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今月のテーマ 自己免疫性肝疾患とその境界病変
中沼 安二, 大場 一生
2001 年 98 巻 11 号 p.
1247-1256
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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肝の代表的な自己免疫性疾患として,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎がある.自己免疫性肝炎では肝細胞が標的組織であり,慢性活動性肝炎の組織像を呈する.インターフェイス肝炎や肝実質炎が自己免疫性の肝細胞破壊を反映する病変である.原発性胆汁性肝硬変では肝内小葉間胆管が障害され,しばしば類上皮肉芽腫形成をともない,広汎な胆管消失が特徴である.原発性硬化性胆管炎では肝内外胆管系が自己免疫機序で障害され,胆管の線維化と閉塞を特徴とする.最終的には胆汁性肝硬変への進展する.これらの自己免疫性肝疾患の典型像は確立されているが,その境界病変の整理が今後に残された課題である.
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今月のテーマ 自己免疫性肝疾患とその境界病変
銭谷 幹男
2001 年 98 巻 11 号 p.
1257-1262
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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現在自己免疫性肝疾患としては自己免疫性肝炎(Autoimmune hepatitis;AIH),原発性胆汁性肝硬変(Primary biliary cirrhosis;PBC),原発性硬化性胆管炎(Primary sclerosing cholangitis;PSC)が知られている.最近になりPBCの組織所見を示し,AIHの臨床病像が加わったautoimmne cholagiopathy,あるいはautoimmune cholangitisという概念やそれぞれの疾患のoverlap症候群,さらには診断基準に合わない症例の存在が報告されてきており,その診断と治療対応が問題となっている.
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浅川 博, 小井戸 薫雄, 鳥居 明, 池上 雅博
2001 年 98 巻 11 号 p.
1263-1271
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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同時性多発進行大腸癌31症例を対象として,臨床病理学的所見,
p53遺伝子変異,
p53蛋白過剰発現,DNAミスマッチ修復異常,およびKi-67抗原標識率について,単発大腸癌90症例と比較検討した.同時多発癌は年齢以外の臨床病理学的所見では,単発癌と有意差はなかったが,
p53遺伝子変異と
p53蛋白過剰発現の陽性率は,ともに単発癌より有意に低値を示した.また,DNAミスマッチ修復異常の頻度は,単発癌より有意に高値を示した.以上より,同時多発癌はHNPCCと同様の発癌メ力ニズムの関与が単発癌より高頻度にみられるため,術後も異時性多発癌,多臓器癌などに注意する必要があると考えられた.
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三上 繁, 吉住 博明, 大野 泉, 秋本 政秀
2001 年 98 巻 11 号 p.
1272-1277
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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総胆管結石治療におけるOne Step EPBDカテーテルの有用性および安全性を検討した.従来のEPBDを施行した46例(Two Step群)とOne Step EPBDカテーテルを使用した18例(One Step群)の採石に必要な内視鏡の回数および採石成功率に有意差は認められず,膵炎はTwo Step群の1例のみであった,治療前後の血清アミラーゼ値の変動においても有意差は認められず,治療前の血清アミラーゼ値が500IU/
l以上の胆石性膵炎11例では,治療後に両群とも血清アミラーゼ値の著明な低下傾向が認められ,EPBDは有用であった.One Step EPBDカテーテルによる治療は,従来のTwo Step法と同等の有用性および安全性を有し,EPBDの手技を簡略化できる.
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馬場 洋一郎, 本間 照, 武井 伸一, 鈴木 恒治, 新井 太, 小林 正明, 杉村 一仁, 成澤 林太郎, 高橋 達, 朝倉 均, 富山 ...
2001 年 98 巻 11 号 p.
1278-1282
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は52歳女性,軽症直腸炎型潰瘍性大腸炎が8年間寛解状態を維持した後に,重症型で再燃し,Sweet病を合併した.本症例においては末梢血中のGranulocyte-Colony Stimulating Factor(G-CSF),好中球活性酸素産生能の上昇が認められ,潰瘍性大腸炎の再燃とSweet病の合併に関与するものと考えられた.
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吉田 晴恒, 辻 邦彦, 桜井 康雄, 潟沼 朗生, 姜 貞憲, 林 毅, 河上 洋, 網塚 久人, 小山内 学, 伊藤 英人, 泉 信一, ...
2001 年 98 巻 11 号 p.
1283-1288
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は60歳,男性.S2/3/4/8の塊状型肝細胞癌に左3区域切除術を施行した.1年3カ月後にAFP再上昇と左腎腫瘤を認め,画像所見および臨床経過より肝細胞癌の腎転移と考えられた.残肝再発および遠隔転移を認めないことから左腎摘出術を施行し,病理学的にも確定診断した.診断時に孤立性と考えられる肝細胞癌の腎転移は,本邦では3例の報告のみで,まれな症例と考えられた.画像所見を中心に報告する.
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宮崎 泰可, 朝長 道生, 内藤 慎二, 伊東 正博, 中村 研二, 木下 秀樹, 大曲 勝久, 村瀬 邦彦, 村田 育夫, 河野 茂
2001 年 98 巻 11 号 p.
1289-1293
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は72歳,女性.全身倦怠感のため当院へ入院.腹部超音波,CT検査上,肝右葉に13cm大の肝腫瘍と胆嚢に広基性腫瘍を認めた.第27病日に死亡し,病理解剖を施行した.肝腫瘍は典型的なカルチノイド腫瘍の像を呈し,他臓器に原発巣を疑う腫瘍性病変は認められなかった.一方,胆嚢腫瘍は管状腺癌であり,リンパ節転移巣では腺扁平上皮癌の像を呈していた.以上より原発性肝カルチノイド腫瘍と胆嚢癌の重複癌と診断した.
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伯井 俊彦, 藤岡 高弘, 花田 健治, 清家 英二, 東納 重隆, 下屋 正則, 峯 雅文, 近藤 寿郎
2001 年 98 巻 11 号 p.
1294-1297
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は32歳男性.熱傷に対し新鮮凍結血漿の輸血を行われた.後日,日赤での500検体ミニプールにおける核酸増幅検査(nucleic acid amplification test;NAT)を契機に輸血された血漿中からHCV RNAが検出された.その後患者は急性肝炎を発症したが,IFN治療が著効した,本症例は,輸血実施後に施行されたNATによりHCVRNA陽性の血漿であったことが明らかになり,発症を予測し得た輸血後C型肝炎の最初の報告例である.
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関川 昭, 稲田 雅宏, 露岡 清隆, 中村 昌弘, 來須 知恵, 瀬田 剛史, 太田 安英, 沖本 芳春, 吉村 高士
2001 年 98 巻 11 号 p.
1298-1303
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は40歳の男性.右季肋部痛,黄疸で発症し,US,CT,MRIにて膵頭部に多房性の腫瘤を認めた.ERCPでは,総胆管,分枝膵管の圧排所見を認めた.膵漿液性嚢胞腺腫を最も疑ったが,悪性膵腫瘍も否定できず開腹術を行った.術後膵頭部腫瘤と膵周囲リンパ節の病理組織診断にて,乾酪壊死,類上皮細胞,巨細胞を認め,膵結核と診断した.膵結核は極めてまれであり,文献的考察を加え報告する.
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土居 忠, 本間 久登, 女澤 慎一, 木田 雅也, 茎津 武大, 宮西 浩嗣, 村瀬 和幸, 高田 弘一, 井山 諭, 新津 洋司郎
2001 年 98 巻 11 号 p.
1304-1308
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例はアルコール性慢性膵炎を指摘されている66歳の男性.慢性膵炎の急性増悪の経過中に形成された膵仮性嚢胞の破綻による膵性腹水を発症した.経皮的腹腔ドレナージ,絶食,メシル酸ナファモスタットの経静脈投与などの保存的治療を行ったが内膵液痩が持続し,膵炎の遷延も認められたことからメシル酸ナファモスタットの持続動注療法を施行したところ膵性腹水は消失した.メシル酸ナファモスタット持続動注による膵炎の鎮静化によって内膵液痩の修復が促進されたものと考えられた.
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鍛治 武和, 菱木 智
2001 年 98 巻 11 号 p.
1309-1310
発行日: 2001/11/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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