日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
96 巻 , 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 豊永 純, 岩尾 忠
    1999 年 96 巻 6 号 p. 619-626
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進性胃症は非炎症性疾患で,内視鏡所見により診断される.組織学的には粘膜層および粘膜下層の血管拡張を特徴とする.病因としては門脈圧亢進に加え,液性因子の関与も考慮されている.胃粘膜循環は充血状態にあるが,その機序に関しては能動うっ血説と受動うっ血説の相反する見解がある.門脈圧亢進性胃症からの出血のコントロールには,内科的(プロプラノロール),外科的(門脈大循環吻合術),あるいは,放射線学的(肝内門脈大循環短絡術)方法が有効である.
  • 浅香 正博
    1999 年 96 巻 6 号 p. 627-633
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    H.pylori感染と胃癌のかかわりは,疫学のみならず動物実験でも明らかになってきた.H.pyloriが感染し,胃粘膜に生着することに成功した場合,菌種を問わず胃粘膜に急性炎症細胞浸潤を引き起こす.ここから先は,菌種による差異や宿主の免疫反応によって,胃粘膜の炎症や萎縮の程度に差が生じてくると思われる.さらに食事などの環境因子や遺伝的要因などがこれに加わり,腸上皮化生など遺伝子異常の生じやすい状況が作り出され,胃癌が発生してくる可能性が示唆されている.H.pyloriの除菌基準をどのように設定するかによって,将来のわが国の胃癌発症率に大きな影響を与える可能性が高いことが考えられるため,この方面の研究の進展がおおいに期待される.
  • 半田 豊, 斉藤 利彦, 川口 実, 三坂 亮一
    1999 年 96 巻 6 号 p. 634-643
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori (H.pylori)感染と胃癌の関連につき,胃癌組織型(分化型/未分化型)別に検討した.早期胃癌症例における切除胃組織所見・血清抗H.pylori IgG抗体価の検討の結果,全例でH.pyloriが感染とこれにともなう炎症性変化が認められ,未分化型腺癌はH.pylori感染の比較的早期の炎症の強い粘膜に発生し,分化型腺癌は感染の比較的遅い時期に胃粘膜萎縮・腸上皮化生の進展に平行して発生する可能性が示唆された.一方,胃癌組織型にかかわらず癌巣および癌巣周囲において高率にsecretory componentの発現を認め,胃癌発生にH.pylori感染への免疫学的機序が関与している可能性が示唆された.
  • 三好 広尚, 服部 外志之, 高 勝義, 片山 信, 荒川 明, 瀧 智行, 乾 和郎, 芳野 純治, 中澤 三郎, 内藤 靖夫
    1999 年 96 巻 6 号 p. 644-651
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    点滴静注胆道造影法を併用したhelical CT(以下,DIC-CT)による総胆管結石診断の有用性を明らかにする目的で,切石により確診を得た総胆管結石25例を含む胆道疾患82例を対象とした.胆道疾患82例において超音波内視鏡検査(以下,EUS)およびDIC-CTによる総胆管結石の診断能の比較検討を行った.総胆管結石25例の描出率はEUS 87.5%,DIC-CT 94.7%であった.総胆管結石のDIC-CT,EUSの診断能はそれぞれsensitivity 94.7%,87.5%,specificity 100%,100%,accuracy 97.8%,96%であった.DIC-CTは総胆管結石の診断においてEUSやERCと同等の診断能を有し,しかも非侵襲的な検査法であり,胆嚢結石の術前診断として有用な検査法である.
  • 福富 尉, 加藤 則廣, 今尾 要浩, 田近 正洋, 長瀬 清亮, 野田 直宏, 内藤 智雄, 三輪 佳行, 国枝 克行, 佐治 重豊, 下 ...
    1999 年 96 巻 6 号 p. 652-657
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は77歳男性.皮膚悪性腫瘍症候群(dermadrome)としてのBowen病における内臓悪性腫瘍のスクリーニングにより,早期胃癌(体下部小彎IIa型,高分化型管状腺癌,sm1,ly0,v0),虫垂癌(高分化型腺癌,Si,N(−),P0,H0,M(−),Stage IIIa)が発見された.Bowen病に合併した虫垂癌の報告は他になく,上行結腸に浸潤し潰瘍を形成したという腫瘍進展形式も興味あるものと思われ報告する.
  • 長沼 誠, 岩男 泰, 三浦 総一郎, 岡本 育夫, 大倉 康男, 金井 隆典, 渡辺 守, 日比 紀文, 石井 裕正
    1999 年 96 巻 6 号 p. 658-663
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は42歳男性.当院にて潰瘍性大腸炎と診断され,以後緩解を維持していたが,発症14年目より下行結腸の狭小化を認め,18年目にイレウスのため下行結腸切除術を受けた.切除標本上粘液を産生する異型の乏しい腺管が粘膜下から漿膜下まで認められ,深在性嚢胞性大腸炎(CCP)に類似していた.しかし粘膜下の一部の腺管に明らかな異型があり,筋層内の神経組織内に異型腺管が認められたことより高分化腺癌と診断した.
  • 木住野 耕一, 高橋 道長, 斉藤 伸一, 渡辺 一男, 解良 皐
    1999 年 96 巻 6 号 p. 664-669
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    我々は32歳初発で腹痛発作を繰り返した42歳女性の大腸重複症を経験した.本例では臨床経過と画像診断などから粘液の産生亢進により嚢腫が増大して腹痛が出現し,嚢腫が腹腔内に破裂することにより腹痛が消失したと考えた.本例では腹痛発作消失前後における嚢腫の変化をCTで経過観察できたが,このような画像変化を示した報告は発見できず本例が本邦で第一例目と思われる.また本例は総腸間膜症と重複尿管を合併していた.
  • 加治 正英, 小西 孝司, 舩木 健一郎, 温井 剛史, 五箇 猛一, 荒川 元, 大西 一朗, 木村 寛伸, 前田 基一, 薮下 和久, ...
    1999 年 96 巻 6 号 p. 670-674
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は54歳男性で小腸間膜に径11cm大の腫瘍を認めた.腫瘍は組織学的に線維性と粘液腫状の部分が混在し,渦巻き状の形態が認められ,low-grade fibromyxoid sarcomaと診断した.low-grade fibromyxoid sarcomaは最近報告された新しい疾患概念で,良性と判断されるような組織学的形態にもかかわらず転移し易い軟部組織腫瘍である.小腸間膜発生の1例を経験したので報告した.
  • 今本 栄子, 内藤 裕二, 南 雅人, 朴 義男, 飯沼 昌二, 増山 守, 谷口 弘毅, 吉川 敏一, 近藤 元治
    1999 年 96 巻 6 号 p. 675-679
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性.検診で肝機能異常を指摘され,平成7年11月当科を受診.HCV抗体陽性,GOT 240IU/l,GPT 82IU/l,AFP 4001ng/ml.腹部CTでは肝右葉に直径5cmの腫瘤,両葉にわたる無数の結節を認めた.腹部血管造影では肝右葉に著しい腫瘍血管の増生を認め,門脈右枝での狭窄,途絶があり,門脈腫瘍栓合併肝細胞癌と診断し,手術不能と判断した.epi-ADM+MMC+リピオドールによる動注療法を行ったが,効果は見られなかった.平成8年3月より総肝動脈に皮下埋め込み式動注用カテーテルを留置し,5-FU 1250mg+CDDP 80mg+LV 30mgによる反復動注化学療法を開始した.経過中次第にAFPは減少し,3クール終了後,平成9年3月には56ng/mlまで低下,腹部CTでも腫瘍はほぼ消失した.2年経過した現在も再発を見ていない.以上,反復動注が化学療法が著効した進行肝細胞癌の1例を報告する.
  • 萱原 隆久, 菊山 正隆, 北中 秀法, 松林 祐司, 熊岡 浩子, 平井 律子, 望月 千博, 新田 隆士, 西平 友彦, 井上 章, 戸 ...
    1999 年 96 巻 6 号 p. 680-684
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    76歳の女性.胆嚢結石の術前検査で胆嚢底部に広基性隆起を認め胆嚢癌の合併を疑い精査した.胆嚢動脈造影下CTで胆嚢静脈の灌流域はS4,S5の肝床に接した高吸収域として描出され,その内部に直径10mmの円形の低吸収域を認めた.手術の結果胆嚢病変は進行した低分化型腺癌で高度の静脈侵襲をともないS4の肝床近傍に結節状の転移巣を認めた.胆嚢静脈灌流域内への胆嚢癌の血行性転移を限局性肝転移として画像的にとらえた症例と考えた.
  • 白 英, 緑川 武正, 長崎 秀彰, 菊地 浩彰, 北村 直康, 武内 聖, 高 用茂, 八木 秀文, 吉沢 康男, 熊田 馨
    1999 年 96 巻 6 号 p. 685-690
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.上腹部圧迫感,左上腹部痛を主訴に来院.精査にて膵体尾部に隔壁を有する巨大な嚢胞性腫瘤を認め,同時に肝転移と胃への直接浸潤が疑われた.粘液性膵嚢胞腺癌の診断で手術を施行したところ,術中操作にて胃内腔への穿通が確認された.病理組織学的に胃穿通部に癌の浸潤はみられず,横行結腸への直接浸潤がみられた.術後223日目に肝門部リンパ節転移と癌性腹膜炎のため死亡した.
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