Cyclooxygenase(COX)-2阻害によるバレット食道(BE),食道腺癌(EAC)の化学予防の可能性を検討するため,十二指腸液食道逆流手術により発癌するモデルを用いた実験を行った.Control群と選択的COX-2阻害剤nimesulideを投与した群の摘出食道を検索した.Control群で食道炎,BE, EACが経時的に発生増加し,術後早期より食道粘膜のCOX-2発現,PG(prostaglandin)E
2発現,組織増殖活性が亢進していた.nimesulide群では,食道炎は軽度で,BE発生は抑制され,EACは発生しなかった.また,PGE
2発現,組織増殖活性が抑制されていた.COX-2はBE·EAC発生に関与し,その阻害はPGE
2抑制を介する機序で食道発癌を予防する可能性が示唆された.
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