膵癌及び慢性膵炎を中心とした肝•胆, 膵, 脾疾患等100例について一元的免疫拡散法を用い, 8種類の血清糖蛋白を測定し, 次の結果をえた. 膵癌と慢性膵炎の比較では, 膵癌にα
1-Antitrypsin (α
1-AT), α
1-Acid-Glycoprotein (α
1-Acid-GP) が有意に高く, prealbumin (pre-Alb), Transferrin (TF) が有意に低いのを認めた. 膵癌, 肝癌, 胆のう, 胆道癌はともに pre-Alb, TFの減少, α
1-AT α
1-Acid-GP の増加という同じ動きを示した為に, 膵器特異性を思わせるような血清糖蛋白は認められなかつた. しかし, この pre-Alb, TFの減少, α
1-AT, α
1-Acid-GP の増加という動きは良性疾患では認められなかつた為, 悪性腫瘍に特異的な変動である事が考えられた.
また術後経過をみると α
1-AT, α
1-Acid-GPは病態によく一致して変動する為, 治療効果の判定や再発の予知にその変動の検討が意義あるものと思われた.
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