時的変化を主に電顕学的に検討した. 総胆管結紮早期 (2週後) では, 多くの膵腺房細胞は形態学的に機能亢進像を呈し, 膵外分泌は亢進しているものと考えられた. また, ラ島B細胞も形態学的に機能亢進像を呈し, 膵内分泌機能検査でも血清インスリン値の上昇が認められた. しかし, 総胆管結紮後期 (4週後) になると多くの腺房細胞は萎縮像を呈し, 外分泌機能は低下するものと考えられた. また, ラ島B細胞では退行性変化がみられ, A細胞の多くは機能亢進像を呈していた.
  • I. in vitro 溶解
    野田 愛司, 早川 哲夫, 近藤 孝晴, 永井 賢司, 水野 理文, 村瀬 敏之, 中西 豊
    1984 年 81 巻 1 号 p. 101-107
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    有機弱酸である Dimethadione (DMO)のヒト膵石およびCaCO3の溶解作用について, in vitro の実験で検索した. 膵石の元素分析, 赤外線吸収スペクトルおよびX線回折から, 膵石の主成分はカルサイト形のCaCO3であることが判明した. 各種濃度のDMO水溶液 (M/20 NaHCO3) 中の膵石は, 週1回の溶液交換という条件下で, 1.0, 0.5, 0.2%溶液では, 5, 11, 58週後に完全溶解し, 0.1, 0.05%溶液では経過とともに重量を減じた. 種々の濃度のDMO水溶液中のCaCO3は, 濃度依存性の溶解過程を示した. DMO, 酒石酸およびクエン酸濃度0~1,000μg/ml (0.1%) 水溶液中のCaCO3の溶解度はほぼ同程度であつた. 本実験によつて, DMOに膵石およびCaCO3を溶解する作用のあることが確認された.
  • 長谷川 洋, 前田 正司, 中神 一人, 池沢 輝男, 仲田 幸文, 鳥本 雄二, 二村 雄次, 弥政 洋太郎
    1984 年 81 巻 1 号 p. 108-111
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 三浦 宏二, 吉田 圭介, 松原 要一, 大山 慎一, 斉藤 憲, 武藤 輝一, 山際 岩雄, 渡辺 英伸, 花野 政晴
    1984 年 81 巻 1 号 p. 112-116
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 森本 日出雄, 加登 康洋, 石田 陽一, 鵜浦 雅志, 澤武 紀雄, 小林 健一, 服部 信, 中沼 安二, 西出 啓二郎
    1984 年 81 巻 1 号 p. 117-120
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 三家 登喜夫, 近藤 溪, 森山 悦裕, 里神 永一, 南條 輝志男, 宮村 敬, 江川 博, 三島 秀雄
    1984 年 81 巻 1 号 p. 121
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 田村 友則, 平野 清, 栗山 一彦, 吉越 富士雄, 西野 博一, 小林 礼子, 大政 良二, 岩崎 高明, 中田 正久, 山本 亘, 野 ...
    1984 年 81 巻 1 号 p. 122
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 笹川 豊, 小田 浩之, 神坂 和明, 前沢 秀憲
    1984 年 81 巻 1 号 p. 123
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 白鳥 敬子, 渡辺 伸一郎, 竹内 正
    1984 年 81 巻 1 号 p. 124
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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