日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
117 巻, 4 号
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今月のテーマ(総論):切除可能膵癌の診断と治療
今月のテーマ(総説):切除可能膵癌の診断と治療
  • 本多 俊介, 潟沼 朗生
    2020 年 117 巻 4 号 p. 290-296
    発行日: 2020/04/10
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    膵癌取扱い規約第7版にて,わが国独自のresectability(切除可能性)についての定義がなされた.NCCNガイドラインに準じたシンプルなものとなっており,術前診断に関わる内科医にとってもわかりやすく整理されている.「Resectable」とは,標準切除によってR0切除が可能なものである.依然として膵癌は予後不良な癌種であり,根治療法としての手術施行が可能な状況での早期発見が重要である.各種画像診断・病理診断を駆使して,正確・迅速な術前診断を行い,膵癌治療成績を向上させていく必要がある.

  • 海野 倫明
    2020 年 117 巻 4 号 p. 297-301
    発行日: 2020/04/10
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    切除可能膵癌に対する標準治療は,まず手術を先行し術後速やかに補助化学療法を行う,というもので,手術単独に比較し良好な治療成績が示された.しかし,術後補助化学療法の恩恵を被る患者は切除企図膵癌の一部であり,より幅広い患者の治療成績向上が期待できる術前治療に注目がされていた.2019年1月,本邦から切除可能膵癌に対する術前治療の有効性に関するランダム化比較試験(Prep-02/JSAP05)の結果が報告され,これを受けて膵癌診療ガイドラインは2019年10月に「切除可能膵癌に対して術前補助化学療法を行うことを提案する」と改訂された.膵癌に対する「術前補助療法」という新しい戦略が示され,今後の治療成績向上が期待される.

  • 廣野 誠子, 山上 裕機
    2020 年 117 巻 4 号 p. 302-307
    発行日: 2020/04/10
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    切除可能膵癌に対する膵頭十二指腸切除術におけるmesenteric approachは,切除段階において上腸間膜動脈(SMA)からアプローチするartery-first approachの1手法である.切除可能膵癌を対象とした後ろ向き研究により,切除の最終段階でSMA周囲組織郭清を行うconventional approachと比べ,mesenteric approachの方が術中出血量は少なく,生存期間も良好であった.Mesenteric approachの真の有用性を検討するために,現在,mesenteric vs. conventional approachの多施設RCTを実施中である.

  • 上坂 克彦
    2020 年 117 巻 4 号 p. 308-312
    発行日: 2020/04/10
    公開日: 2020/04/10
    ジャーナル フリー

    膵癌の術後補助化学療法は,いくつかの重要な臨床試験の成功によって発展してきた.主にCONKO-001とJASPAC 01の結果に基づき,わが国では術後補助化学療法としてS-1単独療法が,またS-1に忍容性の低い患者などではゲムシタビン塩酸塩(GEM)単独療法が推奨されている.一方欧米では,GEM単独療法に加え,海外の第III相試験の結果に基づき,modified FOLFIRINOX療法,GEM+カペシタビン併用療法,5-FU+ホリナートカルシウム併用療法(これら3者はいずれもわが国の保険未収載)も推奨されている.

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