胃MALTリンパ腫の診療に関する最近の知見について,
Helicobacter pylori除菌後の長期予後を中心に解説した.本邦における多施設大規模追跡試験により,
H. pylori除菌後の胃MALTリンパ腫の長期予後がきわめて良好であることが明らかとなった.対象420例の除菌による完全寛解率は77%であり,3~14.6年(平均6.5年)の追跡の結果,除菌10年後の治療失敗回避率は90%,全生存率95%,無イベント生存率86%であった.多変量解析の結果,
H. pylori陰性,粘膜下層深部浸潤およびt(11;18)/
API2-MALT1転座が除菌抵抗因子として抽出された.本症に対する除菌治療の保険収載により,
H. pylori依存性胃MALTリンパ腫症例が減少し,将来は除菌抵抗例や
H. pylori陰性例の診療が問題となることが予想される.
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