日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
112 巻 , 12 号
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総説
  • 全 陽
    2015 年 112 巻 12 号 p. 2105-2112
    発行日: 2015/12/05
    公開日: 2015/12/05
    ジャーナル フリー
    膵管癌の発生の直接的な原因は膵管上皮に蓄積する遺伝子変異で,メチル化やmicroRNAによる遺伝子発現調節も腫瘍発生・進展に重要な役割を担う.膵管癌はほぼ全例で硬化性間質を有しており,間質のリモデリングが腫瘍進展に関与するとともに,乏血性の環境を形成しdrug deliveryへの大きな障壁となる.また,膵管癌や間質から産生される免疫因子により生体の免疫応答を巧みに回避する機構が存在する.腫瘍細胞の形質変化,腫瘍間質,免疫回避機構のいずれも細胞性もしくは液性因子の複雑なネットワークが関与しており,これらのメカニズムを解明することが新たな治療法の開発にもつながると期待される.
今月のテーマ:膵癌治療の現状と展望
  • 海野 倫明
    2015 年 112 巻 12 号 p. 2113-2118
    発行日: 2015/12/05
    公開日: 2015/12/05
    ジャーナル フリー
    膵癌は最も治療成績の不良な癌であるが,近年の癌化学療法の発達により,少しずつ治療成績が向上してきた癌でもある.外科治療においては,5つのランダム化比較試験によって拡大手術はほぼ否定され,現在,標準郭清が推奨されている.術後S-1による補助化学療法も標準療法としてほぼ確立されたといえよう.現在,さらなる治療成績の向上を目指し術前治療が注目され多くの施設で行われているが,いまだエビデンスとして確立されたものはないため,術前治療は臨床研究として行われるべきである.現在,切除可能膵癌に対する術前治療の有効性・安全性の第III相臨床研究が行われている.その結果を緒としてさらなる臨床研究により,膵癌の外科治療成績向上がもたらされるものと考える.
  • 井岡 達也, 片山 和宏, 蘆田 玲子, 高橋 秀典, 手島 昭樹, 左近 賢人
    2015 年 112 巻 12 号 p. 2119-2126
    発行日: 2015/12/05
    公開日: 2015/12/05
    ジャーナル フリー
    膵癌は診断時に進行していることが多く,多くの症例が切除不能である.2001年にゲムシタビンが登場して,切除不能の膵癌の予後は改善したが,それでも十分な成績とはいえない.ゲムシタビン以外の選択肢が少なく,治療に難渋していたが,最近は,S-1, エルロチニブ, FOLFIRINOX, nabパクリタキセルなどのさまざまな薬剤や併用療法が登場し,どの治療を一次治療に選択すればよいか,かえって難しくなってしまった.ここで改めて,臨床試験や薬剤についてのレビューを行うことにより,個々の患者に適した治療について検討する一助にしてほしい.
  • 中村 聡明
    2015 年 112 巻 12 号 p. 2127-2134
    発行日: 2015/12/05
    公開日: 2015/12/05
    ジャーナル フリー
    膵癌治療における放射線療法の主な役割として,1.切除不能局所進行膵癌に対する根治的化学放射線療法,2.切除企図膵癌(切除可能膵癌・切除境界膵癌)に対する術前化学放射線療法,3.切除不能膵癌および転移性病変に対する緩和的(化学)放射線療法,がある.また近年では高精度放射線治療や粒子線治療による臨床応用も試みられている.本邦では各臨床試験グループにより導入化学放射線療法や術前化学放射線療法の意義を探る多施設臨床試験が進行中である.今後は,これら前向き臨床試験の蓄積により膵癌における化学放射線療法の有効性の科学的根拠を作り上げていく必要がある.
症例報告
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