C型慢性肝炎の治療に使用されている5種類のI型インターフェロン(IFN-α, IFN-β)製剤の肝癌細胞の増殖に対する作用を検討した.
In vitroの細胞増殖抑制作用は,IFN製剤により異なり,IFN-β製剤が最も強かった.IFNの増殖抑制の主な機序は,アポトーシス誘導や細胞周期進行停止誘導であった.ヌードマウス皮下移植ヒト肝癌組織を用いて
in vivoにおけるIFN製剤の抗腫瘍作用を検討したが,臨床投与量に相当する量のIFN投与により最大50%程度腫瘍の縮小を認めた.
In vitroで増殖抑制効果が低いIFN製剤でも,PEG化により
in vivoでは増殖抑制作用が増加した.C型慢性肝炎患者へのIFN製剤投与は,ウイルス駆除や肝機能の改善効果のみではなく,極初期のまだ不顕性な段階の肝癌細胞に対して直接的に増殖抑制作用を示し,発癌抑制に寄与する可能性も考えられる.
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