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林 義峰, 本郷 道夫, 佐竹 賢三, 豊田 隆謙, 後藤 由夫, 奥山 信一
1987 年 84 巻 1 号 p.
1-5
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
糖尿病患者の胃排出能と自律神経障害の重症度との関連性を検討した. 自律神経障害の程度は深呼吸時の心拍数変動値により分類した. 軽度自律神経障害群では胃排出能は正常に保たれているが, 高度障害群では著しく遅延していた. 150分後に80%以上の胃内残存率を示す胃麻痺は, 高度な自律神経障害例にのみ認められ, 胃排出開始時間も高度障害例の半数以上で60分以上に遅延していた. 糖尿病性胃麻痺の成因には高度な迷走神経機能の低下が強く関与することが示唆された. 高度自律神経障害群では試験食摂取後の血糖の変動は緩やかで, 胃排出の遅延が食後の血糖の上昇を遅らせていると推測される.
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斉藤 治
1987 年 84 巻 1 号 p.
6-12
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
消化吸収障害を惹起する消化管疾患 (胃亜全摘B-I例, B-II例, 胃全摘例, 小腸 Crohn 病例, 回腸切除例) の病態を知る目的で糞便中脂肪酸組成を健常者のそれと比較検討した. すなわち, 腸内細菌により oleic acid から産生される 10-hydroxystearic acid (10-OHSA) を含め8種の糞便中脂肪酸をHPLCで分析した. その結果, 糞便中脂肪酸濃度はB-II例, 胃全摘例で有意に増加した. 糞便中10-OHSAはB-I例, B-II例, 胃全摘例, 小腸 Crohn 病例で有意に増加した. 10-OHSA/oleic acid の比率はすべての疾患群で有意に増加した. 糞便脂肪量と糞便中10-OHSAの比率との間に有意の相関を認め, 脂肪吸収障害が腸内細菌叢異常と密接に関係していることが示唆された.
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黄 士哲, 三木 一正, 清水 明浩, 一瀬 雅夫, 岡 博, 降旗 千恵, 松島 泰次郎, 平野 和行, 林 祐三
1987 年 84 巻 1 号 p.
13-19
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ペプシノゲンI (PGI) に特異的なモノクローナル抗体を作製した. また, これを用いて血清PGI測定用の enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 法を開発した. 本ELISA法の至適測定範囲は8~256μg/
lで, 既報のRIA法との間には有意な正の相関を示した(r=0.87, p<0.01). 特異性の検討で, ペプシノゲンII, ガストリン, ボンベシン, ソマトスタチンおよびペプタイドYY等との間では交叉性を認めなかつた. 本法の測定内および測定間の変動係数 (CV) はそれぞれ7.6%および13.0%であり, 正常範囲はRIA法とほぼ同様の15~100 (μg/
l) で対数正規分布を示し, 本法はRIA法と同様に臨床応用に十分使用しうるものと考えられた.
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谷 俊男, 土橋 康成, 依岡 省三, 丸山 恭平, 岡 隆宏, 芦原 司
1987 年 84 巻 1 号 p.
20-26
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラット幽門輪にスプリングを挿入後, 胃粘膜の変化を経時的に調べた. 幽門腺領域では幽門輪近傍の粘膜肥厚を生じ, 幽門腺腺部と腺窩上皮の過形成, 炎症性細胞浸潤が, また, 一部の腺管に杯細胞化生が出現した. また, 16週目ラットでは腺管密度が減少傾向を示した. 胃底腺領域では粘膜表面が粗〓となり, 一部腺管では副細胞の分布域の拡大•低下を示した. また, 一部のラットに発生した巣状隆起性病変は腺窩上皮の限局性過形成巣であつた. 以上の諸変化はpHの上昇を伴つてスプリングの非接触部に発生したことから十二指腸内容の胃内逆流によつて誘発されたと考えられ, また, ヒト慢性胃炎の粘膜変化に類似性を有していると考察した.
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脇山 耕治
1987 年 84 巻 1 号 p.
27-35
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
実験的ラット肝硬変の肝線維化過程における臓器及び血清中微量金属動態を検討した結果, 肝臓中の collagenase 活性の上昇とともにZn低値と血清中でのZn低値, Cu高値が継続的に観察された. また, 肝硬変完成時の肝 cytoplasma 中でも
65Zn量及びZn結合物質が低下し, Cu結合物質が増加していることが確認された. これらの金属は細胞分裂や線維化に関与する酵素の co-enzyme である事, および膵臓, 腎臓, 心臓中では, 継続的変動を示した金属がなかつた事などより, Zn, Cuが実験的肝線維化過程に関与している可能性が推察された. 更に
65Zn uptake の実験からラットCCl
4肝硬変完成時の消化管でのZn吸収低下が肝硬変時のZn低下の一因となつている可能性が推察された.
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西口 修平, 黒木 哲夫, 武田 正, 針原 重義, 小林 絢三, 湯浅 勲, 大谷 周造, 森澤 成司, 門奈 丈之, 山本 祐夫
1987 年 84 巻 1 号 p.
36-44
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
インターフェロン (IFN) の細胞増殖抑制機構を明らかにするために, マウス肝部分切除後の肝再生初期における生化学的変化およびDNA合成におけるIFNの影響を検討した. 1) IFN投与マウスにおける肝再生時のDNA合成は対照群の約30%まで低下した. 2) IFN投与マウスでは, 肝再生時に見られるオルニチン脱炭酸酵素 (ODC) 活性の第一峰目が著明に低下し, ODCの反応生成物である putrescine の含量も低値を示した. 3) IFN投与マウスでは, 肝再生初期に生じる adenylate cyclase の活性化が阻害され, 肝内cAMP量の増加が抑制された. 以上よりIFNは肝内のcAMP及び putrescine の抑制を介して肝再生を阻害すると考えられた.
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中村 信
1987 年 84 巻 1 号 p.
45-51
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
HBs抗原 carrier 45例の血清HBe抗原•抗体, 血清HBV-DNA, 肝内HBc抗原の関連および, 慢性肝疾患例の臨床像との関係を検討した. 無症候性 carrier では, 血中HBe抗原陽性例は血清HBV-DNAおよび肝内HBc抗原が陽性, 血中HBe抗体陽性例では両者とも陰性であつた. 一方慢性肝疾例では, 血中HBe抗原, HBe抗体の有無とHBV-DNA, 肝内HBc抗原出現の一致をみたのは37例中22例 (59.5%) であつた. これら3つの marker 中, s-GPTの異常を最も鋭敏に反映したのは血清HBV-DNAであつた. 以上より, 慢性肝疾患においてはこれら HBV-marker の出現性に不一致が生じるが, 血清HBV-DNAはHBVの replication あるいは肝炎の活動性の最も鋭敏な指標となり得ると思われた.
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とくに予後についての検討
井本 勉, 松本 秀敏, 王 康義, 郡山 俊昭, 西内 明子, 進士 義剛
1987 年 84 巻 1 号 p.
52-57
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
発症後14日以内に肝生検を施行し得た急性薬剤アレルギー性肝炎例と, 同様のA型およびB型急性肝炎例について, bridging necrosis の発現頻度を比較検討した. 前者の群では53例中13例, 後者の群では68例中6例に bridging necrosis が観察され, 前者の群で明らかに高率であつた (p<0.02).
bridging necrosis を伴つた急性薬剤アレルギー性肝炎13例について, さらに詳細な検討を加えた.bridging necrosis を伴つた例では, 伴わない例に比し, 女性優位が認められた (p<0.05). bridging necrosis の形式は central-central bridging necrosis を主とし, 本症の組織学上の一つの特徴と考えられた. かかる症例を頻回の追跡生検により長期観察したが, 予後は極めて良好であつた.
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アヒルB型肝炎ウイルス (DHBV) を用いた実験的研究
広田 勝太郎, 小俣 政男, 横須賀 収, 今関 文夫, 内海 勝夫, 伊藤 よしみ, 奥田 邦雄
1987 年 84 巻 1 号 p.
58-64
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
B型肝炎類似ウイルスであるアヒルB型肝炎ウイルス (DHBV) の実験系を用いて, adenine arabinoside (Ara-A) の影響を血中及び肝内で検討した. 血中では, Ara-A 5-20mg/kg/day×2Wで平均50%のDNA polymerase 活性の低下をみた. 次いでAra-A 20-80mg/kg/day×2W, 9羽 (含コントロール2羽) のアヒルに投与し, 前, 投与終了時, さらにその4週後に開腹肝生検を行い, 肝組織を採取, Southern blot hybridization により, 肝内ウイルスDNA, 特に各種増殖形態 (replicative forms) について, その影響をみた. 肝内ウイルスDNAは減少し, その低下は主に成熟型DNAの低下に起因した. これは Summers らの提唱したDHBVの増殖モデルにおいて, マイナス鎖DNAよりプラス鎖DNAが作られる過程, すなわちDNA-P活性をAra-Aがより強く抑制するためと考えられる.
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古川 敬芳, 竜 崇正, 菊池 俊之, 向井 稔, 山本 宏, 高 在完, 天野 穂高, 丸山 尚嗣, 小出 義雄, 山本 義一, 磯野 可 ...
1987 年 84 巻 1 号 p.
65-73
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胆管癌30例, 胎嚢癌16例, 乳頭部癌10例に対し, Slow-injection dynamic CT (SI-CT) を行つた. SI-CTによる血管浸潤の診断は, 腫瘍と血管の関係を4型に分類し, I•II型を浸潤なし, III•IV型を浸潤ありとして行い, これによる診断率と血管造影のそれを比較した. SI-CTの正診率は, 総肝動脈91.1%, 固有•左右肝動脈82.1%, 門脈87.5%であり, 血管造影のそれぞれ94.6%, 85.7%, 85.7%と比較し, ほぼ同等の正診率であつた. また門脈浸潤に関してはIII型であれば切除可能だが, IV型では切除不能例が多かつた. SI-CTでは血管のみでなく, 腫瘍及び周囲臓器の観察が可能であり, 腫瘍の進展範囲•切除可能性の診断に有用であつた.
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小川 裕, 早川 哲夫, 近藤 孝晴, 柴田 時宗, 杉本 吉行
1987 年 84 巻 1 号 p.
74-83
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト膵液より精製したトリプシンとその特異抗体を用いた enzyme immunoassay により血清トリプシン (IRT) を測定し, その臨床的意義を検討した. 本法の測定範囲は18.8~600ng/ml, 変異係数は測定内1.9~9.3%, 測定間5.4~18.5%, 回収率は93.9~111.1%であつた. 健常者98名によるIRTの正常範囲は43~185ng/mlであつた. 膵疾患におけるIRTとアミラーゼの異常率は, 急性膵炎では共に100% (15/15), 慢性膵炎64%; 36% (25/39; 14/39), 膵癌79%; 47% (27/34; 16/34) で, IRTの方が高かつた. 本法によるIRT測定は膵癌早期診断の一助として, また, 慢性膵炎の膵外分泌機能障害を推定する指標として有用であり, radioimmunoassay に代わりうる測定方法と考える.
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城 卓志, 伊藤 誠, 松佐古 敬, 池田 和雄, 今井 新平, 宮本 忠寿, 横山 善文, 勝見 康平, 武内 俊彦, 加藤 泰治, 田中 ...
1987 年 84 巻 1 号 p.
84-91
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト内因性 Epidermal Growth Factor (EGF) の簡便かつ高感度の定量系としてサンドイッチ型Enzyme Immunoassay (EIA) 系を開発した. 本EIA系は測定感度500fg/tube (5pg/ml) と鋭敏で, 存在が微量のため従来困難とされてきた血清EGFの測定が可能となつた. また, 本EIA系を用いてヒト血漿, 血清, 尿のEGF濃度および尿EGFの由来について検討を行なつた. 血漿は0.05ng/ml以下, 血清および尿は男女それぞれ平均で0.57, 0.46ng/mlおよび63.8, 87.2ng/mlであつた. また, 尿EGFは単に血中のEGFに由来するものではなく, その大部分は腎で生成分泌されているものと考えられた.
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石田 基雄, 坂田 早苗, 増山 仁徳, 上野 明彦, 杉田 敏夫, 加藤 善久, 原田 尚
1987 年 84 巻 1 号 p.
92-97
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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佐藤 孝生, 今谷 英男, 杉本 友照, 三沢 裕之, 中島 俊雄, 宮崎 慎吾, 北川 康男, 百田 行雄, 町田 純一郎, 大槻 弘, ...
1987 年 84 巻 1 号 p.
98-103
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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塚本 秀人, 小泉 和三郎, 中 英男, 奥平 雅彦, 義澤 成美, 前川 和彦, 三重野 寛喜, 浜島 秀樹, 石川 淳, 高橋 俊毅, ...
1987 年 84 巻 1 号 p.
104-107
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小川 滋彦, 山崎 義亀与, 羽場 利博, 土井下 建治, 中沼 安二, 小竹 要, 一柳 健次, 木水 潔
1987 年 84 巻 1 号 p.
108-112
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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辻 博, 大里 紳一郎, 西村 有史, 野見山 賢介, 渡辺 英則, 梶原 英二, 村井 宏一郎, 赤木 公博, 藤島 正敏, 山野 裕二郎
1987 年 84 巻 1 号 p.
113-117
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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寺田 忠史, 中沼 安二, 太田 五六
1987 年 84 巻 1 号 p.
118-122
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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西田 博, 児玉 正, 岡野 均, 佐藤 達之, 大石 亨, 丸山 恭平, 今村 政之, 内田 秀一, 堀口 雄一, 瀧野 辰郎
1987 年 84 巻 1 号 p.
123
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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岡 紳爾, 荻野 景規, 坂井田 功, 松浦 伸二郎, 佐々木 敏行, 嶋田 正勝, 柳井 秀雄, 松田 和也, 由村 俊二, 岡崎 幸紀, ...
1987 年 84 巻 1 号 p.
124
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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胃内腔アンモニア, 尿素, ウレアーゼの意義
村上 元庸, 兪 正根, 水野 雅博, 斉田 宏, 保津 真一郎, 西田 真弓, 芦田 豊, 井上 良一, 稲田 雅美, 三宅 健夫
1987 年 84 巻 1 号 p.
125
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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千住 雅博, 牧山 和也, 船津 史郎, 長部 雅之, 田中 俊郎, 井上 健一郎, 橘川 桂三, 村田 育夫, 今西 建夫, 原 耕平
1987 年 84 巻 1 号 p.
126
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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菅 充生, 横田 勝至, 小玉 俊典, 佐藤 喜夫, 平根 敏光, 赤保内 良和, 谷内 昭
1987 年 84 巻 1 号 p.
127
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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長谷 寛二, 福田 善弘, 境 祐二, 平岩 望, 姫野 泰雄, 瀬古 修二, 小東 克次, 井村 裕夫, 黒部 真章, 林 恭三
1987 年 84 巻 1 号 p.
128
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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人工モデル胆汁からの分析
米田 政志, 玉沢 直樹, 牧野 勲, 武部 和夫
1987 年 84 巻 1 号 p.
129
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー