日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
113 巻, 2 号
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総説
  • 金子 和弘
    2016 年 113 巻 2 号 p. 205-213
    発行日: 2016/02/05
    公開日: 2016/02/05
    ジャーナル フリー
    現在の消化管腫瘍に対する内視鏡診断は,腫瘍の形態的特徴を捉えて行っている.蛍光体を装着したがん特異的分子を体内に投与し,特殊な波長域の光を照射することで,がんのみが発光して可視化できるシステムが分子イメージング内視鏡である.蛍光体装着プローブは,有機系小分子,ペプチド,抗体,量子ドット,ナノ粒子とさまざまで,波長域も可視光から近赤外光まで幅が広い.腫瘍内部で生じている機能的変化や代謝状態をターゲットとして可視化するため,今まではヒトの目には識別不能であったイメージングがえられる.開発が進み臨床応用されれば,期待される成果も大きいことが予想される.
今月のテーマ:上部消化管における先進的診断内視鏡の現況と展望
  • 有馬 美和子, 都宮 美華, 石川 文隆
    2016 年 113 巻 2 号 p. 214-222
    発行日: 2016/02/05
    公開日: 2016/02/05
    ジャーナル フリー
    画像強調法を併用した拡大内視鏡は食道表在癌の拾い上げと深達度診断に不可欠となっている.日本食道学会で作成した拡大内視鏡分類が用いられるようになって3年が経過した.EVIS systemとLASEREO systemの白色光による病変認識能,NBI・BLI併用拡大観察の深達度診断能と問題点を検討した.白色光による病変認識率,拡大観察による微細血管診断,深達度正診率はNBIとBLIに大きな差は認められなかった.食道学会分類の問題点はさまざまな血管がB2に分類されることで,B3とAVA-largeの出現率が低いためSM2癌の感度が悪く,MM~SM2癌の差別化が難しい.B2の評価が今後の課題である.
  • 八尾 建史, 岩下 明德
    2016 年 113 巻 2 号 p. 223-234
    発行日: 2016/02/05
    公開日: 2016/02/05
    ジャーナル フリー
    先進的診断内視鏡にはさまざまなモダリティーが含まれるが,本論文では,早期胃癌診断における狭帯域光観察を併用した胃拡大内視鏡(magnifying narrow-band imaging;M-NBI)の臨床応用について概説する.M-NBIにより視覚化される解剖学的構造や指標を用い,癌・非癌の鑑別診断を行う診断体系VS(vessel plus surface)classification systemを構築した.本診断体系によるM-NBIによる臨床的有用性は,従来の内視鏡では診断が不可能であった,小さくまたは平坦な早期胃癌の鑑別診断や内視鏡的切除に必要な癌の境界診断にある.本手法を用いてさまざまな新しい知見が集積されており,新しい臨床的有用性が証明されることや,胃疾患の病態を解明することに貢献することが期待される.
  • 小林 正明, 星 隆洋, 森田 慎一, 兼藤 務, 須田 剛士, 水野 研一, 橋本 哲, 竹内 学, 佐藤 祐一, 寺井 崇二
    2016 年 113 巻 2 号 p. 235-244
    発行日: 2016/02/05
    公開日: 2016/02/05
    ジャーナル フリー
    除菌後に発見された広義の「除菌後胃癌」には,除菌前後から既に存在していた病変が遅れて発見されたものが少なくない.われわれは,除菌後発見胃癌の中には,内視鏡診断が難しい病変があるため注意深い観察が必要であることを強調してきた.特に,病変の最表層に非腫瘍性上皮や表層分化した癌腺管が存在した場合,narrow-band imaging(NBI)拡大内視鏡では,最表層部を詳細に捉えるため,胃炎粘膜に類似し不整に乏しい表面微細構造が観察される.除菌後は,背景粘膜に加えて病変自体も修飾を受けるため,先進的診断内視鏡を併用して,背景粘膜の評価と早期胃癌の正確な診断が必要である.
症例報告
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