-
白鳥 敬子, 渡辺 伸一郎, 竹内 正
1984 年 81 巻 8 号 p.
1737-1741
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
健常人5例で, Tetragastrin 0.05μg/kg-hr刺激下にGIH-secretin 0.05, 0.1CU/kg-hrを持続静注し, 胃分泌と血中 secretin 濃度の変化を検討した. この secretin の量は, 食事刺激と同様の生理的刺激量と考えられるものである. 酸分泌量はGIH-secretin 0.05CU/kg-hr で63.3%, 0.1CU/kg-hrで36.3%に減少し, pepsin 濃度は0.05CU/kg-hrで上昇し, 0.1CU/kg-hrでほぼ一定化したが, pepsin 分泌量は変化しなかつた. 血中 secretin は血漿を ethanol 抽出し, 高感度の radioimmunoassay で測定され, 前値が4.1±0.3 (M±SE) pg/ml, GIH-secretin 0.05CU/kg-hrで約5倍, 0.1CU/kg-hr で約10倍と段階的に上昇した. 生理的と考えられる量の secretin が, 低い血中濃度で胃分泌調節作用を有することが示された.
抄録全体を表示
-
赤沢 修吾, 原田 昭夫, 神田 裕三, 藤樹 敏雄, 北川 浩文, 中川 高志, 二ツ木 浩一, 関根 毅, 伊津野 脩, 武内 脩, 須 ...
1984 年 81 巻 8 号 p.
1742-1749
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
癌組織ではコラーゲンの増生がしばしばみられることより, 我々は今回, 胃癌症例につき type IIIプロコラーゲンN末端ペプチドの血清濃度を測定し, 以下の結果を得た. 1) 正常対照者血清では性差がなく, その上限値は10.0ng/mlが適当と思われた. 2) 胃潰瘍症例では陽性例がなく, 胃癌症例ではその平均値, 陽性率ともに癌の進行にしたがつて高値を示した. 3) リンパ節転移のみの群と比較して, 肝, 肺, 骨への遠隔転移を有する症例は特に高値を示した. 4) Borrmann 分類ではIV型が有意に高値を示し, また組織型では未分化型腺癌が有意に高値を示していた. 5) 胃癌摘出後にその血清濃度は低下し, また化学療法に奏効した症例でもその濃度は正常値となつた. 6) CEA, CA 19-9の血清濃度とは相関がみられず, その陽性率も三者ともに有意差がみられなかつた.
抄録全体を表示
-
内田 善仁
1984 年 81 巻 8 号 p.
1750-1758
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
螢光抗体染色法を用いて, 大腸腺腫90検体における各種Ig含有細胞とSCについて検討した. 腺腫では, 正常粘膜にくらべて, IgMおよびIgD含有細胞が有意に増加していた. そして, 腺腫の異型度が強いほど, IgMおよびIgD含有細胞がより増加していた. 約1/4の腺腫においてSCが低下しており, 異型度が強い腺腫にSC低下例が多くみられた. Ig含有細胞とSCとの関連について検討した結果, SCの低下した腺腫では, IgMおよびIgD含有細胞が有意に増加していた. すなわち, 大腸腺腫における局所免疫応答の特徴の一つは, IgMおよびIgD含有細胞の増加であり, これには異型度とSCの低下が大きく関与していることが示唆された.
抄録全体を表示
-
朝倉 均, 吉岡 政洋, 森下 鉄夫, 鈴木 紘一, 北洞 哲治, 島袋 嘉修, 村岡 松生, 亀谷 麟与隆, 渡辺 哲, 大久保 忠成, ...
1984 年 81 巻 8 号 p.
1759-1766
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Protein-energy malnutrition を rapid tumover transport protein と成分栄養の面から検討するため, クローン病, 消化器癌, その他疾患24症例に成分栄養ED-AC (エレンタール) を投与し, その投与前後で血中諸蛋白濃度を測定した. 各種血中蛋白中, 成分栄養投与前には血漿レチノール結合蛋白74%, 血清総蛋白62%, 血漿トランスフェリン58%, 血清アルブミン50%の順に低下異常がみられ, 成分栄養投与にすみやかに有意に反応したのは, トランスフェリン, レチノール結合蛋白およびプレアルブミンの rapid turnover transport protein であつた. 以上より, 上記諸蛋白は protein energy malnutrition の有用な指標になり, また成分栄養はPEMに有効である.
抄録全体を表示
-
上原 泰夫, 小島 治, 間島 孝, 池田 栄人, 西岡 文三, 藤田 佳宏, 間島 進
1984 年 81 巻 8 号 p.
1767-1772
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
大腸癌患者44例において血清及び組織 tissue polypeptide antigen (TPA) 値が測定され, その臨床的意義が検討された. 大腸癌患者の血清TPA値 (112±12U/L) は, 健常人のそれに (77±3U/L) に比して有意に高値を示し, stage Vの患者のそれは特に高かつた. 酵素抗体法により大腸癌組織内TPA局在が検討され, 組織内TPA染色にて腫瘍細胞の細胞質全体が染色された. また, 癌組織内TPA濃度は非癌部大腸粘膜内のそれに比して有意に高値であつた. 血清TPA高値となる頻度は41%(18/44)であり, 同時に検討された血清CEA高値の頻度 (41%) と同程度であつた. 以上の所見より, TPAは臓器特異性は少ないものの, 大腸癌においても有用な腫瘍マーカーとなりうると考えられた.
抄録全体を表示
-
津田 寛, 古屋 清一, 近藤 芳夫
1984 年 81 巻 8 号 p.
1773-1780
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胆道閉塞解除後の胆汁中総胆汁酸排泄と色素排泄の相関について[
35S]-BSPを用いて実験的に検討した.
(1) 総胆管結紮ラットの閉塞解除後には胆汁中総胆汁酸排泄量の減少が持続した.
(2) BSP排泄能の検討から胆道閉塞解除後早期には二次的肝内胆汁うつ滞 (色素排泄不全) の状態にあると判断された.
(3) 閉塞解除群に Sodium taurocholate (Na-TCA) を投与するとBSPの胆汁中移行は促進された. 以上より, 十分な胆汁酸クリアランス能力が維持されている状態では胆道閉塞解除後の色素排泄不全に対して胆汁酸利胆による色素排泄促進の有効性が期待し得ると考えられた.
抄録全体を表示
-
新井 孝之, 溝口 靖紘, 池本 吉博, 加藤 寛子, 筒井 ひろ子, 宮島 慶治, 山本 祐夫, 森沢 成司
1984 年 81 巻 8 号 p.
1781-1787
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Kupffer 細胞の抗体産生系に及ぼす影響を plaque assay を用いて検討した. ラットより分離した Kupffer 細胞を lipopolysaccharide で刺激し, その培養上清を pokeweed mitogen とともにヒト末梢血単核細胞に添加してトリニトロフェニル化したヒツジ赤血球に対する抗体産生細胞を検討すると, 活性化 Kupffer 細胞培養上清添加群では対照群に比し, 有意な抗体産生細胞数の増加が認められた. さらにこの培養上清中には interleukin-1活性もみられ, Kupffer 細胞より分泌されると思われる interleukin-1 の抗体産生系に対する関与が示唆された. しかし, 同時にDNA合成を検討すると, Kupffer 細胞培養上清添加群ではその抑制が認められた. また, Kupffer 細胞を indomethacin で1時間処理しても抗体産生およびDNA合成には影響を与えなかつた. 以上の結果より, Kupffer 細胞が単核細胞の分化, 増殖に関与する可能性のあることが示唆された.
抄録全体を表示
-
坪内 博仁
1984 年 81 巻 8 号 p.
1788-1798
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒトおよびラット血漿のいわゆる"Big Plasma Glucagon"(BPG) の本態を明らかにするために, BPGとグルカゴン分解活性 (glucagon degrading activity; GDA) との関係を検討した. ヒトおよびラット血漿の種々のバイオゲルによるクロマトグラムでは, 肝障害の有無にかかわらずBPG画分はGDAを有していた. ゲル濾過によりえられたBPG画分のGDAは, 正常ラットでは主としてセリンおよびチオールタンパク分解酵素阻害剤により, また四塩化炭素肝障害ラットでは主としてチオールタンパク分解酵素阻害剤により抑制され, その抑制の程度に応じてIRG値も低下した. またラット血漿のバイオゲルA-1.5mによるクロマトグラムでは, ゲル濾過から測定系に至るまでタンパク分解酵素阻害剤であるパラクロロマーキュリフェニルスルフォン酸とN-エチルマレイミドを加えることにより, BPG画分のIRGはGDAの抑制に伴つてほぼ完全に消失した. 正常ヒトおよび肝硬変症患者血漿でも同様の傾向がみられた. これらの事実は血中のGDAにより標識グルカゴンが分解されるため見かけ上BPGが生じていることを強く示唆するものである.
抄録全体を表示
-
江原 正明, 大藤 正雄, 品川 孝, 木村 邦夫, 松谷 正一, 守田 正彦, 税所 宏光, 土屋 幸浩, 奥田 邦雄, 五月女 直樹, ...
1984 年 81 巻 8 号 p.
1799-1809
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
最短6カ月, 長2年10カ月間, 自然経過を観察した22例の小肝細胞癌 (腫瘍径3cm未満19例, 3~5cm 3例) について臨床所見の検討を行つた. 経時的超音波検査により腫瘍の発育速度, 腫瘍像の変化等を検討し, さらに臨床所見との関連を検討した. 腫瘍の発育速度は同一症例も経過中に変動し, 症例間では大きな差を示した. 腫瘍像は腫瘍の発育に伴い, 一定の規則性をもつて変化した. 2~3cm径を示す時点での腫瘍像は発育速度と密接な関係をもつていた. 腫瘍発育時, 血清AFP値が200ng/ml以上を示したものは, 3例 (13.7%) にすぎなかつた. 腫瘍径が3cm以上になると, AFP値は漸増し, 結節型から塊状型に変化する時点で急増する例が多かつた. 生存率は腫瘍発見より1年で89%, 2年で51%, 3年で0%であつた. 死亡した6例のうち, 腫瘍死は3例で各々, 22, 22, 34カ月間生存し, 残り3例は肝硬変死で各々3, 11, 23カ月間生存した.
抄録全体を表示
-
奥村 英正, 関山 達也, 荒牧 琢己, 勝田 悌実, 里村 克章, 赤池 正博, 寺田 秀人
1984 年 81 巻 8 号 p.
1810-1816
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
副腎皮質ステロイドを含む一般治療が無効であつた難治性肝内胆汁うつ滞4例に血漿交換を試みた. 交換血漿量は3, 100ml, 平均所要時間は196分であつた. 薬剤起因胆汁うつ滞, HBs抗原陽性のアルコール肝炎の各1例では1回のみの血漿交換で血清ビリルビンが減少し始め, それぞれ2カ月後には正常化した. 術後黄疸を伴つたPBC例では1回目の血漿交換で血清ビリルビン15mg/dlから8mg/dlへ下降, さらに2回目の血漿交換で5mg/dlへ下降した. 亜急性肝炎の1例では1回目で35mg/dlから25mg/dlへ下降した. しかし, 2回目の血漿交換2日後に死亡した. これらの結果は, 血漿交換による治療が難治性肝内胆汁うつ滞に対し有効であることを示唆する.
抄録全体を表示
-
乾 和郎, 中江 良之, 加納 潤一, 佐藤 太一郎, 秋田 幸彦, 三浦 由雄, 片山 信, 二村 雄次
1984 年 81 巻 8 号 p.
1817-1823
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
1980年12月より3年間で, 95例に超音波誘導下胆嚢穿刺造影 (US-PTCC) を施行し, 診断上非常に有用であつた. この中で胆嚢と他臓器との間に形成された特発性内胆汁瘻を3例経験した. 3例とも胆嚢結石を有し, 年齢は69歳, 77歳, 68歳と高齢で, 男性1例, 女性2例であつた. 内胆汁瘻の種類はそれぞれ胆嚢十二指腸結腸瘻, 胆嚢十二指腸瘻, 胆嚢右肝管瘻であつた. 超音波検査法では内胆汁瘻の存在は不明であり, また3例とも他の胆道造影法では診断できなかつた. US-PTCCは他の胆道造影法にて胆嚢が造影されない症例には必ず施行すべき検査法であり, 今後US-PTCCにより胆嚢と他臓器との内胆汁瘻の診断率が向上するものと思われる.
抄録全体を表示
-
宮坂 京子, 木谷 健一
1984 年 81 巻 8 号 p.
1824-1829
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
総胆管カニュレーションにより, 膵液と胆汁を別々に採取できるように準備したラットを用い, 無麻酔下に膵液採取を行い, Na
2 EDTA と Ca EDTAの各溶液を十二指腸内に注入して腸内Caイオンの膵外分泌に対する役割を検討した. 分泌された膵液, 胆汁を常に十二指腸内に戻した状態では, Na
2EDTAは, 膵液量, たん白, 重炭酸イオン排出量を有意に増加させた. また, 膵液, 胆汁を腸外へ流出させ, 腸内へ戻さない状態でも, Na
2 EDTA は, 液量, 重炭酸イオン排出量を増加させたが, たん白排出量の増加は一過性であつた. 一方 Ca EDTA は, 胆汁, 膵液の腸内での有無にかかわらず, 膵外分泌に何ら影響を与えなかつた. 以上の結果は, 十二指腸内 Ca イオンの濃度の変化が, 膵外分泌のコントロールに関与していることを示唆した.
抄録全体を表示
-
末広 逸夫, 大槻 眞, 岡 徹, 岡林 克典, 大木 篤, 大川 二朗, 入江 一彦, 馬場 茂明
1984 年 81 巻 8 号 p.
1830-1836
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
悪性腫瘍患者の血清膵分泌性トリプシンインヒビター(pancreatic secretory trypsin inhibitor: PSTI) 値を radioimmunoassay で測定し, 従来からの腫瘍マーカーである α-fetoprotein (AFP) や carcinoembryonic antigen (CEA) などと比較し, 悪性腫瘍診断におけるPSTI測定の有用性を検討した. 健常人32名の血清PSTI値は, 10.2±2.9ng/ml (mean±SD) であり, 良性疾患で mean+3SD以上の高値を示したのは, 膵疾患と腎不全症例のみであつた. 悪性腫瘍患者の41.8% (転移症例に限ると66.7%)は, 血清PSTI高値を示した. CEA, AFPおよびフェリチンに, 血清PSTIを組み合わせると, 悪性腫瘍患者の87.5%でいずれか1つは陽性を示した.
抄録全体を表示
-
笠貫 順二, 石川 隆尉, 今泉 照恵, 小関 秀旭, 金子 良一, 島田 典生, 小沢 康之, 徳政 義和, 吉田 尚, 土佐 寛順, 熊 ...
1984 年 81 巻 8 号 p.
1837-1841
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
超音波診断法と血管造影の所見を中心に
山本 宏, 安田 是和, 笠原 小五郎, 柏井 昭良, 金澤 暁太郎, 三浦 弘資
1984 年 81 巻 8 号 p.
1842-1847
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
斉藤 孝一, 塚田 芳久, 山舗 昌由, 渡辺 悟志, 野本 実, 吉川 明, 大貫 啓三, 石原 清, 上村 朝輝, 市田 文弘
1984 年 81 巻 8 号 p.
1848-1852
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
大類 方巳, 川野 正樹, 杉田 敏夫, 前原 操, 菅谷 仁, 久内 徹, 原田 尚
1984 年 81 巻 8 号 p.
1853-1857
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
国枝 美樹子, 奥山 卓正, 加藤 道夫, 宮本 岳, 益沢 学, 松尾 重雄, 遠藤 省三, 河原 勉, 倉田 明彦, 森本 耕治, 宮田 ...
1984 年 81 巻 8 号 p.
1858-1862
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
秋山 弘彦, 日高 徹, 奥原 種臣, 岩森 茂
1984 年 81 巻 8 号 p.
1863-1866
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
高木 敏, 重田 洋介, 荒井 正夫, 永田 茂之, 石井 裕正, 高橋 久雄, 海老原 洋子, 長坂 摩利, 佐藤 潤, 加藤 真三, 土 ...
1984 年 81 巻 8 号 p.
1867
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
筒井 ひろ子, 溝口 靖紘, 加藤 寛子, 宮島 慶治, 新井 孝之, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 山本 祐夫, 門奈 丈之, 原 久子, ...
1984 年 81 巻 8 号 p.
1868
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
斎藤 清二, 渋谷 隆, 佐々木 博
1984 年 81 巻 8 号 p.
1869
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
-
木谷 恒, 米島 学, 竹森 康弘, 登谷 大修, 岡井 高, 澤武 紀雄, 服部 信
1984 年 81 巻 8 号 p.
1870
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー