日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
115 巻 , 2 号
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総説
  • 河合 隆, 小山 洋平, 糸井 隆夫
    2018 年 115 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 2018/02/15
    公開日: 2018/02/19
    ジャーナル フリー

    十二指腸では,胃酸,胆汁,膵液,各種消化酵素などが互いに影響し合いながらバランスを保っている.しかし近年,H. pylori感染率の低下および除菌治療の普及により胃酸分泌能に大きな変化が生じ,このバランスが崩れている可能性がある.実際に十二指腸潰瘍の減少,十二指腸癌・腺腫の増加,さらには十二指腸異所性胃粘膜の増加ならびに形態学的な変化が認められる.十二指腸の環境を考慮した病態解明とともに,内視鏡観察方法を含め内視鏡診断学,さらには治療法の確立が急務と思われる.

今月のテーマ:十二指腸疾患診療の最前線
  • 秋葉 保忠, Jonathan D KAUNITZ
    2018 年 115 巻 2 号 p. 137-159
    発行日: 2018/02/15
    公開日: 2018/02/19
    ジャーナル フリー

    十二指腸粘膜は,常に胃酸に曝露されるとともに食物や薬物にも高濃度で曝露されている.十二指腸粘膜は,多層的な防御機構で保護されている.近年十二指腸粘膜が管腔内の栄養素や物質を感知して「味見」をすることで,知覚神経や腸内分泌細胞を介して局所の粘膜応答や近接臓器へのシグナル伝達をすることがわかってきた.肥満外科手術は十二指腸をスキップすることで劇的な減量効果を生むことから,十二指腸の生理的役割は栄養素感知機構による栄養素吸収の促進である.また,脂肪吸収時にLPS吸収が生理的におこること,腸内分泌細胞由来のホルモンがLPS吸収の制御に関与する結果が得られてきている.本稿では,改めて十二指腸の生理学的な役割を再認識することで,関連する疾患への治療の一助となることを目的としたい.

  • 九嶋 亮治
    2018 年 115 巻 2 号 p. 160-167
    発行日: 2018/02/15
    公開日: 2018/02/19
    ジャーナル フリー

    十二指腸の上皮性腫瘍性を正しく診断するためには,十二指腸の特徴的な組織学的構築を知り,腫瘍様病変,良性腫瘍,さらに悪性腫瘍の成り立ちを,組織発生の観点から理解しておくことが重要である.表面は空腸・回腸に連なる小腸型粘膜が被覆しているが,前腸由来である乳頭部あたりまでは粘膜下にブルンネル腺が存在する.ブルンネル腺は胃の粘液腺と同様の性質を持っており,びらんや潰瘍によって胃腺窩上皮へ分化する.また,十二指腸粘膜やブルンネル腺内には胃底腺型細胞もしばしば観察される.したがって,十二指腸の上皮性腫瘍様病変や腫瘍には小腸型形質と胃型・ブルンネル腺形質,あるいはそれらの混合型形質を持つものがあることを理解したい.

  • 後藤 修, 山本 頼正, 矢作 直久
    2018 年 115 巻 2 号 p. 168-176
    発行日: 2018/02/15
    公開日: 2018/02/19
    ジャーナル フリー

    近年発見率が増加している十二指腸腫瘍において,その内視鏡的な取扱いが盛んに議論されている.腫瘍の発生機序に関する分子病理学的検討は進んでいるものの,良悪性の形態学的な鑑別はときに困難である.治療方針決定のための正確な内視鏡診断に期待が寄せられているものの,精度の高い診断法は確立されていない.内視鏡治療に至っては,十二指腸という臓器の特性上極めて高難度かつ高危険度の手技を余儀なくされる.エビデンスの限られた現時点においては,内視鏡的にまず腫瘍と非腫瘍を鑑別し,粘膜内癌までの腫瘍性病変に対して一括切除が期待できるより安全な方法での切除を考慮するのがコンセンサスといえる.多数例でのさらなる検討が望まれる.

  • 山脇 博士, 二神 生爾, 岩切 勝彦
    2018 年 115 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 2018/02/15
    公開日: 2018/02/19
    ジャーナル フリー

    十二指腸は,胃内容物をアルカリ分泌によって中和する働きを持っている.加えてI細胞,K細胞,L細胞といったCCK,GIP,GLP-1産生細胞が十二指腸粘膜・小腸粘膜に局在しており,これらの消化管ホルモン産生により,栄養輸送に関わる消化管運動を制御しており,急激な十二指腸内腔への食物の流入を制限しているとされている.現在注目されている機能性消化管障害患者において,特に機能性ディスペプシア(FD)患者や慢性膵炎患者においても,食直後の胃・十二指腸運動の異常が報告されている.FD患者で報告されている十二指腸粘膜炎症および透過性の亢進との関連性については,その詳細な解析が待たれる.

原著
  • 高橋 彩, 島 俊英, 木下 直彦, 矢野 航太, 上野 智子, 西脇 聖剛, 山本 康英, 大矢 寛久, 天野 一郎, 松本 淳子, 光本 ...
    2018 年 115 巻 2 号 p. 184-194
    発行日: 2018/02/15
    公開日: 2018/02/19
    ジャーナル フリー

    C型肝炎治療において,インターフェロン(IFN)がベースであった時期と現在のdirect-acting antivirals(DAA)が主役になった時期でのC型初発肝癌の発見契機を比較した.抗ウイルス治療目的で紹介され,肝癌が発見された例は,IFN時期2例(1.7%),DAA時期8例(20.5%)と,DAA時期で有意に高率であった.DAA治療目的で紹介され肝癌が発見された患者の年齢中央値は69歳で,肝硬変の割合は13%と低率で,腫瘍径中央値16mmで全例が切除あるいは局所治療が可能であった.DAA治療の登場は病診連携を推進し,肝癌早期発見に寄与していると考えられた.

症例報告
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