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肝門部胆管癌の治療
二村 雄次
2001 年 98 巻 3 号 p.
269-277
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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肝門部胆管癌は大部分が閉塞性黄疸を呈してから診断されるが,癌の進展度診断をしないでERBDが行われ,手術適応の検討がされずに胆管炎で死亡する例も多い.PTBDを行って肝機能を改善してゆく過程で精密診断を行えば切除率を80%にまで上昇させることができる.肝切除率,肝予備能の評価を行い,広範肝切除例にはPTPEを行って手術の安全性を高めておく.
根治切除例の5年生存率は20%~30%くらいである.姑息切除に終わっても非切除例よりも予後は良好である.門脈合併切除術後の3年生存率は約25%であり,この外科治療法の意義は大きい.リンパ節転移があっても拡大リンパ節郭清を行えば予後の延長につながる.
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肝門部胆管癌の治療
須山 正文, 有山 襄
2001 年 98 巻 3 号 p.
278-281
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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肝門部胆管狭窄例の内科的治療について述べた.ステント治療はmetallic stentが主流となっている.とくにmetaliic stentの挿入と放射線療法により,ステントの開存期間や生存期間が改善されQOLも改善される.経皮経肝的あるいは内視鏡的ステントの挿入もガイドワイヤやステントの改良により容易になっているが,留置に関してend to sideなどの工夫が必要で,安易にside by sideに留置することは戒めるべきと考えられた.また,肝内分枝が多発性に狭窄がみられ胆管炎がない症例では,単一のステント挿入でも効果があり,試みられる方法と考えられた.
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佐野 芳史, 高山 澄夫, 池上 雅博
2001 年 98 巻 3 号 p.
282-289
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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陥凹型胃粘膜内癌207例を対象に,腫瘍径(10mm未満・10mm以上)・組織型(分化型・未分化型)・消化性潰瘍好発部からみた病変の占居部位(好発部・非好発部)・粘膜内増殖様式(EV型・NV型)と癌巣内潰瘍(UI)との関係について検討した.結果:(1)多変量解析より,すべての因子においてUI(+)頻度に有意差が認められた,(2)組織型にかかわらず,好発部は非好発部よりUl(+)頻度が高かった,また,占居部位にかかわらず,未分化型は分化型よりUI(+)頻度が高かった.(3)未分化型の非好発部で,EV型はNV型よりUI(+)頻度が高かった.結論:(1)陥凹型胃m癌では,大きい腫瘍径・未分化型癌・好発部病変に加えて,癌のEV型増殖も癌巣内潰瘍合併の有意な危険因子であった.(2)癌の粘膜内増殖様式は,特に未分化型癌の非好発部病変における癌巣内潰瘍合併に関与する,
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佐々木 洋治, 星野 洋, 西村 大作, 関 泰長, 森田 清, 片田 直幸, 加藤 活大
2001 年 98 巻 3 号 p.
290-294
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は57歳,男性.主訴は食思不振,1993年10月,胃力ルチノイドと診断した.肝に多数の転移性病変を認め,経カテーテル的肝動脈塞栓療法(TAE)を計6回施行した.肝転移巣は著明に縮小し,原発巣に対して胃噴門部切除術を施行した.肝転移合併胃力ルチノイドは一般に予後不良であるが,今回われわれが経験した症例は診断後6年以上の長期生存が得られ,カルチノイドの肝転移に対するTAEの有効性が確認された.
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佐藤 康裕, 堀本 正禎, 渡辺 秀樹, 潘 紀良, 乾 典明, 小野寺 義光, 林 毅, 藤田 朋紀, 宮西 浩嗣, 新津 洋司郎
2001 年 98 巻 3 号 p.
295-299
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は22歳の女性.SLEのため副腎皮質ホルモン投与中,突然の腹痛の後に血圧が低下しショックに陥った.CT等にて腹腔内出血が疑われ,出血源が不明であったため開腹したところ,横行結腸壁内に巨大血腫を形成していた.病理所見では血管内皮細胞内に核内封入体を認め,血清抗サイトメガロウイルス(CMV)抗体が高値であったため,CMV関連血管炎による腸管壁内血腫と診断した.非常にまれな病態と考えられ,若干の文献的考察を加え報告する.
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松崎 達, 中澤 敦, 大塚 征爾, 前田 憲男, 米井 嘉一, 稲垣 恭孝, 鈴木 修, 桐生 恭好, 水野 嘉夫, 小川 健二
2001 年 98 巻 3 号 p.
300-306
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は47歳男性,直腸炎型の潰瘍性大腸炎(以下UC)で通院中に突然,右下肢腫脹・疼痛を認めて入院,ドプラエコーで下大静脈から膝窩静脈におよぶ広汎な静脈血栓症と診断.本邦のUC患者ではこれまで18例の深部静脈血栓症合併例が報告されているが,検索しえた限りでは直腸炎型での合併は初めてであった.抗凝固療法と血栓溶解療法の併用により深部静脈血栓症にともなう症状のみならず,UCの臨床症状の改善を認めた.
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田中 賢一, 西尾 幸男, 金丸 太一, 植野 望, 井上 和則, 山本 正博, 川口 勝徳
2001 年 98 巻 3 号 p.
307-312
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
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症例は53歳男性.胃癌にて胃全摘術後8カ月に肝両葉に多数の転移を認め,Mitomycin C(MMC),doxorubicin(ADM),carboplatin(CBDCA)にてtranscatheter arterial embolization(TAE)を施行した.以後,肝動注力テーテルを留置し,ADM10mg,CBDCA150mgをリザーバより週2回動注した.動注後,Radiofriquency(RF)温熱療法を併用し,動注後1年4カ月のCTで肝転移は認められず,CRとなった,術後10年経過した現在,全身状態良好にて生存中である.
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三浦 英明, 鵜飼 徹朗, 山田 春木, 三浦 恭定, 北村 成大
2001 年 98 巻 3 号 p.
313-319
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は60歳男性.膵頭部腫瘤による閉塞性黄疸で発症.ERPにて膵管の不整像が認められ,画像的に腫瘤形成性慢性膵炎の診断がなされた,1年以上にわたり経過観察していたところ,膵頭部優位であった膵腫大が膵体尾部へと進行し,IgGが高値となってきたため自己免疫性膵炎を疑い,経皮的生検を施行した.本症例はステロイド治療が著効し,高IgG血症と瀰漫性膵腫大は著明に改善した.本症例の経時的な画像変化と組織所見を検討すると膵頭部から膵体尾部へ徐々に炎症が波及し,自己免疫性膵炎の形態学的な特徴所見とされている瀰漫性膵腫大が完成された可能性が示唆された.自己免疫性膵炎の中には徐々に慢性進行し,典型的な病態にいたる症例が存在することを提示できた点で示唆に富む症例と思われた.
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児玉 芳尚, 齋藤 博哉, 平松 一秀, 武内 周平, 高邑 明夫
2001 年 98 巻 3 号 p.
320-324
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
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症例は65歳女性.主訴は吐血.膵動静脈奇形による門脈圧亢進のため食道静脈瘤の治療を繰り返していた,膵動静脈奇形に対しTAEを施行した後,状態が悪化したが,TIPSを行い症状が改善した.経過良好であったが,3年後に膵動静脈奇形の増悪を来たした.再度,TAEを行い症状の軽快を見た.TAEによるシャント量の低下と,TIPSによる門脈圧の減圧の相乗効果により症状のコントロールが得られたと考えられた.
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松田 信介, 臼井 正信, 鈴木 英明
2001 年 98 巻 3 号 p.
325-329
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
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症例は42歳,男性.腹痛,呼吸困難,ショック状態で入院,白血球減少,血小板減少,高アミラーゼ(AMY)血症および大量の腹水を認めた.腹水は血性でAMY値は12618IU/Lであった.IVH,ダグラス窩,右横隔膜下ドレナージを行い,さらに左上腹部にドレナージを追加,瘻孔造影では膵尾部膵管と交通が認められた.瘻孔造影,MRCPで膵頭側膵管に狭窄はなく,ソマトスタチン誘導体投与により治癒した.
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荒川 元, 小山 文譽, 川島 篤弘
2001 年 98 巻 3 号 p.
330-333
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
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症例は68歳の男性で,心窩部痛を主訴に来院した.精査結果,膵管胆管合流異常,主膵管の著明な拡張を認めたが,造影CTやMRI検査において腫瘤像は認められなかった.粘液産性膵癌の診断にて膵全摘術およびD1を施行した.摘出標本では肉眼的に膵尾部主膵管内に乳頭状に増殖する3.5cm×1.6cmの腫瘍を認め,病理組織学的にはintraductal papillary-mucinous carcinomaであった.現在術後9年目を過ぎたが,血糖コントロールは良好であり,元気に外来通院中である.
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金 守良, 松岡 利幸, 前川 陽子, 安藤 健治, 三田 敬二, 矢野 嘉彦, 新谷 繁之, 福田 勝美, 井本 勉, 林 祥剛
2001 年 98 巻 3 号 p.
334-347
発行日: 2001年
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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2001 年 98 巻 3 号 p.
340a
発行日: 2001年
公開日: 2008/04/21
ジャーナル
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日消誌第98巻第2号掲載の「研究会報告:肝疾患における肝炎ウイルスマーカーの選択基準(3版)」(2001;98:206-213)の209頁Table3に校正上の誤りがありました. 訂正してお詫び申し上げます.
(誤)(誤) HCVまたはHCV RNA抗体
(正)(正) HCV抗体またはHCV RNA
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2001 年 98 巻 3 号 p.
340b
発行日: 2001年
公開日: 2008/04/21
ジャーナル
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