ラットの膵液, 胆汁を分離採取する方法を考案して抗癌剤, 抗菌剤の膵液中への排泄を検討した. Secretin静注の直後に抗癌剤 (5-Fu, MMC), 抗菌剤 (Ampicillin, Cephalolithin) を静注し, 膵液, 胆汁, 血液, 尿および膵臓, 肝臓内の濃度を微生物検定法によつて測定した. 5-FU, MMC, Ampicillin, Cephalolithinはいずれも高濃度が胆汁中に証明されたが, NCSは胆汁中に証明できなかつた. 膵液中に比較的高濃度が排泄されたのはNCS, 5-FU, Cephalolithinであつた. また薬剤投与1時間後の膵臓組織ではすべての薬剤の存在を認めたが, MMC, NCSは痕跡ていどであつた. 5-FU, Cephaloithinは比較的高濃度であつた. これらの成績から抗癌剤としては5-FU, NCS, 抗菌剤としてはCephalolithinが膵臓中にとりこまれ, 膵液中によく排泄されることを知つた.
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