日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
103 巻, 3 号
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今月のテーマ:小腸粘膜の防御機構
原著
  • 水城 啓, 立道 昌幸, 二階堂 光洋, 細江 直樹, 船越 信介, 福井 一人, 前田 憲男, 重松 武治, 西谷 裕美, 林 竜彦, 永 ...
    2006 年 103 巻 3 号 p. 283-289
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/06
    ジャーナル フリー
    ±出血性消化性潰瘍に対しクリニカルパス(以下パス)を試作導入し,その有用性と問題点について検討した.内視鏡検査にて出血性消化性潰瘍と診断され,内視鏡的止血術が施行された症例のうち,入院後特に併存疾患の治療を必要としない症例をパス適応例とした.パス適応率は78.8% (89/113),バリアンス発生率は13.5%(12/89)であった.平均在院日数はパス導入前10.0±4.6日(mean±SD),パス導入後7.4±2.9日と有意に短縮された.出血性消化性潰瘍のパスは安全で,入院期間の短縮,医療費の軽減などに寄与した.高齢者にもパス使用可能であったが,潰瘍以外のバリアンス発生率が高かった.
症例報告
  • 丸山 常彦, 榎本 剛史, 高垣 俊郎, 堀内 栄, 原 健, 大原 三佳
    2006 年 103 巻 3 号 p. 290-294
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/06
    ジャーナル フリー
    腹膜播種をともなった小腸癌に対しS-1を投与した症例を経験した.症例は51歳,男性.易疲労感を主訴に前医受診し貧血を認め,当院へ紹介受診となった.小腸造影検査でTreitz靭帯から15cmの肛門側の小腸に長径4cmの中央に潰瘍をともなう全周性の狭窄を認め,その口側腸管の著明な拡張を認めた.腹部CTで小腸の拡張と,小腸壁および直腸壁の肥厚を認め,注腸検査で直腸の狭窄像を認めた.以上より腹膜播種をともなう小腸癌と診断し,手術を施行した.腹膜播種は腹腔内全体に認められ,原発巣に対して空腸部分切除術を施行した.術後S-1内服を行い,外来にて4週投与2週休薬を1クールとし,3クールを施行した.特に副作用はなく,注腸検査で直腸の狭窄の著明な改善を認め,腹部CTで直腸壁の肥厚の改善を認めた.その後病変は悪化し,術後6カ月で原病死となった.
  • 藤瀬 剛弘, 岩切 龍一, 綱田 誠司, 森田 秀祐, 吉川 敦, 大谷 顕史, 坂田 祐之, 藤本 一眞
    2006 年 103 巻 3 号 p. 295-300
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/06
    ジャーナル フリー
    39歳男性.20歳時クローン病と診断.2001年統合失調症を発症.同年7月クローン病の増悪を認め栄養療法および薬物療法行ったがステロイド精神症の出現のためステロイド続行不能となる.翌年増悪しinfliximabの5mg/kg投与を選択した.投与後改善を認め,単回投与にて10カ月の長期寛解を維持できた.翌年5月の再増悪時にも,再度infliximabを投与し現在1年以上寛解を維持できている.
  • 磯貝 圭輝, 山本 英一郎, 山岡 聡, 多羅澤 功, 村上 理絵子, 森本 一郎, 小畑 俊郎, 森 道夫, 遠藤 高夫, 今井 浩三
    2006 年 103 巻 3 号 p. 301-309
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は69歳.女性.上部消化管内視鏡検査にて,上十二指腸角付近に多数の白斑が認められ,さらに下行脚にも発赤調の陥凹をともなう白斑の集簇が散在していた.生検では濾胞性リンパ腫との診断であった.抗CD20抗体(Rituximab)とCHOP療法とを併用した化学療法を計6コース施行後,十二指腸の病変は著明に改善しており生検でも悪性所見はみられなかった.消化管濾胞性リンパ腫の治療の1つとして,RituximabとCHOP療法を併用した化学療法は有効であることが示唆された.
  • 今井 昭人, 小山田 裕一, 和田 誠, 内藤 裕二, 吉田 憲正, 吉川 敏一
    2006 年 103 巻 3 号 p. 310-315
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.腹痛,下血,関節痛を主訴に受診.下肢に紫斑を認め,腹部CTでは回腸末端部に壁肥厚と腹水の貯留を認めた.第4病日の腹部CTでは十二指腸水平脚に強い壁肥厚を認め,第8病日の腹部CTでは回腸に強い壁肥厚を認めた.Henoch-Schnlein紫斑病に腹部症状をともなうことは周知の事実であるが,短期間に腹部症状の消長を繰り返し,その経時的変化を画像的に観察しえたまれな症例と考え報告する.
  • 牧野 勇, 谷 卓, 清水 康一, 高村 博之, 藤村 隆, 西村 元一, 萱原 正都, 太田 哲生, 三輪 晃一, 野々村 昭孝, 上田 ...
    2006 年 103 巻 3 号 p. 316-321
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,男性.健康診断の腹部超音波検査にて肝胞性病変を指摘された.精査にて肝右葉に35mm大の多房性胞性病変を認め,胆管胞腺腫(腺癌),エキノコックス症,胞変性した血管腫などが疑われ肝部分切除術を施行した.病理検査で純型のmonolobar Carolis diseaseと診断された.Caroli病としてはまれな片葉限局症例で,肝切除にて完治可能であった1例である.
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