日本消化器病学会雑誌
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79 巻, 11 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 十二指腸内腔に投与した合成ヒトガストリンの動態について
    松沢 裕一, 宮田 道夫, 吉沢 章夫, 有馬 進太郎, 金沢 曉太郎, 森岡 恭彦
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2053-2062
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    十二指腸腸管内ガストリンの動態を検討するため雑種成犬37頭を用いた急性実験を行なつた.十二指腸以外の全ての消化管を切除し,十二指腸内腔をpH STAT法により一定のpHに保ち,ここに合成ヒトガストリン(SHG)を注入し,SHGの内腔における安定性と血中への移行の有無について検討した.その結果,(1) SHGはpH 3.0に保つた十二指腸内腔ではかなりの安定性を示すが,pH 5.5又は7.4の場合きわめて不安定である.そしてSHGは以上のいずれの条件下でも内腔から血中に移行し得ないが,(2)膵管・胆管結紮後,十二指腸内腔をpH 7.4に保つた場合,内腔に注入したSHGの安定性の向上がみられ,SHGは内腔から直接血中に移行し得る,との結論を得た.
  • 第2報:オートラジオグラフィーによる組織内分布の検討を中心に
    池田 義毅, 北島 政樹, 相馬 智
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2063-2070
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Cysteamine hydrochloride (以下Cyst.と略す)投与による十二指腸潰瘍発生機序について,実験的に胃酸,ペプシン活性の測定を行ない,同時に迷走神経切離術(全幹迷切術)の影響について検討した.さらにCyst.の消化管内の局在を知るためにトレーサー実験として,35S-Cysteamineを投与し,その臓器分布とオートラジオグラフィーによる胃,十二指腸における局在部位について検討した.その結果,Cyst.には胃,肝,脳と比較して十二指腸粘膜内へ高濃度にとりこまれるという特異性があり(p<0.01),さらにとりこまれたCyst.は十二指腸に長く留まることが認められた.一方Cyst.投与によりペプシン活性は有意(p<0.05)に上昇したが,胃酸は上昇傾向を示したものの有意差は認められなかつた.また全幹迷切群は潰瘍の発生を防止できなかつた.
  • とくに両値の相関を中心として
    三木 一正, 一瀬 雅夫, 降旗 千恵, 景山 節, 丹羽 寛文, 岡 博, 松島 泰次郎, 高橋 健治
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2071-2079
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Radioimmunoassay(RIA)法を用いて,内視鏡的に確診した正常群214例,消化性潰瘍群183例,その他114例の血清Group IおよびIIペプシノーゲン(PG II およびII)を同一症例で同時に測定した.血清総ペプシノーゲン(T-PG)値,PGI/T-PG(%PG I)およびPGIとPG IIの相関を検討し以下の結論を得た.(1)正常群血清中のPG I:PG II〓3:1で両者間は有意な相関を示した(r=0.531,p<0.001).(2)血清T-PG(平均±SD)値(μg/l)は十二指腸潰瘍(79.0±40.4),胃•十二指腸潰瘍(75.7±20.5)および胃潰瘍(70.2±36.3)の順であり正常群(58.9±31.7)よりも有意に高値を示した(p<0.001,p<0.025およびp<0.01).(3)両値を同時測定することは消化管疾患の病態•生理学的検討およびペプシン•ペプシノーゲンの臨床的意義の解明の一助となるものと考えられた.
  • 鈴木 邦彦, 長崎 明男
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2080-2084
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    クローン病,糖尿病など便通異常疾患を中心とする患者の糞便の水分含量の増加と糞便内菌叢の関係を検討したところ,水分含量の増加に伴つて,総菌数および主要嫌気性菌の減少と主要好気性菌の増加が認められたが,同時に,健康時における非優勢菌群を中心に必ずしもこれらの動きと一致しない菌群があることが明らかになつた.
  • 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2085-2090
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    macrophage (mφ)をeffector細胞とし,分離肝細胞を標的細胞として抗肝細胞膜抗体を介するantibody-dependent cell-mediated cytotoxicityによる肝細胞障害を検討すると,リンパ球をeffector細胞とする時と同様の肝細胞障害が誘導された.この際,mφを前もつてlipopolysaccharideで活性化するとeffector活性が増強され,非活性化mφをeffector細胞とした場合より強い肝細胞障害が誘導された.また,抗肝細胞膜抗体でコートした分離肝細胞にmφを添加し,短時間培養後,その培養上清を分離して,正常mφに添加培養するとmφのeffector活性が増強されて,肝細胞障害が増幅された.
    以上の結果から,mφが肝細胞と抗肝細胞膜抗体を介して結合すると,mφからmφを活性化する因子が分泌され,mφのeffector活性が増幅されることが推測された.
  • 松田 芳郎, 佐藤 博之, 根井 仁一, 高田 昭
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2091-2097
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    CTスキャンよりpoint countingによつて肝・脾容量を算定する方法を考案した.この方法はきわめて簡便で,CTの機種にかかわらず適用できる.この方法で算定した肝・脾容量が剖検あるいは摘脾によつて得られた肝・脾の実重量と高度の相関を示したことから,この方法の臨床的有用性が確かめられた.そこでこの方法を用いて慢性肝疾患患者43人と非肝・胆道疾患患者9人の肝・脾容量を算定した.肝容量は非アルコール性肝硬変でのみ有意に低く,アルコール性肝硬変,アルコール性肝線維症ではやや高い傾向にあつた.脾容量は肝硬変で有意に高いが,アルコールと非アルコール性との間には差はなかつた.アルコール性肝硬変では肝容量と脾容量との間に有意の正の相関がみられたが,非アルコール肝硬変ではまつたく相関はなかつた.以上のごとく,肝・脾容量の算定は慢性肝疾患の病態の解析に有用であつた.
  • 神田 靖男, 祐川 百合子, 星野 茂角, 馬場 真澄, 雨宮 洋一, 天木 秀一, 勝原 徳道, 荒川 泰行, 松尾 裕, 本田 利男, ...
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2098-2105
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Enzyme immunoassay (EIA)によつてHBe抗原,抗体の測定を行ない,RIA法やMO法と比較検討を行つた.EIA法は,MO法に比較してHBe抗原では1,600倍,HBe抗体でも1,600倍の検出感度を有し,RIA法と同等の感度であることが立証された.またEIA法では,HBe抗原ないし抗体のいつれでも変動係数が4~6%と小さく,測定値のバラツキは非常に少ないものと思われる.さらに同一試料をEIA法とRIA法で同時に測定した場合の測定値の分布は,両者間で同じような傾向を示し,有意の相関性が認められることにより,EIA法の判定基準は,鈴木らのRIA法の判定方法を適用するのが妥当と考えられる.臨床の実際では,EIA法によつてASCでは90.6%に,慢性B型肝疾患では93.8%にHBe抗原,HBe抗体のいつれかが陽性と判定され他は両者陰性例ないし判定保留例である.以上の成績により,EIA法によるHBe抗原,抗体系の測定は,検出感度,特異性,同時再現性が優れているため,実用可能と思われる.
  • 佐藤 博道, 大村 晃一, 水島 睦枝, 伊藤 慈秀, 吉岡 一由
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2106-2111
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    各種胆嚢疾患につき内分泌細胞の出現を好銀染色および電顕的に検討した.好銀細胞の出現率は,正常胆嚢粘膜0%,有石胆嚢粘膜35%,異型上皮組織60%,胆嚢癌病巣周囲粘膜48%,粘膜内癌組織33%および進行癌組織10%であつた.これら好銀細胞は,陰窩・乳頭状に増生した被覆上皮や新生粘液腺上皮内に主に出現し,これら上皮の過形成が強い部に好発した.電顕的には,有石胆嚢粘膜内にEC細胞またはD細胞の顆粒に類似した内分泌顆粒がみられた.胆嚢異型上皮や高分化癌の発生には,内分泌細胞の出現を伴う腸上皮化生巣が深く関与し,また化生性内分泌細胞自体が,粘膜の増生を促進し,ついには発癌の危険性を高める可能性を推定した.
  • 臨床および病理学的検討
    伊関 丈治, 牛山 孝樹, 別府 倫兄, 平石 守, 和田 達雄, 錦野 光浩, 甲田 安二郎, 登 政和
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2112-2120
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    深達度が筋層までの早期胆嚢癌12例を臨床・病理学的に検討し,さらに漿膜下層にわずかに浸潤した早期癌類似進行癌8例を比較検討した.早期胆嚢癌の肉眼的形態を表面平坦型(IIb),表面隆起型(IIa),隆起型(I)に分類した.IIb型の2例は術後の組織学的検索により,IIa型の2例は術中の標本肉眼観察により発見された.I型の8例中4例は超音波検査や胆道造影により隆起を描出できた.深達度は粘膜層7例,筋層5例で,リンパ節転移は検索できた6例すべてが陰性であつた.胆管癌を合併した2例を除き遠隔成績は良好であつた.一方早期癌類似進行癌8例中3例にリンパ節転移が陽性で,3例が2年以内に再発死亡した.早期癌か進行癌かの術中判定は困難であるため,早期癌といえども原則として拡大胆嚢摘出術,リンパ節郭清を施行すべきと考えられた.
  • 胆汁酸依存性および非依存性胆汁排泄とerythritol clearanceに対する影響
    阪上 吉秀, 宮島 慶治, 筒井 ひろ子, 志波 孝, 東森 俊博, 中尾 昌弘, 溝口 靖紘, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2121-2126
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    抗原によつて特異的に活性化されたモルモットのリンパ節細胞は催胆汁うつ滞因子(cholestatic factor)を産生する.このリンホカインをゲル濾過およびイオン交換クロマトグラフィーを用いて部分精製し,2つの活性分画を得た.これらの両分画をラット腸間膜静脈に注入すると著明な胆汁排泄抑制が認められたが,いずれも胆汁酸依存性および非依存性の胆汁排泄を抑制することが示された.また,14C-erythritol注入後,一定時間の胆汁および血漿中の放射活性比(bile/plasm比)を測定すると,ほぼ1であり,催胆汁うつ滞因子注入群と対照群の間には差が認められなかつた.しかし,14C-erythritol clearanceは,対照群に比して催胆汁うつ滞因子注入によつて有意に低下した.
    以上の結果から,催胆汁うつ滞因子は遠位胆管における胆汁排泄には影響を与えず,主として毛細胆管胆汁の形成を抑制すると推測された.
  • 須田 耕一, 宮野 武, 松本 道男, 小沼 一郎, 蛇沢 晶
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2127-2131
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵胆管合流異常例では,膵管と胆管の間に自由な流通が起こり,圧勾配により膵液の胆道系への逆流が惹起される.今回,合流異常のある胆嚢腺扁平上皮癌の1例で,"cannibalism"を示す癌細胞が,体部主膵管内に浮遊していたことにより,胆道内容の膵管内への流入の可能性が示唆されたが,合流異常のある15例中11例では,膵に著変がなかった.一方,胆道系に感染の示唆された胆道拡張症等の4例では,膵管上皮の変性剥離と膵管内の細菌集落像およびびまん性の小葉間線維化を認めた.したがって,膵胆管合流異常があると,胆道内容の膵管内への流入もあり得るが,胆道系に感染がある場合を除いて,膵障害は一般に惹起されないと考えられる.
  • 赤木 公博, 辻 博, 梶原 英二, 村井 宏一郎, 志方 建, 牧 之博, 尾前 照雄
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2132-2136
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    血清アルカリ性および酸性RNas活性を測定し,さらにホスホセルロース・カラムを用いて分離した血清RNase分画の変動を観察することにより,膵癌における本酵素の臨床的意義について検討した.その結果,膵癌では健常者に比しアルカリ性RNase活性は増加し,その活性値は血清creatinineおよびALP値と正の相関を示した(p<0.01).しかし,他の癌と比べて膵癌で特に酵素活性が高い傾向はみられなかった.次に血清RNaseの分画では,膵癌で変動する特異な酵素分画は認められず,健常者と基本的に同一溶出パターンを示した.一方,膵全摘した患者の血清RNase活性は正常値上限を示し,また酵素分画の欠損等はみられなかつた.今回の成績から,膵はヒト血清アルカリ性および酸性RNaseの主たる由来臓器ではないこと,また膵癌でみられるRNase活性の上昇は腎障害によることが示唆された.従つて,本酵素活性の測定は膵癌の診断に有用ではないと考えられた.
  • PS試験およびERPとの対比
    堀居 雄二, 加嶋 敬, 片岡 慶正, 衣笠 勝彦, 稲田 安昭, 森永 理, 瀧野 辰郎
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2137-2144
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎の超音波断層像(US)を検索し,USをPS試験とERPの結果と対比することにより,その診断能に検討を加えた.慢性膵炎では膵のsizeの変化を認める例が多かつたが,萎縮,腫大と種々であつた.また,膵のmargin, parenchyma ,ductに変化が現われることが多く,特にparenchymaのreflectivityの増加(spotty echo), ductの不整拡張像は,慢性膵炎の特徴的な所見であつた.cyst, calcificationの描出は他の臓器の場合と同様に膵においても良好であつた.これらのUS所見はPS試験およびERP所見とよく一致しており,USが慢性膵炎の診断に有用であり,スクリーニングテストとして利用が可能であることが確認された.
  • 井上 修一, 渡辺 廉, 山田 暢夫, 石田 秀明, 小松 眞史, 向島 偕, 太田 弘昌, 増田 久之
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2145-2149
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 熊原 正, 清水 勝, 川出 靖彦, 天野 和雄, 瀬古 章, 大西 弘生, 河合 潔, 斉藤 雅也, 中村 俊之, 杉原 潤一, 武藤 泰 ...
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2150-2155
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 大山 正巳, 清水 勝, 武藤 泰敏, 内藤 成子, 津田 文男, 高井 恵美子
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2156
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 清水 淳, 鶴井 光治, 桜林 忍, 杉浦 玄, 滝沢 秀樹, 杉本 英一, 斉藤 利彦, 芦沢 真六
    1982 年 79 巻 11 号 p. 2157
    発行日: 1982/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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