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長谷川 啓
1991 年 88 巻 8 号 p.
1517-1524
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
十二指腸液胃逆流による胃癌発生を実験的に検索した. Wistar 系雄性ラットに十二指腸液が幽門輪から逆蠕動性に幽門前底部に逆流する手術(ADGR), 胃底腺領域大弯の吻合口より順蠕動性に胃体部に逆流する手術 (IDGR) を行い, 50週後に屠殺した. 対照は単開腹手術 (SO) とした. 胃癌は, ADGR群で41% (7/17), IDGR群で31% (4/13) に発生したが, SO群は0% (0/20) であつた. 占拠部位は, ADGR群は幽門前庭部, IDGR群では胃空腸吻合部であつた. これらより, 胃に逆流する十二指腸液には発癌作用があり, 最も高濃度に接触する胃粘膜に発癌することが示された.
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三輪 洋人, 浜田 勉, 大蔵 隆一, 梁 承郁, 大野 雅子, 渡辺 晴生, 佐藤 信紘, 和田 了, 阿部 寛, 桑原 紀之
1991 年 88 巻 8 号 p.
1525-1531
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
119例121病変の胃癌の生検組織に BrdU in vitro 標識法を用い, 得られた522組織片の BrdU labelling index (L.I.) を組織壊死傾向 (癌腺管崩壊傾向) および細胞浸潤の程度でわけたところ壊死, 細胞浸潤の程度とL.I.が相関した. つぎに, 各病変のL.I.を, すべての組織片を用いて決めた場合(A法), 壊死がないか軽度の組織片のみを用いて決めた場合(B法), 壊死および細胞浸潤がないか軽度の組織片のみを用いて決めた場合(C法)の3法で比較したところB, C法でL.I.は組織学的進行程度, リンパ節転移と相関し, C法ではB法に比してより強い相関を得た. 以上より胃癌病変のL.I.は組織の壊死傾向, 細胞浸潤に影響され, L.I.はC法を用いて算定するのが最も適当で, 悪性度の指標として有用であると考えられた.
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村田 智昭, 和田 了, 阿部 寛, 桑原 紀之, 福田 芳郎
1991 年 88 巻 8 号 p.
1532-1538
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
微量の胆汁酸をラットに9週間経口投与し, 胃粘膜上皮に対する作用を形態計測法および抗Bromodeoxyuridine 抗体染色法を用いて検索した. 併せて胆汁酸の作用に対するリゾチームの効果も検討した. 胆汁酸単独投与群では, 無処置対照群と比較して特に胃幽門腺領域での胃粘膜上皮に萎縮性変化と抗BrdU抗体染色陽性細胞と分裂上皮細胞の総数の増加を認めた. また, 胆汁酸とリゾチーム投与群では胆汁酸単独投与群と比較してこれらの変化が抑制された.
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早雲 孝信, 東 健, 中島 正継, 安田 健治朗, 趙 栄済, 向井 秀一, 水間 美宏, 芦原 亨, 水野 成人, 平野 誠一, 池田 ...
1991 年 88 巻 8 号 p.
1539-1544
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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ras遺伝子は, そのpoint mutation により活性化される癌遺伝子として知られている. 今回, われわれは oligonucleotide hybridization assay を用いて,大腸癌86例における K-ras codon 12, 13のpoint mutation の有無について検索した. その結果, codon 12に32例, codon 13に1例の33例 (38%) に point mutation を認めた. 変異の比率を腫瘍の存在部位, 組織型, 深達度, リンパ節転移, ステージ分類別に検討したが, 有意な関係は認められなかつた. しかし, 深達度mやsmといつた早期の癌においても高頻度に変異が検出され, ras遺伝子の point mutation が癌の進行過程というよりも発癌の過程に関係していることが推察された.
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羽生 大記, 門奈 丈之, 斉藤 忍, 黒木 哲夫, 小林 絢三
1991 年 88 巻 8 号 p.
1545-1553
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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HBVキャリアの病態の家族集積性の有無による差異についてHBVキャリア237名を対象として解析した. HBVキャリアの両親及び同胞に関して家族調査を実施し以下のように分類した. 1) 孤立発生群は家族集積群に比して各年代共にHBe抗原陰性化が高率(χ
2: P<0.01)であつた. またHBe抗原陰性化例の肝障害度も軽度であつた. 水平感染例 (母子感染を除く) のみを対象としても孤立発生群と家族集積群は前記と同様の傾向を示した. 2) ASC集積群は肝疾患集積群に比し相対的に良好な予後を示す例が多かつた. 以上より, HBVキャリアの病態は家族集積性の有無により差があると考えられ, 感染様式, 及び何らかの家系的要因が関与していることが示唆された.
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癌化の進展と血流動態の変化との関連について
工藤 正俊, 冨田 周介, 樫田 博史, 三村 純, 岡部 純弘, 平佐 昌弘, 伊吹 康良, 小森 英司, 織野 彬雄, 藤堂 彰男
1991 年 88 巻 8 号 p.
1554-1565
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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組織学的に確診の得られた最大径3cm以下の肝硬変に伴う結節性病変55結節を対象にCO
2動注下US angiography および門脈造影下CTを施行し, 結節内の動脈血流 (Arterial Vascularity; AV) および門脈血流 (Portal Perfusion; PP) 動態を検討した. 動門脈血流動態より結節は以下の6群に分類された. I群: PP (+), AV (hypo); I'群: PP (+), AV (iso); II群: PP (-), AV (hypo); III群: PP (-), AV (iso); IV群: PP (-), AV (hyper); V群: PP (partially +), AV (vascular spot in hypovascular) の6群である. I群の8例およびI'群の2例は良性結節であつた. 高分化型肝細胞癌はI群の2例II群 (n=5) の全例およびIII群 (n=8) の7例 (88%) にみられIV群 (n=25) の2例 (8%) と対照的であつた. また, III群のうち6例 (75%) において高率に脂肪化がみられた. 以上より良性結節より癌化してゆく過程においては, 動脈性腫瘍血管の増生に先んじて門脈血流が低下すること, また早期の肝細胞癌では動脈血流も門脈血流もともに低下した状態が存在しうること, および脂肪化と腫瘍内血流動態 (乏血状態) との強い関連性が示唆された.
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中郡 聡夫, 浅野 武秀, 後藤 剛貞, 剣持 敬, 磯野 可一
1991 年 88 巻 8 号 p.
1566-1570
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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術中針生検による肝蛋白合成率 (HPS) を測定し, 肝機能予備力の評価を試みた. 正常肝7例のHPSは6.9±3.0nmol/mg wet wt./10min. に対し, 閉塞性黄疸肝9例では17.1±10.3と軽度上昇し, 硬変肝8例では47.5±17.8とさらに高値を示した. HPSは血清CHEと負の相関を認め, また黄疸例を除くとICGR15とも正の相関を認めた. HPSと切除肝区域別の合併症につき検討すると, 2区域以上の肝切除ではHPS20以下, 1区域切除はHPS40以下が安全であり, 亜区域切除および肝部分切除はHPSの値に関わらず安全に施行し得ることが示唆された. HPSは単位肝組織での肝機能予備力推定を可能とし, 肝切除量決定の際の肝機能予備力評価において有用な指標であると考えられた.
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青木 悦雄, 安達 秀樹, 野口 正人, 佐藤 俊介, 大西 秀一, 本田 豊彦, 小西 淳二
1991 年 88 巻 8 号 p.
1571-1578
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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125I-quinuclidinyl benzilate (
125I-QNB), N-[
3H]-methylscopolamine ([
3H]NMS) を用い膵腺房ムスカリン様受容体 (膵ム受容体) を解析した.
125I-QNB, [
3H]NMSと膵ム受容体との結合は特異的で可逆性であつた.
125I-QNBは[
3H]NMSの結合部位以外に, より低親和性の結合部位に結合したが, 膵腺房に対する非特異的結合が46%と高値で, 受容体解析のリガンドとしては不適と考えられた. ム受容体は pirenzepine ((P)) の親和性により, M
1, M
2の subtype に分けらわ (P) はM
1受容体を選択的に抑制する. 膵腺房への
125I-QNB及ぴ[
3H]NMSの結合に対する (P) の結合阻害作用は atropine のそれぞれ, 約1/530, 約1/250であり, 膵ム受容体はM
2受容体が主体と考えられた.
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高山 昇, 小川 正純, 中野 幾太, 舩冨 等, 八田 善夫
1991 年 88 巻 8 号 p.
1579-1583
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
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膵炎発症後の尿中 hydroxyproline, fibronectin fragment (FN fragment) 排泄量を経時的に測定した. FN fragment が発症第1日目より高値を示したのに対し, hydroxyproline は第2~5日目にかけて高値を示し, 個々の症例でみてもFN fragment のピークは, hydroxyproline のピークに対し, 常に先行してみられた. 発症早期の尿中FN fragment の増加は, 膵を含む全身の組織障害を反映し, 次いでみられる hydroxyproline の増加は, 障害組織修復にともなる collagen 代謝の亢進を反映していると考えられた. また第1日目の尿中FN fragment 排泄量は膵炎が重症であるほど高く, 膵炎重症度を判定する parameter の一つとなる可能性が示唆された.
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杉浦 克明, 芝 祐信, 田尻 和男, 矢内 常人, 泉 並木, 三宅 祥三
1991 年 88 巻 8 号 p.
1584-1587
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
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吉田 哲也, 高見 元敞, 藤本 高義, 清水 宏, 太田 俊行, 高田 俊明, 北田 昌之, 奥村 幸康, 山田 毅, 田口 哲也, 梁 ...
1991 年 88 巻 8 号 p.
1588-1592
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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早坂 章, 高円 博文, 飯田 真司, 大藤 正雄
1991 年 88 巻 8 号 p.
1593-1597
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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小野 重明, 佐久間 博史, 折笠 睦男, 庄司 功, 高木 徹, 斎藤 孝一, 森藤 隆夫, 粕川 禮司
1991 年 88 巻 8 号 p.
1598-1602
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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石田 真一, 小松 眞史, 中島 康, 後藤 充男, 渡部 博之, 正宗 研
1991 年 88 巻 8 号 p.
1603-1607
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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田辺 雄一, 吉田 喜策, 四宮 幸子, 富永 浩平, 廣重 嘉一郎, 小柳 信洋, 竹中 賢治, 入佐 俊武
1991 年 88 巻 8 号 p.
1608-1611
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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宮崎 浩司, 米井 嘉一, 小澤 ゆか子, 稲田 進一, 稲垣 恭孝, 宮本 京, 鈴木 修, 大川 日出夫, 桐生 恭好, 新本 弘, 成 ...
1991 年 88 巻 8 号 p.
1612-1616
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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斉藤 雄介, 遠藤 滋, 佐崎 なほ子, 床井 伸介, 細井 広子, 梶浦 謙, 田村 裕子, 佐々部 正孝, 大草 敏史, 五関 謹秀, ...
1991 年 88 巻 8 号 p.
1617-1621
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
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嘉悦 勉, 茂木 好則, 河村 正敏, 小池 正, 石沢 修二, 福地 邦彦, 高木 康, 五味 邦英
1991 年 88 巻 8 号 p.
1622
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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田妻 進, 初鹿 寿美恵, 相原 直樹, 山下 郡司, 佐々木 晴敏, 佐川 広, 水野 重樹, 峠 誠司, 佐々木 雅敏, 大屋 敏秀, ...
1991 年 88 巻 8 号 p.
1623
発行日: 1991年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー