日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
120 巻, 4 号
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今月のテーマ(総論):胆道癌診療の最前線
  • 伊佐山 浩通, 佐々木 隆, 藤澤 聡郎
    2023 年 120 巻 4 号 p. 283-290
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    胆道癌診療は標準化が難しい領域である.発生部位ごとの病態・解剖が多彩で,病態も多彩である.施設間の診療も異なっている.治療に関して,これまで化学療法の効果は限定的であったが,最近では比較的治療効果の高い薬物治療も登場してきている.さらに遺伝子異常を標的とした治療も臨床応用され,予後の改善が期待されている.手術に関しては,補助化学療法の開発やconversion surgery,肝移植がトピックスになっている.胆道ドレナージに関しても,切除例・非切除例ともにその課題が明らかになってきている.本稿では,胆道癌診療の現状と最近の進歩,そして解決すべき課題について解説する.

今月のテーマ(総説):胆道癌診療の最前線
  • 全 陽
    2023 年 120 巻 4 号 p. 291-296
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    胆道癌の診断には擦過細胞診や胆管生検が用いられるが,いずれも検体が小さいために診断に難渋することが多く,十分な経験と慎重な判断が求められる.分子病理学の最近の進歩により胆管癌の区別,特に肝内胆管癌と肝外胆管癌の差異が明確になった.また,分子標的薬の適応により,FGFR2を含めた遺伝子解析が求められる.今後期待される分野では,細胞診や生検検体での遺伝子パネルを用いたシークエンスが挙げられる.本稿では,これらの点を中心に解説する.

  • 窪田 賢輔, 長谷川 翔, 栗田 裕介
    2023 年 120 巻 4 号 p. 297-308
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    胆道癌は肝内胆管癌,胆管癌,胆囊癌,乳頭部癌に分類され,胆管癌がさらに肝門部領域胆管癌と遠位胆管癌に分類され,それぞれの癌占拠部位・生物学的特性から悪性度・進展様式が異なる.正確な画像診断において,MDCT(multi detector CT)所見は,内科・外科・放射線診断科医が共通認識可能であるため,artifactのない状態で撮像することで最強の診断ツールとなる.腫瘍の肝門側・十二指腸乳頭側への進展および周辺動脈への浸潤の術前診断が重要である.病理検体採取は,ほぼ内視鏡を用いて行われる.最近,癌ゲノムや,表層進展診断にはFISH(fluorescence in situ hybridization),共焦点レーザー内視鏡が応用され,報告されている.胆道癌の精査から切除までは,胆道の内視鏡診療・切除に特化した施設で行われるのが望ましい.

  • 江畑 智希, 水野 隆史, 横山 幸浩
    2023 年 120 巻 4 号 p. 309-318
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    胆道癌外科切除は高難度,高リスクである.現在の本邦でも胆管切除や膵頭十二指腸切除をともなう肝切除の90日死亡率は5~10%超程度存在し,海外でも10%超の死亡率を呈する.高リスク性は世界共通の社会問題でもあることを認識する必要がある.一方,その累積生存率は1年82%,3年53%,5年39%,中央生存期間は3.2年と,不良である.最も予後がよいと推定される,M0N0かつR0切除群でさえ5年生存率は64%である.高リスク低リターンの性格を持つ外科切除では,安全と効果のバランスを保ちつつ手術適応と術式選択を行う必要がある.海外では選択された症例の肝移植が切除よりも成績が良好なため,その適応が広がっている.

  • 上野 誠, 手塚 瞬, 小林 智
    2023 年 120 巻 4 号 p. 319-324
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    胆道癌薬物療法の標準療法は,長らくゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法であったが,本邦ではゲムシタビン+S-1療法,ゲムシタビン+シスプラチン+S-1療法が標準療法に位置付けられた.また最近になり,免疫チェックポイント阻害薬とGC療法の併用が,一次治療として標準療法に加わった.二次治療以後では,がんゲノム医療の進展の中でFGFR阻害薬が薬事承認された.胆道癌において,更なる薬物療法の進展が期待される.

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