日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
110 巻, 4 号
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総説
  • 安田 健治朗
    2013 年 110 巻 4 号 p. 549-556
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    内視鏡的超音波断層法(EUS)は体腔内超音波画像診断法として発展してきた.その特徴は,対象に近接できるために使用可能な高い分解能を有する高周波数超音波を用い,詳細な対象の観察のみならず周囲臓器まで超音波断層観察が可能なことである.胆膵領域では膵胆道癌の早期診断から進展度診断,胆嚢ポリープの鑑別や嚢胞性膵病変の精密検査や鑑別診断法として活用されている.また,EUS画像下の穿刺細胞診は胆膵疾患の病理組織診断法として画期的な変化をもたらした.さらに,膵嚢胞穿刺ドレナージ術,胆膵管ステント留置術や局注療法など,EUS下の穿刺術を基本とした治療手技が開発され臨床に応用されている.EUSを用いた胆膵疾患の診断・治療は,ERCPとともに胆膵領域の診療に必要不可欠な手技として評価されている.
今月のテーマ:胆膵疾患に対するInterventional EUSの新展開
  • 北野 雅之, 工藤 正俊
    2013 年 110 巻 4 号 p. 557-567
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    EUS下穿刺を応用したEUS下胆道ドレナージ術は,経乳頭的内視鏡治療が困難な胆道閉塞に対する代替治療として行われる.主な穿刺経路として,胃体部―左肝内胆管,十二指腸球部―肝外胆管,十二指腸球部―胆嚢が挙げられ,経消化管的ドレナージ,ランデブー法および順行性ステンティングの,3通りのステント留置法がある.閉塞部位・乳頭部到達可否などの状態に応じて,穿刺経路,ステント留置法を決定する.手技成功率および偶発症発生率は手技・報告により異なるが,EUS-guided choledochoduodenostomyが最も手技成功率が高く,偶発症発生率が低いため,第一に考慮すべき治療と考えられる.
  • 中井 陽介, 伊佐山 浩通, 多田 稔, 小池 和彦
    2013 年 110 巻 4 号 p. 568-574
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    膵嚢胞性腫瘍を診療する機会は近年増加しているが,その診断体系は確立されていない.膵嚢胞性腫瘍の診断には,CT・MRI・超音波内視鏡に加えて,海外では超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引術(EUS-FNA)が広く行われている.近年,EUS-FNAを用いた新しい診断法として,穿刺針内を通して細径プローブを挿入して行う嚢胞内視鏡やconfocal laser endomicroscopyが,治療法として,嚢胞内にPaclitaxelを注入するcyst ablationが報告されており,今後膵嚢胞性腫瘍の診断・治療の両面においてinterventional EUSの役割は発展することが期待されている.
  • 入澤 篤志, 澁川 悟朗, 引地 拓人, 高木 忠之, 今村 秀道, 高橋 裕太, 佐藤 愛, 佐藤 匡記, 池田 恒彦, 鈴木 玲, 阿部 ...
    2013 年 110 巻 4 号 p. 575-584
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    膵炎に起因する嚢胞性病変に対する内視鏡的治療には,経乳頭的に膵管を通じてドレナージを図る方法と,超音波内視鏡(EUS)ガイド下で経消化管的に直接嚢胞を穿刺してドレナージする方法がある.慢性膵炎などによる膵管閉塞にともなう貯留嚢胞では経乳頭的ドレナージが第一選択となるが,壊死性膵炎後に液状化した壊死組織が被包化され嚢胞性病変を形成するwalled-off necrosis(WON)では,その病態から胃壁が嚢胞壁の一部を形成するため,経消化管的治療のよい適応となる.また,近年ではWONに対してEUSガイド下に消化管と嚢胞腔の間に瘻孔を形成し,内視鏡を嚢胞腔内に挿入してのネクロセクトミーも行われている.
  • 岩下 拓司, 安田 一朗, 土井 晋平, 森脇 久隆, Lee John G., Chang Kenneth J.
    2013 年 110 巻 4 号 p. 585-591
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    胆道疾患に対するERCPは,低侵襲で安全な手技として広く普及している.選択的胆管挿管は必要不可欠であるが,時に困難例も存在する.こうした胆管挿管困難例に対して,近年,EUSガイド下ランデブー法(EUS-RV)の有用性が報告されている.EUS-RVはEUSガイド下に上部消化管から胆管を穿刺し,ガイドワイヤー(GW)を順行性に穿刺針を通して,胆管・乳頭部を介し十二指腸内に留置した後,十二指腸鏡に入れ替え,留置されたGWを利用し選択的胆管挿管を行う手技である.文献報告では,EUS-RVは安全で効果的な代替法とされるが,失敗に終わった際には合併症を最小限とするため,経皮的・外科的処置の準備も必要である.
座談会
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症例報告
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