日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
118 巻, 2 号
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今月のテーマ(総論):胃腸障害を理解するための消化管収縮機能
  • 竹見 祥大, 坂田 一郎, 坂井 貴文
    2021 年 118 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2021/02/10
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    消化管の運動原理は数多くの研究者によって観察・記述され,理解されてきているが,脳(自律神経)・腸管神経系・内分泌・腸内細菌叢の相互作用を統合して運動する消化管は,知見が蓄積するほどにその複雑性が明らかになり,現在でも最先端の研究領域になっている.そこで本号の特集では,重要性が増している消化管運動研究にスポットを当て,これまでの知見を紹介する.本特集別稿の先生方が紹介される総論の理解の一助になるよう,本稿では,これまでの消化管収縮運動研究の興隆と現在まで知られている消化管収縮運動モデル,さらには消化管運動調節機構を概説する.

今月のテーマ(総説):胃腸障害を理解するための消化管収縮機能
  • 栗林 志行, 草野 元康, 浦岡 俊夫
    2021 年 118 巻 2 号 p. 114-125
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー

    嚥下をすると食道の上部から下部に向かって伝播する1次蠕動波が認められる.一方,食道の蠕動波は伸展刺激などによっても誘発され,嚥下にともなわない蠕動は2次蠕動波と呼ばれている.食道と胃の間には高圧帯が存在し,食道の下部食道括約部とそれを取り巻く横隔膜脚がその括約機能に寄与している.嚥下をすると下部食道括約部と横隔膜脚は弛緩し,食道を運ばれてきたボーラスが胃内に流入することができる.このように,食道には嚥下した食物を胃へ運ぶという役割に加えて,胃内容物の食道への逆流を防止する機能も有しており,その運動は複雑に制御されている.

  • 持木 彫人
    2021 年 118 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー

    胃収縮は,明らかに異なった形態を持つ空腹期収縮と食後期収縮に分けられる.空腹期収縮は伝播性強収縮運動であるInterdigestive Migrating Motor Contraction(IMMC)が特徴であり,胃から始まり小腸に伝播する.IMMCは消化管ホルモンであるモチリンによって調節されており,IMMCに同期して血中濃度が変動している.食後期収縮は連続する律動的収縮であり食後6~8時間持続し,空腹期に移行する.胃底部,胃体部は食物が流入すると受容性に弛緩し,胃前庭部は律動的収縮によって食物を粉砕する.粉砕された食物は2mm以下になると幽門輪を通過し十二指腸に送られる.

  • 水本 明良
    2021 年 118 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー

    生理的な小腸運動は空腹期と食後期に大きく二分される.空腹期運動は腸管のハウスキーパーの役割を担い,腸管内環境を維持し次の摂食に備える.食後期運動は適切な時期に適切な部位へと腸管内容を輸送することで適切な消化吸収を可能とする.小腸運動や小腸輸送を通常臨床の場で測定することは現状では一般的ではないが,最近の研究で小腸運動や小腸輸送の異常がある種の疾患や病態に深く関与していることが明らかとされてきた.今後,小腸運動の測定法の進歩により,各消化器疾患の病態や原因がより明確となり,適切な治療の選択が可能となっていくものと思われる.

  • 柴田 近, 三浦 智也
    2021 年 118 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー

    大腸運動の特徴として,排便時の特徴的な収縮,食事摂取直後から大腸運動が亢進する現象(胃結腸反射),口側へと伝播する逆行性収縮,がある.排便時に出現する収縮は伝播速度が速く,直腸に到達すると排便が認められる.また,胃結腸反射は外来性神経を介した反射と考えられている.従来の測定法では逆行性収縮の詳細を明らかにできなかったが,近年導入されたhigh-resolution manometryは逆行性収縮の詳細を明らかにし,また,その結果から大腸収縮波の新たな分類が提唱されるなど,新知見をもたらしつつある.今後は,新知見に基づいた,下痢や便秘における大腸収縮異常の指標の提言が期待される.

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